学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

109 陸上大会から学ぶこと(続き)

 それより大事なことは、子ども自身が、自力で前に進むことです。それこそ、本当の生きる力なのだと思います。私たち大人は、間違いなく、子どもたちより先にいなくなるのです。そうなった時でも、子ども自身が、私たちを頼ることなく、自力でちゃんと生きていける力を身につけさせることこそ、私たち大人がすべきことなのです。そのためには、私たちは指導や応援はするが、子どもが自ら前進しようとすることを邪魔しないで、温かく見守ることが大事なのではないでしょうか。私は、そう思います。

 そういう意味で、6年生の子どもたちは、この陸上大会を通して、一人一人、大きく成長したに違いありません。とても有意義な大会となりました。

 最後に、今大会で入賞した子どもたちを紹介します。

 男子100m      第1位 神山 翔さん    13秒52
 男子1000m     第3位 宇佐美皓大さん   3分28秒21
 男子1000m     第7位 岡田蒼ノ介さん   3分46秒01
 女子80mハードル   第5位 曲山ななみさん   17秒55
 男子4×100mリレー 第4位 56秒45
 (宇佐美皓大さん・神山翔さん・佐久間隼さん・草野勝斗さん・佐藤煌大さん)

 入賞されたみなさん、おめでとうございました。なお、今回、男子100m神山翔さんと男子リレーチームのみなさんが出した記録は、野木沢小の校内新記録です。素晴らしい記録に拍手を送ります。

108 陸上大会から学ぶこと

 陸上競技は、孤独との戦いとも言えます。競技中は、誰も助けてはくれない。あんな大勢の中で、たった一人で戦わなければならないのです。今回、出場した6年生の子どもたちは、どんな思いで、その孤独に耐え、独りで戦い抜いたのでしょうか・・・・。

 今年の大会は、まさに「特別な大会」となりました。例年行われている走り高跳びとジャベリックボール投げの種目は、中止となりました。選手も、例年5・6年が出場していましたが、今年は6年のみとなりました。さらに、予選・決勝ではなく、全てのトラック競技は、決勝タイムレースとなり、組が違えども、予選のタイムで順位が決まることになりました。ですから、全員が本番一発勝負の大会でした。その一発勝負の本番で、それまで練習してきたことを、集中して、全て出し切れるかどうかが鍵となりました。

 そういう大会でしたが、6年生の子どもたちは、みな本当によく頑張りました。出場した全員が、最後まで本気・全力100%で競技に臨みました。そして、競技に臨む時は、サポートする子どもが付いてあげて、脱いだ運動着やシューズをテントまで運んでくれていました。きっと頑張れと声も掛け合ったことでしょう。その仲間の励ましを力に、どの選手も、最後まであきらめずに頑張れたのだと思います。そして、孤独に向き合い、耐えて、耐えて、最後まで頑張った子どもたちは、きっと覚悟を決めて臨んだのだと思いました。

 今回の陸上に限ったことではありませんが、私たち教師や保護者のみなさんは、子どもたちに指導や応援はできますが、その子どもに代わってあげることはできません。どんな指導を受けようとも、どんな応援を受けようとも、それでも最後は、子ども自身が、自らの心を奮い立たせ、自分の力で前に進むしかないのです。最後の最後は、子ども自身が、自分で決断して、勇気を出して一歩前に踏み出すのです。その瞬間、その子どもは大きく成長するのだと思います。結果は、あくまで結果です。それより、自分で覚悟を決めて、一歩前に踏み出したことがどれだけ素晴らしいことか。結果がどうだったなんて、実は些細なことなのです。どんな結果であろうとも、その子どもが頑張った結果ですから、それは全て100点満点花丸なんです。(次回へ)

107 第28回野木沢地区防犯・交通安全運動「標語コンクール」優秀作品

今年の「標語コンクール」優秀作品は、次の作品です。

 野木沢青少年健全育成推進協議会長賞
  1年 永井丈嗣さん 「たのしそう でもそのよりみち してもいいのかな」

 野木沢交通安全協会母の会長賞
  2年 吉田陸人さん 「右左 しっかり見よう こうさてん」

 交通安全協会野木沢分会長賞
  3年 佐藤 歩さん 「ながらスマホ そのいっしゅんが じこになる」

 石川町消防団野木沢分団長賞
  4年 佐藤世菜さん 「小さな火 遊びで使うと 大きな火」

 野木沢区長会長賞
  5年 円谷由義さん 「町の人 ぼくらを守る パトローラー」

 防犯協会野木沢支部長賞
  6年 佐藤煌大さん 「ランドセルに 必ず付けよう 防犯ブザー」

 受賞したみなさん、おめでとうございました。

106 第1回学校評議員会

 23日(水)今年度第1回の学校評議員会を開催しました。この学校評議員は、任期は1年で、主に学校運営や教育活動に対して、支援や助言をしていただく方々です。今年度は、この学校評議員の方々に加えて、さらに、学校運営協議会の委員の方々にも参加いただきました。この学校運営協議会は、今年度は試行で、今後、学校評議員会と一本化していく予定です。そして、学校運営協議会では、学校の運営に関して、御意見、支援のサポート、そして学校評価にも関わっていただくようになります。

 現在、小学校で子どもたちに指導している学習内容は、文科省で出している「小学校学習指導要領」に基づいています。この学習指導要領は、全国のどの公立学校でも、学校によって差が生じることなく、同じような教育を施すことを目的としています。10年ごとに改訂され、社会のニーズや時代の変化に対応するものになっています。今の小学校学習指導要領は、2020年4月、今年度から全面実施となっています。

 そして、前回の学習指導要領から改訂されたポイントのキーワードに、「社会に開かれた教育課程」というのがあります。簡単に言うと、学校教育は、社会との連携・協働していくということです。なんだ、そんなこと、これまでもそうだったのでは?と思われる方もいると思います。そうなんです。昔から、子どもの教育を、学校と家庭と地域が一体となって行う、というのは言われていました。だから、地域の方にゲストティーチャーで学校に来ていただいて、子どもたちに話をしていただいたり、教えていただいたりする活動は、よくありました。そういうことで、子どもたちの学びが広がったり深まったりすることをねらっていました。こういうことは、これからも大事に取り組んでいきますが、今後は、子どもたち自身が、地域社会に出て行き、社会とつながるような教育活動が期待されています。その地域と学校の連携を進めていくための核に、この学校運営協議会があります。

 今回の学校評議員会では、これまでの学校運営の概要や、今後予定されている教育活動について御説明し、いろいろと御意見をいただきました。やはり、話を伺って思ったのは、地域のことは、そこで生活されている地域住民の方々がよく分かっていらっしゃるということです。そして、こういう方々に、学校教育を、子どもたちを支えていただけることは、とても有り難いことですし、とても心強いことです。

 福島県教育委員会で示している「頑張る学校応援プラン」というのがあります。その中でも、「地域と共にある学校」が重点項目の一つです。そこには、県内でも、地域や家庭の教育力の低下や核家族の増加、地域コミュニティの希薄化・分断などが問題になっているということがあります。しかし、私は、ここ野木沢地区は、地域や家庭の教育力は高く、祖父母の方に子どもたちがしっかりと育てられている環境があり、野小っ子クラブや児童クラブ等、地域で子どもたちのお世話をする環境がある、とても恵まれたところだと感じています。そこには、昔から保護者やPTAを含む地域社会と学校が一体となって子どもを育てるという教育環境があるのだと思います。そして、これは不易です。これからも変わることなく、さらに連携を強めていくことが、野木沢地区の子どもたちの健やかな成長につながっていると確信しています。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。

105 秋の全国交通安全運動実施中

 9月21日(月)から9月30日(水)までの10日間、秋の全国交通安全運動を実施しています。各御家庭からも、朝の交通指導に立ち番で御協力いただきまして、ありがとうございます。

 秋のスローガンは「夕暮れの 一番星は 反射材」です。

 9月も下旬になり、日が落ちるのが早くなりました。みなさんは、「釣瓶落とし(つるべおとし)」をご存じですか。釣瓶とは、井戸の水を汲むための桶のことです。井戸自体、最近では見られなくなりましたので、ちょっとイメージしにくいかもしれませんね。桶に縄などのロープがついていて、井戸の上の屋根に付いている滑車の仕組みで、桶を井戸の底に落として、水を汲み上げます。この桶を落とす時、桶自体に重さがあるので、桶はあっという間に、底の方に落ちていきます。この様子から、秋の日は、まだ夕方だと思っていたら、あっという間に暗闇になる例えに、「秋の日は釣瓶落とし」という言葉が使われます。

 今回の交通安全運動の重点の一つに、夕暮れ時と夜間の交通事故防止をあげています。まだ明るいと思っていても、あっという間に暗くなるのがこの時期です。歩行者は、夕暮れ時や夜間に外出する際は、運転者から発見されやすい明るい目立つ色の服装と、夜光反射材を身につけるよう、呼びかけています。帰りが午後4時を過ぎる中・高学年の児童は、特に気をつけてほしい内容です。また、運転者は、夕暮れ時、早めのライト点灯を呼びかけています。合わせて、よろしくお願いいたします。

104 陸上壮行会

 29日(火)鏡石町鳥見山陸上競技場で開催される、石川地区小学校陸上競技大会に出場する選手を応援するため、選手壮行会が行われました。選手の自己紹介の後、4年生の力強いかけ声と太鼓に合わせて、下級生全員で応援エールを送りました。

 今年の陸上大会は、規模縮小で、種目も走り高跳びとジャベリックボール投げが中止となりました。そして、出場選手も6年生のみとなりました。夏休み明けから、6年生のみなさんは、体育の時間や放課後、各種目の練習に取り組んできました。リレーの選手のみなさんは、朝も練習してきました。天候により、なかなか思うように出来ない日もありました。また、6校時の日は、放課後の練習時間も限られてしまいました。実際の競技場練習は1回だけ行けました。学校の校庭では、斜めに80mをとるのがやっとなので、100mの選手は直線でなく、校庭のトラックを使うしかありません。リレーの選手も、一周150mのトラックは、コーナーがきつくて、思うようなバトンパスの練習も難しい環境でした。それでも、6年生のみなさんは、校庭が使えない時は体育館で、練習時間が短くても集中して、これまで取り組んできました。

 6年生のみなさんにはお話ししましたが、この陸上競技大会の大きな目的は、自己ベスト記録の更新です。他校の選手と競い合い、入賞を目指しますが、それはあくまで結果であり、一番はこれまでの自分との戦いです。練習で身につけてきたことを全て出し切り、その上で、今までで一番いい記録を出すこと。そのために、必要なことは3つ。
 1つは、自分の競技に、集中すること。当日は周りにたくさんの人がいて、いろいろな声が飛び交います。そんな中で、いかに、自分の競技に集中できるかです。周りの選手やその様子に動揺することなく、自分の競技で全力を出し切ることだけに集中することです。
 2つは、緊張しすぎず、落ち着いて臨むこと。緊張しすぎると、身体に余計な力が入り、本来、自分の持っている力を十分に発揮できません。気持ちを落ち着かせ、いつもの平常心で臨むことです。
 そして、3つは、頑張る仲間を、全員で応援すること。選手は、競技中、孤独です。選手は、たった一人で戦うのです。だから、そんな時、仲間の全力の応援は、力になります。つらくて、くじけそうな時、仲間の声を聞くと、あきらめずに頑張ろうという気持ちになります。いろいろな学校が、多くの応援をしている中で、野木沢小の大応援を期待したいと思います。

 選手のみなさんが頑張る姿は、野木沢小全員の願いです。選手のみなさんがやりきった喜びは、野木沢小全員の喜びです。そして、選手のみなさんが、本気・全力100%で頑張る姿を、全員で応援しています。6年生のみなさんが、これまで頑張ってきた姿、そして、大会当日に最後まであきらめずに競技する姿、それらが、下級生にとってお手本となり、目標となるのです。
 当日、お出でになる保護者のみなさん、子どもたちへの応援をよろしくお願いします。また、駐車場など、事前にお知らせしたとおりですので、どうぞ御協力よろしくお願いします。

103 野木沢スポ少ソフトボールクラブのみなさんへ

 この度は、県大会出場、誠におめでとうございます。
 まず、地区大会優勝という結果は、みなさんの頑張った結果であることは、間違いありません。ですから、自分たちの実力に、多いに自信を持って下さい。
 次に、県大会は、みなさんのように、各地区大会を勝ち上がった強豪チームが集まります。ですから、力と力のぶつかり合いの、厳しい試合になることは予想されます。
 もし、戦う二つのチームの実力が、ほぼ同じだったら、どうやって決着がつくと思いますか。私は、その二つのチームのうち、最後まであきらめないチーム、そして、全員が勝ちたいという思いの強いチームが、最後は勝利を手にするのだと思います。もし、たった一人でも、あきらめるような人がいるチームは、負けるのだと思います。
 ですから、試合に出る人はもちろん、試合に出ない人も、全員で、最後まであきらめず、全員で、勝ちたい思いを強く持って、一試合一試合、戦ってほしいと思います。
 そして、忘れてはいけないことがあります。それは、試合は、相手がいなければできないということです。つまり、試合に勝っても、相手がいたから勝つことが出来るのです。だから、忘れてはいけないことは、試合が終わったら、試合をしてくれた相手に感謝することです。感謝の気持ちをもつことです。素晴らしいチームとは、強いだけのチームではないと思います。素晴らしいチームは、相手のチームを認め、相手のチームに感謝の気持ちを持てるチームだと思います。どうか、それは忘れないで下さい。
 それでは、県大会でのみなさんの健闘を祈ります。頑張ってください。

102 運動会練習

 10/10(土)の運動会に向けて、各学年の練習も始まりました。今年は、規模を縮小し、午前中のみの開催となります。各学年の種目も、内容・方法を検討し、例年行っているものとは、少し変えた形で行う物があります。例えば、綱引き。これまでは、学年がどんどん増えていって、最後は全校生で引っ張り合う形でした。しかし、今年は、人数が増えないよう、1・2年、3・4年、5・6年のブロックごとに2回ずつ勝負する形に変えました。しかし、形は変われども、赤対白のガチンコ勝負には変わりありません。このように、いろいろと工夫してますので、これまで同様、楽しい運動会になりそうです。どうぞお楽しみに。

101 おはぎ

 今日の給食は、「セルフおはぎ」でした。給食には行事食的なものがあり、春は桜餅であったり、秋はお月見団子であったり。今回も、お彼岸ということで、あんことごはんが別々について、自分でおはぎにして食べるという献立でした。そのままご飯にのせて、簡単おはぎで食べても良いということでしたので、私はそのようにして食べました。昼の放送でも、おはぎとぼた餅の話をしていました。春の牡丹からぼた餅、秋の萩からおはぎということで、呼び名は変われども、どちらも同じ物と紹介されていました。あんこの好みも人それぞれで、あの甘さが大好きな人もいれば、ちょっと苦手という人もいるようで。また、あんこも粒あんが好き、こしあんが好きと別れるようで。昼休み、校長室に顔を出して、ある子が私にすきなあんこを質問しました。「こしあん」と答えると、「私も」と言ってました。みなさんは、どちらですか。

 さて、先程紹介した萩ですが、萩は秋の七草の一つです。みなさん、春の七草と秋の七草、どちらも言えますか。結構、春の七草は知っている人は多いようです。

 「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、春の七草」

 しかし、秋は春に比べて、知名度は低いように思います。きっと、言い回しの語呂合わせが春のようにいい感じでないからかなあ、と昔から思っていました。そこで、私はオリジナルの秋の七草も言いやすい語呂合わせに作ってみました。

 「はぎ、おばな、ききょう、なでしこ、おみなえし、くず、ふじばかま、秋の七草」

 いかがですか。個人的に、結構いい感じだと思っていますが。

 春の七草はおかゆにして食することが出来ますが、秋の七草は見て楽しむ草花です。この中の「おばな(尾花)」は、ススキのことです。見た目が馬の尾の毛のように見えますね。私の父親は山形出身で、子どもの頃は、自然の中でいろいろ作って遊んでいたそうです。私が子どもの頃、父親は秋になると、このススキを取ってきて、ふくろうを作っていたのを思い出します。ススキの毛がフクロウの羽のように見えました。さて、この「尾花」が出てくるので有名なことわざがあります。

 「ゆうれいの 正体見たり 枯れ尾花」

 幽霊だと思っていたら、よく見たら、枯れたススキだった。つまり、恐れていたりすごいものだと思っている物も、実体はたいしたことがない場合がある、という意味です。みなさんご存じの「オズの魔法使い」のオズの正体も、次々に姿を変える、ものすごい大魔法使いかと思いきや、実体は、気球で飛んできたサーカスの腹話術師でしたしね。そういうことって、結構あるのではないでしょうか。

100 吉田富三博士

 9月13日(日)石川地区児童理科作品展を、浅川町の吉田富三記念館で開催しました。本校からも、多くの御家族にお出で頂きました。ありがとうございました。今回は、1日だけの開催でしたが、その日だけで180名の方々にお出で頂きました。その中には、熱心に展示されている研究物を見入る子どもたちや、その保護者の方々の姿があり、改めて、今年、県理科作品展は中止でしたが、石川地区の児童理科作品展は実施してよかったと思いました。

 さて、私事ですが、実は、恥ずかしながら、私はこれまで、吉田富三博士のことは知りませんでした。今回、初めて記念館にお邪魔して、そこに展示されている資料を見たり、本を読んだりしました。それで思ったことは、この吉田富三博士は、素晴らしい科学者だということです。正直、驚きました。吉田富三博士は、癌の研究に一生捧げた方です。その中で、以前LIVEで紹介した「吉田肉腫」を発見しました。また、博士は医療制度の改革にも取り組んでいます。晩年、「医学の使命」について講演をされた時に、「医事は自然に如かず 静観待機療法が大切」という話をされました。これは、人間には病気になった時に、その病気と戦う自然良能というものがあること、だから医師は、その良能の性質をよく観察して、治療に当たる必要があるというものです。ただ薬だけを与えるという処置はよくない、という考え方です。このように、吉田博士は、医学だけでなく、ものの本質をしっかりと捉え、言葉の力でそのことを伝えることを大切にされていました。

 その一端が、医学の専門家でありながら、国語文化にも貢献していることにも表れています。昭和35年頃、日本の国語政策には、漢字を廃止するという方針がありました。翌年に国語審議委員になった吉田博士は、日本人が思想の原点として漢字を重要視していることを強く訴え、日本語の表記を「漢字仮名交じり」にすべきと提案したのでした。その提案を受けて、その後、正式に、国語の表記は「漢字仮名交じり」に決定したのでした。もし、この決定が別な物になっていたら、今の漢字仮名交じりはないわけです。

 記念館には、他にも興味深い物が展示されていました。それは、吉田博士と同姓同名の「吉田富三」という京都に住んでいた少年が、博士と同じ名前と言うことを知り、博士に手紙を書いたという物でした。手紙の内容は、自分は小児ぜんそくという病気だが、博士と同じ名前なので、病気に負けないで頑張りたいというものでした。驚くことに、住所が分からなかった少年は、「東京大学 吉田富三博士」とだけ記して投函し、その手紙は無事に届いたそうです。この手紙を受け取った博士は、その返事の手紙を書き、自分の似顔絵を写真にした物を、この少年に送っています。その対応が、すごく人間味にあふれていて、心温まります。吉田博士の人柄がわかる出来事だと思いました。

 吉田博士は、生前、文化勲章を受章し、亡くなってから、旭日大綬章も受章されました。また、ノーベル医学賞の候補にも挙がったそうですが、受賞日の前に亡くなられたので、規定により見送られました。博士の偉業は、野口英世博士にも勝るとも劣らない、素晴らしいものだと思いました。

 もし、吉田富三博士について、私のようにあまり知らないようでしたら、一度、吉田富三記念館を訪れてみてはいかがでしょうか。

 吉田富三記念館
  浅川町大字袖山字森下287
  TEL 0247-36-4129
  開館時間 午前9時~午後4時30分(最終入館午後4時)
  入館料 小中学生 無料  大人400円
  月曜休館

99 陸上大会まで、あと1週間(続き)

だから、練習する時に、常に、本番を意識して取り組むことだ。
練習だから…という気を抜いた気持ちでは、正直やっても意味がない。
本番と同じような意識で、真剣に取り組む練習だから、意味がある。
例えば、幅跳び。
踏切のタイミングを練習の段階から、いつもベストな踏切で跳ぶ。
練習で、踏切が合ったり、合わなかったりでは、本番でも合わない。
それでは、本番でも全てファールで記録なしになってしまう。
10回跳んで、10回ともファールなしで跳べるレベルまで、練習で求める。
例えば、リレー。
バトンの受け渡しを、練習の段階から、ベストの受け渡しが出来るようにする。
練習で、うまくいったり、いかなかったりでは、本番でも危ない。
そのためには、常に、バトンの受け渡しは、渡す方も受ける方も、全力で走って行わなければ意味がない。
リレーの選手は、当日、予選があり、自分の種目があり、そして、その後、決勝がある。

スタミナがなければ勝負にならないのだ。
他の、100m、800m、1000m、ハードルでも同じである。
本番だけ出来れば良い、ではないのだ。
練習で出来ないことは、本番でも出来ない。
逆に、練習で出来ていれば、本番でも出来る。
練習の段階で、「よし、本番もいける」という手応えを持つくらいまでやる。

だから、練習から常に、本番をイメージして、本番と同じ気持ちで取り組む。
スタートする時は、自分の番を待つ時も、コールされた時のあいさつも、
スタート位置に着く時も、スタートしてゴールするまで、
全て、これが本番、という気持ちで、本番をイメージして取り組む。
当然、本気・全力100%。
そうでないと、自分はどれだけやれるのか、どこが問題なのか、
どこを直したら良いのか、そういうことが分からないから、
意味ある練習にならない。

どうせやるのだから、この陸上大会を、
自分の力がどれだけ伸ばせるのか、
自分は、本気・全力100%で、どれだけやれるのか、
前向きにチャレンジして、自分を変えていくチャンスにしてほしい。

最後に、前回、紹介した「むのたけじ」の言葉を、紹介する。

きのうは去った。あすはまだ来ない。きょうというこの日に、全力を注ぎ込もう。どんなにつまらなく思われる一日であろうと、どんなにつらい一日であろうと、きょうがなければあすはない。

全力をこめてやれば、失敗したって必ず何かを学びとる。一つ一つの仕事に全力をこめたからとて人間はすりへりやしない。力の泉が、かえって深くなる。いい加減にやるなら、はじめから手を出すな。中途半端、これこそは人間を底まで腐らせる。

一度も失敗しないことは、自慢にならない。それは、上手であるだけだ。10回失敗して11回たちあがるなら、事はすでに成就している。 

98 陸上大会まで、あと1週間

陸上競技の練習は、つらく、苦しい。
みんな、それを分かって、取り組んでいると思う。
前に話したが、つらく、苦しい分だけ、自分の力になっている。
それは、間違いない。
だから、つらく、苦しい練習も、
自分の力がついていると信じて、頑張ってほしい。

陸上競技は、孤独との闘いでもある。
競技中は、みな、たった独り、孤独だ。
競技中は、独りぼっちで、闘わなければならない。
だれも、助けてはくれない。
だから、応援の声が力になる。
独りぼっちで闘う不安な気持ちも、みんなの励ましの声で支えられる。
自分を応援してくれる仲間の存在が、くじけそうになる気持ちを支えてくれる。
仲間が応援してくれるから、もう少し頑張ろうという気持ちになる。
例え、自分の競技が終わっても、独りで頑張る仲間がいたら、みんなで全力で応援して支えてほしいと思う。

一つの競技も、長くて5分。短ければ十数秒で終わる。
たったそれだけのために、何十時間もかけて、練習している。
言い換えれば、何十時間もかけてきた練習の成果を
わずか数分、数十秒で出し切らなければならないということだ。
その時に必要なものが、「集中すること」だ。
世界中のアスリートが、自分の最高のパフォーマンスをするために必要なのは、
「コンセントレーション」「集中すること」だと言っている。
テレビでも、アスリートが試合前に、音楽を聴いたり、独り静かに過ごしている 姿を見たことがあるだろう。
あれは、本番に向け、自分の気持ちを一つに集中させているのだ。
落ち着きなく、べらべらとおしゃべりしているアスリートなど見たことがない。
大切なのは、集中すること。
それこそが、自己ベストを出すための、重要な条件だ。

本番前は、緊張すると思う。
一回こっきりの本番だから、それは当然である。
緊張感はある程度必要なので、緊張することは構わない。
しかし、緊張しすぎると、よくない。
緊張しすぎると、身体に余計な力を入り、結果、力みすぎて、自滅する。
緊張したら、大きく深呼吸し、ジャンプしたり、屈伸したりして、身体を動かし、
力まないように、身体をほぐせば良い。
そして、練習してきたように、本番にのぞめば良い。
「練習は本番のように、本番は練習のように」である。(次回へ)

97 吉田富三博士の偉業

 国立科学博物館が、この度、重要科学技術史資料(未来技術遺産)に「吉田肉腫」を選んだというニュースが新聞に掲載されました。
 「吉田肉腫」とは、1943年に吉田富三博士が作り出した、移植可能ながん細胞のことです。この発見は、その後、国内初の抗がん薬創製に使用されるなど、がんに対する化学療法発展に大きな影響を与えました。また、がんを細胞レベルで研究することが可能なため、現在も各研究機関で活用されているそうです。
 吉田富三博士は、浅川町出身。同じ石川地区出身の素晴らしい偉人です。とても喜ばしい限りです。

 前回、お知らせしましたが、13日(日)吉田富三記念館で、石川地区児童理科作品展が開催されます。各学年の推薦、特選、準特選の作品が展示されています。今年は、巡回展は行われないため、他の学校の作品を見る機会は、この日しかありません。是非、お時間がありましたら、お出で下さい。

96 和久観音山鉱山跡で採石活動

 クラブ活動で、自然・アートクラブの子どもたちが、和久観音山鉱山跡を訪れました。私も行ってみたいと思っていたところだったので、同行させてもらいました。現地では、保存会の方々に案内してもらって、まず、坑道の中を見学させてもらいました。中は、ゆるやかな下り坂で、20m程進めました。中の気温は、ちょっと進んだだけで、すごくヒンヤリとしていました。両側の壁には、手彫りで掘り進んだ跡が見られました。坑道はその先、下に進んでいるようでしたが、そちらは、雨水がたまっていて進めませんでした。そこで、保存会の方から、壁に見られる鉱石の説明を聞きました。次に、外に戻って、近くの露天掘りの場所で鉱石の採集を行いました。子どもたちは、疑問に思ったことを質問したり、見つけた鉱石を見てもらったりしました。私も、小さな長石を見つけました。残念ながら、石英は見つかるのですが、水晶は…見つけられませんでした。この鉱山跡には、10月に6年生が見学に行く予定です。

95 小中連携授業研究会

 石川町では、先生方の授業力向上のために、小中連携の授業研究会を開催し、お互いに授業を見合い、研修する機会をとっています。今回、本校が会場となり、石川小、沢田小、石川中の先生方が参観にお出でになりました。授業は、第2学年岩渕先生にやっていただきました。教科は、国語科。説明文の単元で、授業を行いました。

 本校を含めると、総勢30名近くの先生方に授業参観していただきました。2年生の子どもたちは、そんなに多くの先生方に囲まれるようにして授業を受けたわけですが、みな、いつも通り、明るく元気に、そして、担任の先生と支援員の先生と一緒に、課題に向けて、最後まで一生懸命、考え、発表し、取り組んでいました。
 授業を終えた後、先生方は、小グループになり、本日の授業について研究協議の話し合いを行いました。そこでは、指導の在り方やワークシートなどの使い方、そして子どもたちの学び等について、様々な御意見をいただきました。その中には、2年生の子どもたちが、昨年度から見違えるほど、成長した姿に驚いたという声が多数聞かれました。それは、担任の先生と子どもたちが、これまで一緒に生活する中で、互いに向き合いながら、築き上げてきた証なのだと思いました。

 今回の授業研究会で、一番大変だったのは、紛れもなく、授業者の先生です。これまで、授業者として、指導案を考え、授業の準備を行い、前日まで計画的に子どもたちを指導してきました。他の人からは分からないところでの努力をされて、当日の授業を迎えたわけです。当日も多くの先生方に参観され、緊張しながら授業したと思います。だから、一番、学ぶことが出来たとも言えます。そして、授業をした者として、研究協議の御意見を聞き、指導助言の先生の話を聞き、きっと誰よりも、実感が伴って、それらを受け止めたに違いありません。

 学校の先生方は、毎日、毎日、多くの授業をしています。だから、自然と自分なりの授業スタイルが出来上がります。それは悪いことではありません。しかし、時々、今回のように誰か他の人に授業を見てもらうのは、すごく大事なのです。それは、教師の授業力は、他の人に見てもらう機会を通して、アップしていくからです。

94 誰にでも優しい社会に

 これからの社会は、障害のある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、共に生きる社会であるべきで、そういう社会を「共生社会」といいます。そういう社会を目指す考え方が、「ノーマライゼーション」です。障害のある人が、障害のない人と同等に生活し、共にいきいきと活動できる社会を目指すということです。

 先日、4年生が手話教室を行いました。講師は、実際に耳が聞こえず、手話を使って生活されているYさん。Yさんの家族は、みな耳が聞こえません。だから、日常生活の中でも、いろいろと工夫されていました。例えば、来客があった時、普通のチャイムは聞こえないので、来客が来たことが分かりません。そこで、チャイムを押すと、部屋の中で、明るく光るライトが設置されていて、それが光って来客を知るようになっています。目覚まし時計も、普通の時計の音では分からないので、枕の下に置いて、時間が来ると振動する時計を使っています。これまでの生活で困ったことは何か、という子どもからの質問には、情報が入ってこないことがあるという答えでした。東日本大震災の時も、Yさんのところには、一体何が起きているのか、何も情報が入らず、大変な思いをされたそうです。また、テレビや映画も、字幕があれば楽しめるのですが、まず、日本の映画は、ほとんど字幕はついていないそうです。だから、外国の映画を見るけれど、これも、吹き替え版には字幕はつかないので、最近、見られる映画が少なくなったそうです。他にも、新型コロナウイルスの影響で、マスクをつけている人が多くなり、それにより、相手の口元が隠れることで、何を言っているのか、分かりづらくなったという話もされていました。

 Yさんの話を聞いて、先程のノーマライゼーションの考え方からすると、今の社会は、まだまだ障害をもっている人には、優しさが足りないと感じました。他にも、よくテレビ番組によっては、字幕放送しているものがありますが、一見、耳が不自由な人のためにあるようですが、話を聞いたら、映像と音声より字幕がずれるために、見ていても内容がうまく伝わらないそうです。

 しかし、逆に、耳が不自由な人とコミュニケーションをとるために、有効な方法を紹介して下さいました。それは、スマホのテレビ電話機能を使ったものでした。そこに電話でつながると、手話通訳者が出てくれて、カメラの映像を通して、手話を通訳してくれたり、逆に、会話を手話に直してくれたりするサービスです。言い換えると、いつも身近に、手話通訳者をつれているようなものだと思いました。これなら、電話回線さえつながれば、いつでも、どこでも、手話を使って相手とコミュニケーションが取れます。素晴らしい仕組みです。ただ、残念なことは、このサービスは、Yさんが住んでいる郡山市に在住の方しか利用できないとのことでした。

 Yさんの話を聞いて、考えました。折角、そのような素晴らしいサービスがあるのだから、どこに住んでいても利用できるようになればいいのにと。テレビや映画の字幕については、私自身、耳が聞こえない人だけでなく、ちょっと耳が遠くなっている人にとっても、字幕があることで、どんな内容かわかり、助かるのになあと思っていました。つまり、障害がある人にとって優しい社会は、障害がない人にとっても、やはり優しい社会なのです。

 まだまだ、障害を持っている人にとって、今の社会はいろいろと問題がたくさんありそうです。そういう問題が早く解決して、障害があろうとなかろうと、誰にでも優しい社会になってほしいと改めて思いました。それにしても、今回印象深かったのは、耳が聞こえないYさんの明るい表情でした。きっと、生活していく中では、大変なことやつらいこともあるに違いありません。しかし、Yさんは終始笑顔を絶やしませんでした。そして、表情も豊かで、何より元気いっぱいでした。そんなYさんを見ていたら、こちらまで元気になる、そんな気がしました。

93 子どもたちへのメッセージ(インプット・アウトプット)

 それは、基本に立ち返ること。学習の基本は、聞くこと。まずは、どんなに難しいと思えることでも、我慢して聞く。私たちの身体は、面白いことに、同時に二つのことは出来ないようにできている。例えば、聞くことに集中していても、ちょっと、頭の中で他のことを考えた瞬間、話が耳に入ってこなくなる。だから、聞く時は、聞くことにだけ、集中する。ちょっとぐらい分からなくても、我慢して我慢して、聞く。聞く。聞く。そうすると、これまた不思議なことに、我慢して聞き続けていくと、不思議と、難しいと思っていた話が、少しずつ分かるようになってくる。少しずつ分かるようになってくると、もっともっと分かるようになってくる。そこまで行くまで、聞いて、聞いて、聞いて、聞く。

 次は、聞いて分かったことを、自分の身体の中から外に出す。分かったことを、言葉で話す。分かったことを、文字に書く。これを、アウトプットという。聞いて分かったことは、インプットという。学習は、聞いてわかったインプットしたことを、言葉や文字で身体から出すアウトプットして、初めて身につく。聞いて分かっただけでは、また、すぐ忘れる。大事なポイントは、アウトプットすること。ノートを取ったり、発表したりするのも、そういう意味がある。繰り返し、言葉で唱える活動には、そういう大事な意味がある。

 最後に、もう一度。やらなければならないことは、ただ、意味もなくやるのではなく、自分にとって、意味あるものにしてほしい、自分のためにも。

92 子どもたちへのメッセージ(どうせやるなら)

 9/29 陸上競技大会に向けて、6年生のみなさんへ。

 どうせやるなら、自分にとって意味あるものにしてほしい。時間と労力をかけただけの、成果を手にしてほしい。成果とは何か。それは、入賞する、しない ではない。入賞できたら、それはそれで素晴らしい。しかし、入賞することが、そもそも目的ではない。目的は、自分の持っている力の全てを出し切り、自己ベスト記録を出せたかどうか。これは、自分への挑戦。戦う相手は、昨日までの自分。毎日の練習を通して、自分の力をどれだけ伸ばせるか である。

 ルーの法則というのがある。自分の力を毎回、同じだけ出し切っても、実は、自分の力は伸ばせない。それは、同じレベルを維持してるだけで、伸ばすことはできない。自分の力を伸ばすために必要なことは、負荷をかけること。苦しくても、ちょっとだけ頑張って、負荷をかける。ちょっとだけ無理をする。そして、次の時も、ちょっとだけ頑張って負荷をかける。その次も、その次も。そうしていくと、その繰り返しで、負荷をかけた分が、いずれ自分の力に変わる。負荷をかけた分だけ、伸びるのだ。それなりの努力をしないで、力を伸ばすことは不可能なのである。そんな都合のいい話はないのである。しかし、それなりの努力を続けたら、必ず、力は伸びる。

 自分が精一杯、本気で、全力で練習に取り組み、本番も、自己ベストを目指し、それなりの結果を出せたら、それでよしである。そういう人は、他の頑張っている人を、賞賛できる。ねたみ、ひがみを口にする者は、自ら本気・全力で取り組んでいない証拠だ。そんな戯言(たわごと)は、気にする必要なし。

 どうせやるなら、自分にとって意味あるものにしたい。

 それは、陸上以外のことでも同じ。私たち人間は、得手不得手がある。得意なこと、苦手なことがある。例えば、学校の教科。国語が得意な人がいれば、算数が得意な人がいる。体育が得意な人がいれば、音楽が得意な人がいる。逆もしかり。理科が苦手な人がいれば、社会が苦手な人がいる。図工が苦手な人がいれば、英語が苦手な人がいる。
 そういうことは、あっても当然。問題ではない。問題なのは、どういう態度で取り組むかと言うこと。得意なことは、得意だから、意欲的に頑張れる。問題は、苦手なこと、苦手だから嫌いなことに、どう向き合うかということ。 
 残念ながら、小学校の教科は、必ずやらなければならない事である。やらずに済ませることは、できない。だから、どうせやらなければならないのだから、自分にとって、意味あるものにしたい。

 では、どうすればよいか。(次号へ続く)

91 子どもたちへのメッセージ(難きは尊し)

 いつ、いかなる時代になっても、大切なことは変わらない。それを「不易」という。私たち人間が、生きていく上で、大切な不易は、「難きは尊し」である。言い換えると、「難しいことこそ、価値がある」ということである。

 難しいこと、例えば、毎日、少しずつでも継続して積み重ねていくこと。つらくても、簡単に止めないこと。苦しくても、簡単に弱音を吐かないこと。うまくいかなくても、他人のせいにしないこと。文句を言わないこと。他人を馬鹿にしないこと。自分はだめだと、決めつけないこと。他の人に流されることなく、自分の信念を貫くこと。始めたことは、最後まで諦めずに、やり続けること。できなくても、簡単に投げ出さないこと。つらく、苦しい時こそ、奥歯を噛みしめて、耐えること。例え、どんな相手だろうと、すごいと思ったら、認めること。頑張っている人の足を引っ張るのでなく、その人を見習い、自分も負けずに努力すること。何事も、自分でよく考え、判断し、決断し、実行し、そして、最後は、自分でちゃんと責任を取ること。他人に甘えないこと。他人に優しくすること。自分に厳しくすること。その日の終わりに、今日の自分を振り返り、明日、自分がすべきことを考えること。すべての人に感謝すること。やってもらって当然と思わないこと。自分がしてもらったら、次は、自分が誰かのために、何かやってあげること。食べ物を口にする時は、感謝の気持ちを持つこと。一度しかない人生を、一瞬一瞬に、本気で、全力で生きること。笑顔で過ごすこと。今やらなければ、と思ったら、すぐに実行すること。自分がやらなければ、と思ったら、すぐに自ら動くこと。今、自分がどういう立場なのか、そして、今、自分は、何をしなければならないのか。常に考えること。

 もし、今日で自分の人生が終わりを迎えるとしても、自分は今まで本気・全力で生きてきた、だから、後悔することは何もない、と言い切れる人生を送りたい。

 これは、ちょっと極端だが、6年生のみなさんには、卒業式当日に、自分は今まで本気・全力で小学校生活を送ってきたから、もう、小学校でやるべきことはない。これからは、中学校で、本気・全力で頑張るだけだ、と堂々と言い切って、ここを卒業していってほしいと思っている。

90 子どもたちへのメッセージ「ある人の言葉より」

 ある人が、次のようなことを言っている。

 プロ野球の投手の中には、打者に打たれた時、二つの気持ちになるという。一つは、投げたボールを後悔する場合。もう一つは、さらに気持ちが燃え上がる場合。その二つの違いは何か。それは、どんな気持ちでそのボールを投げたかの違いだという。何を投げるかあれこれ迷ったあげく、中途半端な気持ちで投げた場合、それが打たれると、心底悔しくて、その後もずるずると気持ちを引きずってしまう。一方、覚悟を決めて、全力で投げ込んだ場合、それを打たれても、逆に、打った打者に尊敬の気持ちが生まれ、よし、次こそは打たれないぞ、とやる気がさらにみなぎってくると言う。

 やはり、中途半端はだめだ。中途半端は、人間を心底腐らせる。また、その人は、こんなことも言っている。

 真に恐いのは失敗することではなく、いい加減にやって成功することだ。

 成功すればいいのではない。また、失敗が本当にだめなのでもない。問題なのは、自分がやるべきことにどれだけ気持ちを入れて、本気・全力で取り組んだか、である。一生懸命取り組んだ結果、失敗しても、それで、何が問題だったのか、次はどうすればよいのかが、はっきりするから、きっとこの後は、いずれうまくいく。そして、何よりも、努力することや最後まで諦めずに頑張ることは大切であると学ぶことができる。しかし、適当に、いい加減にやって失敗したら、そこから何も学ぶことはない。しかし、それよりももっと最悪なのは、適当に、いい加減にやったのに、なんとかうまくいってしまった時だ。そうなると、なんだ、これくらいでなんとかなるのか、と気持ちも緩み、本来、大切な、努力することや、最後まで諦めずに頑張ること等を軽んじて、結果、おごり高ぶった心になってしまう。そして、いずれ、取り返しの付かない失態を引き起こすかもしれない。

89 新型コロナウイルスにどう立ち向かうのか?

 ある雑誌に、表題のような記事が載っていました。筆者は、病院の院長で大学の准教授をされている方。我々教職員の健康を維持する視点で、書かれていました。その中で、やはり、免疫力を下げないことが第一だと書かれています。そして、そのために気をつけなければならないこととして、9項目あげています。

 1 強い精神的なストレスが、長く続く

 2 不規則な食生活や偏食

 3 加工食品、インスタント食品、ジャンクフードのとりすぎ

 4 運動不足

 5 睡眠不足

 6 喫煙

 7 アルコールの多飲

 8 大気汚染、水質汚染、土壌汚染などの汚染された住環境

 9 怒り、恐れ、悲しみの感情

 今の生活環境の中で、できるだけ上記のような条件をクリアしていくことが大事だと思いました。そして、これに呼応するように、免疫力をアップさせる、自律神経に良い生活として、次の9項目をあげています。

 1 規則正しい食生活

 2 偏食のないバランスの良い食事

 3 腹八分目

 4 昼夜のリズムある生活

 5 質の良い睡眠

 6 適度な運動の継続

 7 精神の安定

 8 入浴でリラックス

 9 一日一回は笑う

 どうでしょうか。最後の「一日一回は笑う」は、みなさん、クリアできていますか?

88 理科作品展審査会を終えて

 本校が、小教研理科部事務局のため、本校において、今年の理科作品展審査会を開催しました。今年は、夏休みが短かったことと県の理科作品展が中止になったことを受けて、募集数を学校規模で限定して、作品を募集しました。審査会には、合計107点の作品が出品され、各校より御協力いただいた先生方に、学年を分担して審査をしていただきました。
 私は、全体的に作品や審査の様子を見させてもらいました。いろいろな作品の中には、臨時休校中であった4月頃から観察や実験に取りかかった物がありました。今年ならではの、マスクの色の違いと温度変化を調べた物もありました。身近なことを研究テーマにした物では、自分の好きなウインナーをおいしく食べる方法を研究した物などありました。
 その中に、石川小の5年生が取り組んだ「石川町の鉱物」の研究がありました。実際に、鉱物の発掘を体験し、採取した鉱物を分類するなど、時間と労力をかけた大作でした。石川町の鉱物について詳しく知りたいと思っていた私は、大変興味深く見させてもらいました。
 本校の5年生、吉田智哉さんが取り組んだ素材は、習字で使う墨汁でした。その研究は、「習字をやる人必見!墨汁 汚れと向き合う実験」です。墨汁で汚れた衣類を、どうしたらきれいにすることができるか?それを、いかにも5年生らしい視点で、実験材料を検討し、実験して追究しています。彼の取組は、審査された先生方からも、子どもらしく、実生活の中から着目した興味深い研究であると評価されました。そして、見事、5年生の作品の最高賞である「推薦」に選ばれました。他にも、特選、準特選に選ばれたみなさんは、下記のとおりです。おめでとうございました。
 推薦、特選、準特選の作品は、9月13日(日)に浅川町の吉田富三記念館で開催される「作品展示会」に展示されます。他校の素晴らしい取組の作品も展示されています。参考になると思いますので、是非、見においで下さい。詳しくは、裏面のお知らせをご覧下さい。

5年 吉田 智哉さん 習字をやる人必見! 墨汁 汚れと向き合う実験 推 薦
3年 佐藤 愛菜さん みぢかなえき体をこおらせよう!何味が早くとけるかな? 特 選
6年 近内 爽馬さん しゃぼん玉はなぜ丸い? 準特選
6年 堀江  諒さん 浮力の研究 準特選
6年 山崎 優奈さん いろいろな物を こおらせてみた!! 準特選
5年 二瓶 大雅さん メダカ色変わり実験 準特選
4年 吉田 心琴さん 10円玉を1番きれいにした物はどれ~? 準特選
4年 吉田 裕翔さん えきたいの重さの研究 準特選
3年 宇佐美 蒼さん 塩を使った「うき」「しずみ」実験 準特選

 

87 この想い 未来へとつながれ 十七字(続き)

4年生の作品
  初打席 むねのドキドキ 止まらない(子)
  君の顔 思い伝わり 祈る母(母)

  ばあちゃんの 手作り野菜が 大好きだ(孫)
  孫のため 畑で汗かき 野菜採る(祖母)

  あと少し 「せくらべしよう お母さん」(子)
  くやしさと 嬉しさ混じる 柱の傷に(母)

5年生の作品
  つりざおで マスと戦う 夏の空(兄)
  ぼくもまけない おにいちゃんが ライバルさ(弟)

  英語をね 母と一緒 わくわくだ(子)
  朝5時に 娘と学ぶ 英会話(母)

  母さんと つりも料理も 楽しいな(子)
  反抗期 楽しい時間(とき)は 忘れてる(母)

6年生の作品
  空見上げ 無にして挑む ホームラン(子)
  打席立つ ただただ祈る 手が痛む(母)

  全員の 絆でつかんだ 県大会(子)
  大飛球 みんなの思いが ボール押す(父)

  夕方の 風が涼しい 夏終わる(子)
  このにおい 蚊取り線香 夕涼み(母)

  かき氷 青い舌みて 笑い合う(子)
  かき氷 いまもむかしも なつかしい(父)

  会わずとも 祖母に手紙で 話する(子)
  寂しさを 笑顔に変える 孫の文字(母)

 ここに紹介できなかった作品の中に、まだまだたくさん素敵な作品がありました。ありがとうございました。

86 この想い 未来(あす)へとつながれ 十七字

 平成14年度から県教育委員会主催で取り組んでいるこの事業は、子どもたちの豊かな体験活動を大事にしようと始まり、親子や兄弟、祖父母と孫など、人と人の絆を大切にして、みんなで子育てに関わることをねらいとしています。今年の夏は、新型コロナウイルスの影響で、外出もままならず、そういう意味で、例年とは違う、絆づくりの夏となったと思います。そんな中でも、各御家庭において、作品作りに取り組んで頂き、ありがとうございました。全ての作品に目を通させていただきました。いくつか紹介します。

1年生の作品
  おかあさんと いっしょのおふとん うれしいな(子)
  そばで聞く 寝息が私の 子守歌(母)

  いきたいな おじいちゃんのところにね(孫)
  あいたいなぁ オンラインじゃ だっこムリ(祖父)

  おばあちゃん あそんでくれて ありがとう(子)
  おばあちゃん せわしてくれて ありがとう(母)

2年生の作品
  おてつだい いっしょうけんめい ふろそうじ(子)
  風呂掃除 のぞいてみると 水あそび(父)

  ごはんどき かぞくみんなで かおあわせ(子)
  一年で 手伝い増える 助かるわ(母)

  こんどこそ でっかいマグロ つってきて(子)
  今晩も 息子のためと 釣りに行く(父)

3年生の作品
  家の中 テントをはって キャンプ気分(子)
  気づいたね 家族で過ごす 大切さ(母)

  しゅくだいが わからず母の 帰り待つ(子)
  「おかえり」の 笑顔の裏に 秘密あり(母)

  うるさいぞ おとうとたちに おこる日々(子)
  まいったな 聞き覚えある 怒り方(父)  

4年生からは次回紹介します。

85 子どもは、生活の中で、関わりながら、育つ(続き)

 子どもは、生活の中で、関わりながら、育ちます。自分たちがリーダーだから頑張ろうと、意欲的になることもそうですし、具合がわるい下級生を見かけて、相手を思い、お世話することもそうです。そして、問題が起きた時に、自分たちで解決することもそうです。

 PTA全体会でもお話ししましたが、関わりの中には、けんかや言い争いなどもあります。そもそも、お互いの思いが違う者同士が、一緒に生活をするのですから、そうなるのも当然です。大事なのは、そうなった時に、どう解決したらよいか、ということを身につけることです。それには、お互いの主張がぶつかるので、お互い、イヤな思いもするかもしれません。その上で、相手の思いを知り、自分の思いとの違いを知り、我慢したり、折り合いをつけたりしながら、お互いにうまくいく方法を探り、解決していくのです。そういう経験が大事なのです。そこに、大人が余計なことを言って、その場を解決しても、子どもにとっては、何の成長にもつながりません。大人として、相談にのることはできます。それでも、最後は、どうしたらよいか、自分で判断させることが大事なのです。子ども自身が、自分で解決して、初めて身につけることができるからです。それが、生きる力になるのだと思います。

 テレビで、車の事故を起こして、逃げていった運転手のニュースを見ました。事故を起こして、パニックになったのかもしれません。怖くなったのかもしれません。しかし、逃げてはいけません。自分のやったことを正直にわびて、相手と話し合わなければなりません。でも、もしかしたら、この運転手は、これまでも、問題が起きたら、その場から逃げていたのかもしれません。どうやって問題を解決したらよいか、その方法を身につけてこなかったのかもしれません。生きる力を育ててこなかったということでしょうか。すると、それは、誰の責任なのでしょうか。考えさせられるニュースでした。

 中国のことわざに、「魚を与えれば、一日の飢えはしのげるが、魚の捕り方を教えれば、一生食べていける」というものがあります。私たち大人が、子どもにしてあげられるのは、私たち大人がいなくても、自分で問題から逃げずに解決する力、自力で生きていける力なのだと、改めて思いました。そして、そういう力は、子どもたちは、生活の中で、関わりながら、身につけていくのです。

84 子どもは、生活の中で、関わりながら、育つ

 野小っ子クラブに続いて、いよいよ野木沢子ども教室がスタートしました。野小っ子クラブは、全学年が対象ですが、野木沢子ども教室は、1年生から3年生で構成されています。ですから、きっと、まだ子ども教室に行きたいなあと思っている4年生もいるのではないかと思います。子ども教室では、3年生がリーダーとなります。以前、校内でも1~3年生で見学学習に出かけた時、3年生の子どもたちは、自分たちがリーダーなのだと自覚し、はりきって、下学年の子どもたちのお世話を頑張りました。今回、子ども教室の開講式に集まってきた3年生の子どもたちの様子を見て、子ども教室の先生方は「2年生の時より、すごく大人になっていて驚きました」とおっしゃていました。3年生になって、5ヶ月足らずですが、その間に、とても成長してきた証です。

 これは、3年生に限った話ではありません。先日、1年生の女の子が、校庭で鼻血を出したことがありました。暑さに少しのぼせたようでした。その時、その1年生のお世話をしてくれたのは、近くにいた2年生の女の子たちでした。一生懸命介抱してくれたそうです。きっとお世話になった1年生の子は、どんなにか頼もしかったに違いありません。そして、おそらく、自分が上級生になったら、自分がされたように、下級生に優しく接することでしょう。

 4年生の子どもたちは、朝も休み時間も、ほとんど外に出て、走り回って遊んでいます。校長室に毎日、元気に遊ぶ声が響いてきます。窓から、その様子を見ることもできます。時にはちょっとした言い争いみたいなやりとりも聞こえてきます。誰かを注意し合う声も聞こえる時があります。それでも、しばらくすると、また、みんなで仲良く遊びだしています。きっと、何か問題が起きて、それをなんとか解決しているのでしょう。3年生だった去年も、やはり遊びの中で、いろいろとトラブルは起きていたようですが、4年生になったら、自分たちで解決できるようになってきたということです。4年生の子どもたちは、遊びの中で、自然とそういう力を身につけています。(次回へ)                        

83 ふと疑問に思ったこと

 「泳ぐ」指導は、かなり細かいところまで、泳ぐ技術を教えるのに、「走る」指導は、走る技術について、あまり教えていないように思うのだが、なぜだろう・・・

 学習指導要領解説体育編を見ると、陸上運動系の目標や内容も、「走る」「跳ぶ」ことの楽しさ喜びを味わうことをねらっていることがわかる。しかし、それは、いろいろな場の工夫や走り方など、内容を変化させて、楽しさを感じさせようとするものばかりで、肝心の「速く走る技術」の指導については、ほとんど触れていない。これでは、「正しい走り方」を身につけることは難しいと感じた。私は、走ることの楽しさは、「速く走れるようになる」ことだと思う。そのためには、速く走るための技術を身につけさせることが必要だ。「走る」という動きは、身体をどう動かせば良いのか、その指導である。

 子どもたちは、生まれて、寝返りし、ハイハイし、つかまり立ちし、一人歩きし、そして、いつのまにか走ることができるようになる。その過程で、もしかしたら、それらの動きを教えてもらって身につけるものはないのかもしれない。全て、自然と身につけていくのかもしれない。そう考えると、「走り方」も、誰に教わったのでもなく、自然と身につけた走り方を、子どもたちはしているに違いない。

 しかし、改めて思うことは、子どもたちが自然と身につけた「走り方」は、必ずしも、「正しい走り方」でないように思う。そして、もし、正しくない走り方を身につけた子どもは、どこかで、その走り方について指導を受けなければ、そのまま、ずっと「正しくない走り方」「速くならない走り方」で走り続け、結果、いつまでも、速く走ることができず、走ることの楽しさを味わうことも難しく、逆に、走ることへの抵抗、さらには、運動することへの拒否にもつながりかねない。

 そして、一番大事だと思うことは、「走ること」が他のあらゆる運動の基礎になっている点だ。ほとんどの運動には、走る技術が求められる。そう考えると、やはり、この「走り方」に関する指導を考えなければ、総合的な視点からも、体力の向上は臨めないし、逆に、この走り方の指導をしっかりと行うことで、体力の向上は臨めるのではないか、と思う。

 この「走り方」の指導においては、数時間やれば効果が出るとは思えない。これは、毎回、運動する時には、必ず短時間反復して、子どもたち自身が、走る時、常に、意識して走ることが大事だと思う。当然、すぐに身につけることは難しいと思う。だが、これも指導の継続で、結果的には実を結ぶものだと考える。

 「走り方」の指導について、これから先生方と考えていきたいと思う。

82 「なりたいなぁ」

 「ねずみの嫁入り」という昔話があります。あるねずみの夫婦が、自分の娘を、世界一強い相手の嫁にしたいと考えました。そして、まず、太陽に相談に行ったら、太陽には「自分は、雲に隠される。雲の方が強い」と言われ、次に、雲に相談に行ったら、「自分は風に飛ばされる。風の方が強い」と言われます。そして、風に相談に行ったら、「自分は土壁は倒せない。土壁の方が強い」と言われ、土壁に相談に行ったら、「自分はねずみに穴を空けられる。ねずみの方が強い」と言われ、結局、最後は、ねずみのところに嫁に出したというお話です。
 このお話と似ている展開の絵本が、学校に寄贈されました。タイトルは「なりたいなぁ」。
 このお話の主人公は、一人の石切職人の若者です。彼はある日、ふと思いました。(毎日、一人で苦労して働いても、だれもほめてくれない。こんな仕事、つまらないなあ。)ある日、お金持ちのパーティーの様子を見て、(あんなお金持ちになりたいなあ)と思いました。すると、不思議なことに、心の底から願ったことが、パッと叶ったのです。気がつくと、若者はお金持ちになっていました。お金持ちの生活に満足していた若者でしたが、ある日、王様が馬車に乗っているのを見て、(王様になりたいなあ)と思いました。すると、今度は、気がつくと王様になっていました。
 こんな感じで、(なりたいなぁ)と思ったものに、次々になれていく若者ですが、王様の後は、太陽、雲、風と変わっていきます。あれ?なんか似ているなあと思ったら、前述の「ねずみの嫁入り」と似ています。しかし、風の後は違っていて、土壁ではなく、山。そして、山の次が石切職人なのです。
 そして、若者は気付きます。石切職人が切り出した石を使って作られた水飲み場や広場で、子どもたちや大人たちが、とても楽しそうに過ごしていることに。そして、心から思うのでした。(ああ、やっぱり、石切職人が一番だ。)石切職人に戻った若者は、その後、一生懸命、自分の仕事をするのでした。
 この絵本のテーマは、「ほんとうの幸せは、あなたの心の中にある。」自分が本来持っている力は、なかなか気付きにくいものです。それより、他の人がもっているものに目がいきがちです。しかし、自分と向き合い、自分のよさを自覚した時、人は本当の幸せを手に入れることができるのかもしれません。そういうことを、優しく教えてくれる素敵な絵本でした。

81 体罰等によらない子育て(その3)

 子どもとの関わりのポイントの前に、体罰等をしてしまう背景について、考えてみましょう。
 子育ては、私も経験がありますが、思うようにいかないことの連続です。また、相手が子どもであるという点で、独特な感情が起きてしまいがちです。例えば、自分は一生懸命向き合っているのに…、何度言っても全然分かってくれない…、自分も同じように親にされてきた…、大人として子どもになめられてはいけない…、痛みを伴わないと他人の痛みは分からない…、愛情があれば叩いても分かってくれるはずだ…等など。

 では、そんな思うようにいかない子どもと、体罰等によらないで、どう関わっていけばよいのでしょうか。パンフレットには、7つのポイントが紹介されています。

1 子どもの気持ちや考えに耳を傾けましょう
 子どもは、相手に自分の気持ちや考えを受け止めてもらえたと感じると、気持ちが落ち着いてきます。逆に、受け止めてもらえない状況では、何を言われても素直に聞けません。だから、まずは、何がしたいのか、どういう気持ちなのかを理解し、受け止めることが大事です。そうして、気持ちを落ち着かせてから、子どもに問いかけたり、相談しながら、どうしたらよいか一緒に考えるようにします。

2「言うことを聞かない」にもいろいろあります。
 まず、「イヤだ」というのは、子どもの気持ちです。私たち大人でさえ、「イヤだ」と思うことはあります。ただ、我々大人は、「大人」なので、(イヤだ)と思っても、それを口にしないことがあります。しかし、子どもはイヤなら「イヤだ」と口にするのです。「子ども」だから。だから、そうした感情を持つこと自体は、いけないことではありません。ですから、保護者の気をひきたい、子どもなりの考えがある、言われていることを理解していない、体調がわるい等、言うことを聞かない理由は様々なので、特に重要なことでなければ、今はそれ以上やり合わない…という方法もありです。お互いのために。

3 子どもの成長・発達によっても異なることがあります。
 同じ子どもでも、例えば、1年生と6年生では、できること、できないこと、理解すること、理解できないことなど、すごく差があります。同じようにその子の特質にも差があります。だから、例えきょうだい間でも比べることは意味がないのです。

4 子どもの状況に応じて、身の周りの環境を整えてみましょう
 環境を整えることで、あえて叱らなくてもよい環境は作れます。子どもが困った行動をする場合、子ども自身も困っていることがあるからです。子ども自身に自分でできるようにさせたい場合は、子どもが自力でやれるような、そういう環境作りを工夫してみることです。

5 注意の方向を変えたり、子どものやる気に働きかけてみましょう
 子どもによっては、すぐ気持ちを切り替えるのが難しいお子さんもいます。ですから、時間的に可能なら待つことも一案。私は子育て中、この「待つ」ということが、自分にとっては我慢が必要なことでとても難しかったことを覚えています。それが難しい場合は、場面を切り替えたり、場所を変えたりして、注意の方向を変えてみるとよいです。子どもが楽しく取り組めるのが一番なので、子どもの好きなことややる気が増すような方法を工夫してみるとよいです。

6 肯定文でわかりやすく、時には一緒に、お手本に、
 子どもに伝える時は、大声で怒鳴るよりも、「ここでは歩いてね」など、肯定文で何をすべきかを具体的に、また、穏やかに、より近づいて、落ち着いた声で伝えると、子どもには伝わりやすくなります。命令文ではなく、「一緒におもちゃを片付けよう」と共におこなったり、やり方を示したり、一緒にやりながら教えたりするといいでしょう。

7 良いこと、できていることを具体的に褒めましょう
 子どもの良い態度や行動を褒めることは、子どもにとって嬉しいだけでなく、自己肯定感を育むことになります。特に、結果だけでなく、頑張りを認めることや、今できていることに注目して褒めることが大切です。できて当然、と思ってしまうと、なかなか褒められません。しかし、後々のことを考えると、今できたからといって、次もできるとは限らないものです。できた時にほめないと、結果、次にできなかった時、また叱ることにもなります。できたら、ほめる。そして、子ども自身にそのことを強化してあげる。ならぬことはならぬですが、逆に、いいことはいいのです。

 さて、パンフレットを元に、体罰等によらない子育てについて、述べてきました。ここまで書いていて、私自身、「言うは安し、行うは難し」であることを、改めて噛みしめています。しかし、今年の4月に児童福祉法等の改正がされ、体罰が許されないものとして法定化されました。そういう意味で、子育てに関して、我々大人は、これまで違う、新しい見方・考え方で行っていかなければならないのだと思います。そして、子どもを一人の人格者として、尊重し、寛容さをもって接していくことが大事なのだと思います。
 最後になりますが、子育てに関して、全てお家の方が抱えることはありません。相談窓口はいろいろあります。学校もその一つです。何か困ったことがありましたら、いつでも相談してください。一緒に考えていきましょう。

80 体罰等によらない子育て(その2)

 体罰等が子どもに与える影響には、どんなものがあるでしょうか。
 その前に、体罰等が子どもの成長・発達に悪影響を与えると言うことは、科学的に明らかになっています。これは、子どもの将来を思い、仕方ないことと行っているしつけと称した「体罰」が、結果的に子どもの健やかな成長の妨げになっているということです。
 では、具体的にどんな影響があるかというと、体罰を受けていた子どもは、「落ち着いて話を聞けない」「約束を守れない」「一つのことに集中できない」「我慢できない」「感情をうまく表せない」「集団で行動できない」という行動問題のリスクが高まるようです。また、手の平で身体を叩くなどの体罰は、親子関係の悪さ、周りの人を傷つけるといった反社会的な行動、攻撃性の強さなどと関連があるようです。

 そして、体罰は悪影響だけでなく、悪循環も生み出します。子どもが言うことを聞いてくれなくて、イライラして、つい、叩いたり怒鳴ったりしたくなることがあるかもしれません。叩かれたり怒鳴られたりすると、大人への恐怖心などから一時的には言うことを聞くかもしれませんが、根本的な解決にはならず、むしろ、子どもに暴力的な言動のモデルを示すことになります。
 そうなのです。忘れてはいけないことは、我々大人は、いつ、いかなるときも、子どもに対しては、常に、「人間としての生き方を示すモデル」であるということです。これは、非常に責任がある立場です。もし、モデルである大人が、体罰等を行うということは、その子どもにとっては、自分も周りに対して同じように振る舞ってよいということを学ばせていることになるからです。
 そして、さらに心配なことは、子どもが保護者に恐怖心などを抱くと、信頼関係が築きにくくなるため、必要な時に悩みを相談したり、心配事を打ち明けたりすることが難しくなるということです。やはり、子どもにとって、最終的な心の拠り所は、保護者であることは間違いありません。誰にも相談できないようなことがあっても、お家の人には相談できる、そういう関係は築いておくことが大切だと思います。
 それでは、体罰等がよくないと分かっていても、いろいろな状況や理由によって、それが難しいと感じるとき、具体的にどんなことに気をつけて、子どもと関わっていけばよいのか、そのポイントについて、次回、触れていきたいと思います。

79 体罰等によらない子育て

 厚生労働省より「体罰等によらない子育てを広げよう!」というパンフレットが、今年4月に出ています。この内容は、とても興味深いもので、思わず「はっ」とさせられるものがありました。ちょっと紹介しますと…
 こんなことしていませんか?次の中で、「体罰」はどれでしょうか?
  ①言葉で3回注意したけど、言うことを聞かないので、頬を叩いた
  ②大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた
  ③友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った
  ④他人のものを取ったので、お尻を叩いた
  ⑤宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった
  ⑥掃除をしないので、雑巾を顔に押しつけた
 さて、一見、どれも「しつけ」のように見えるのですが、実は全て「体罰」です。しつけは、子どもの社会性を育み、社会生活をしていく上で必要なことを、しっかりと教え伝えていくことです。しかし、そのために、身体に、何らかの苦痛を引き起こし、または不快感を意図的にもたらす行為(罰)は、どんな軽いものであっても「体罰」に該当し、法律で禁止されています。
 続いて、こんなことしていませんか?
  ⑦冗談のつもりで、「お前なんか生まれてこなければよかった」など、子ど   もの存在を否定するようなことを言った
  ⑧やる気を出させるという口実で、きょうだいを引き合いにしてけなした
 さあ、どうですか。みなさん、心当たりはありませんか。先程の①から⑥の体罰は、いわば「身体的虐待」であります。そして、⑦⑧のようなものは、子どもの心を傷つける暴言であり、子どもの健やかな成長や発達に悪影響を与える可能性がある行為で、子どもの権利を侵害する、「心理的虐待」にあたります。
 虐待は他にも、「性的虐待」と「ネグレクト」があります。ネグレクトは、育児放棄とも言われ、食事や衣服など、子どもの健康や安全への配慮を怠る行為や、子どもに教育を保障する努力をしないことが該当します。新聞でも騒がれた、幼い子どもを家に置いたまま、数日家を留守にした事件、あれも児童虐待(ネグレクト)です。
 2018年のある意識調査によりますと、しつけのために、子どもに体罰することについて、「積極的にすべきである」が1.2%、「必要に応じてすべきである」が16.3%、「他に手段がないと思ったときのみすべきである」が
39.3%と、およそ6割の人が体罰を肯定しているという結果が出ました。
 体罰が子どもに与える影響には、いろいろなものがあります。それについては、また次回に紹介します。

78 第2学期がスタート!

 2学期がスタートしました。朝から元気に校庭で遊ぶ子どもたちの姿が見られ、うれしくなりました。始業式は放送で行いました。

「みなさん、おはようございます。
 みなさんの中には、今日、学校で友だちや先生に会うのが楽しみだった人がいると思います。みなさんの中には、今朝、起きるのが大変だった人もいると思います。みなさんの中には、学校に行くのがちょっといやだなと思った人もいるかもしれません。それでも、みなさん、頑張って起きて、準備をして、そして、休まずに学校に来てくれました。ありがとうございます。みなさんが今日、休まずに学校に来てくれて、とてもうれしいです。
 さて、今日から2学期がスタートします。2学期のスタートにあたり、みなさんにちょっと考えてほしいことがあります。それは、みなさんは、なぜ、学校に来るのか、ということです。みなさんは、なぜ、学校にくるのでしょうか。いかなければならないから、お家の人が行けというから。法律で決まってるから。いろいろ考えられます。
 私は、みなさんが学校に来るのは、次のように考えます。それは、「新しい自分に出会うため」。みなさんは、学校に来て、友だちや先生と一緒に、いろいろなことを学びます。その中で、今まで知らなかったことを知ったり、できなかったことをできるようになったりします。また、友だちや先生とのふれあいの中で、相手の新しいよさに気付いたり、自分との違いに気付いたりすることもあります。そうやって、学んでいくということは、それまでの自分と変わるということです。昨日の自分と今日の自分は違うということです。みなさんは、日々、新しい自分になっていきます。その新しい自分と出会うために、みなさんは学校に来ているのだと思います。だから、自分が、どんな新しい自分に変わることができるのか、わくわくしてほしいと思います。そして、それを楽しみに、これからも毎日、学校に来てほしいと思います。
 2学期は、今日から86日間あります。今の自分が、86日後、どんな自分に変わっているのか、楽しみですね。
 最後になりますが、うれしいニュースを紹介します。野木沢スポーツ少年団のみなさんが、夏休みに行われたソフトボール大会県南予選で、見事、ブロック優勝されました。おめでとうございます。暑い中での戦いだったと思います。よく頑張りましたね。9月に行われる県大会でも頑張ってください。
 それでは、まだまだ暑い日が続きそうです。新型コロナウイルスと熱中症に気をつけて、過ごしていきましよう。」

 保護者の皆様にも、2学期も引き続き、よろしくお願いいたします。

77 理科自由研究

 夏休みのある日の朝、玄関のひさしのところに、大きな蜘蛛の巣がはっていました。まさか、そんなところに巣があるとは予想できず、見事につかまってしまいました。それで、その時、ふと思ったのは、前日の帰りはなかった蜘蛛の巣は、一体どのくらいの時間でできあがったのか、ということ。気になったので調べてみると、30分から1時間ぐらいで出来上がるようで、意外と早くできるのだなあと思いました。そして、これって、理科自由研究の題材になりそうだなあとも思いました。
 今年の夏休みの課題に、理科自由研究があります。しかし、今年は県の理科作品展は中止なので、地区の審査のみになります。実は、本校は地区理科研究部の事務局をしています。県の理科作品展がないのは、コロナの影響です。県がないと分かった時、地区としてどうするか検討しました。我が石川地区には、浅川町出身で癌研究の先駆者として世界的に有名な医学者吉田富三博士がおり、浅川町には記念館もあります。毎年、県理科作品展の優秀作品が、吉田富三子ども科学賞を受賞し、また、石川地区の理科作品展の推薦作品は、同特別賞を受賞していました。そういういきさつもあり、また、東日本大震災の時も、同じように県理科作品展が中止になっても、石川地区のみ実施していたという前例にならい、今年も石川地区は実施することにしました。
 夏休み期間も短くなったこともあり、そんなに多くの出品数は期待できないかもしれませんが、それでも、毎年、いろいろな理科研究に挑戦している子どもさんもいます。夏休みもあと二日になりました。どんな作品が出品されるか、楽しみにしたいと思います。

76 モヤモヤそうだんクリニック(その2)

Q:どうしても本を好きになれません。どうしたら好きになれますか?

A:本が好きになれないという人は、「好きだ」と思える本に、まだ出会っていないだけ、という可能性があります。読まずにはいられないほど楽しい本に巡り会えれば、読書に対するイメージは大きく変わるはずです・・・

 

 「なるほど」と思います。自分のことを振り返ってみると、小学生時代、好きだった本は推理物でした。「シャーロック・ホームズ」シリーズも好きでしたが、それよりも夢中で読んでいたのが「こちらマガーク探偵団」シリーズ。

 主人公は、赤毛にそばかすが特徴のちょっとわがままで元気な男の子マガーク。そして、マガークの親友のジョーイ。その二人で作った「マガーク探偵団」が、自分たちの街で起こる、ちょっとした事件を、推理して調査して解決していくという物語。ちょうど小学生で年齢的に近かったこともあり、すごくはまって読んでいました。

75 モヤモヤそうだんクリニック

 NHK出版より「モヤモヤそうだんクリニック」という本が出ています。これは、子どもたちからのいろいろな、モヤモヤっとした相談事に、薬学博士で脳科学者の先生が相談にのってくれているものです。読んでみると、子どもたちは、実にいろいろなモヤモヤがありまして、

 ・頭のよくなる薬はありますか?
 ・記憶力をよくするためには、どうしたらよいですか?
 ・朝、なかなか起きられません。なぜですか?
 ・ゲームがやめられない!どうすればいい?   等など
 

 その中で、「!」と思った質問がありました。

Q:ぼくの「やる気のスイッチ」はどこにあるんでしょう?

 さあ、みなさんは、この質問にどう答えますか?本の先生は、次のように答えています。

A:「やる気のスイッチ」は脳の中にあります。脳をリンゴだとすると、種のような小さい部位で「淡蒼球(たんそうきゅう)」と呼ばれるところです。ここが活発に働くと、やる気がみなぎってきます。でも、この淡蒼球は、自分の意思でオンにすることができません。オンにするためには、脳の別の場所を上手に刺激する必要があります。次にその方法を紹介します。
 運動野を刺激する。ここは、骨や筋肉に運動の命令をする部位です。やる気は出るまで待っているものではなく、行動を起こすことで迎えに行くものです。まず、身体を動かすことを始めれば、だんだん気分が乗ってきて、やる気がムクムク湧いてきます。どうしても、気分が乗らない時は、「テンコブポーズ」が効果的。スクッと立って、目を大きく見開いて、「にっ」と口角を上げ、天に向かって、こぶしを高く突き上げます。これが、「テンコブポーズ」。脳はだまされやすいので、身体を動かすことで、つられて脳もその気になってきます。

 他にも、記憶に関係する「海馬」は、マンネリでは元気にならないので、何か変化をつけてみることや、「報酬系」と呼ばれる、ごほうびで快感を感じる神経回路を刺激するような「ごほうび」を自分で決めてみることなどを紹介しています。

 どうですか?なかなか専門的なことを、分かりやすく、面白く紹介して答えてくれています。

74 広島原爆の日

 今から、75年前の1945年(昭和20年)8月6日、午前8時15分、広島に原爆が投下されました。これに関連して、今朝の福島民報に興味深い記事が載っていました。
「『広島市に原爆が投下されたのはいつか?』の問いに、十年前、広島市立の小学4年~6年の児童の内、正確に時刻まで答えられたのは、33%、3人に1人という結果だった。思いのほか低い結果に衝撃を受け、広島市は改めて、平和教育の練り直しを進め、5年後、正答率は75.3%に高まった。」という内容でした。記事は続けて、こう述べてます。
「率だけで学びの善しあしは語れない。ただ、忘れてはならない『大切な日』として記憶に刻まれたに違いない。」そして、広島市教委の担当者は次のように語っています。
「学んで終わりではなく、広島や平和について発信できる生徒を育てるのが目標」。
 2011年(平成23年)3月11日、午後2時46分。福島県人として、この日は、忘れてはならない「大切な日」に違いありません。来年の3月で10年を迎えることになります。福島県議会では、この日を「祈念の日」に制定することを検討中です。また、福島県の教育でも、防災教育にも力を入れています。先程の広島市教委担当者の言葉を借りれば、将来、福島の子どもが大人になり、東日本大震災について、そして、その後の福島の復興について、自分の言葉で語れることが大事なのだと思いました。
 最後に、2016年3月11日の福島民報に、「ふくしま新生へ挑戦」と題したメッセージが掲載され、当時、私が勤務していた学校のHPで、その記事について次のように紹介しました。
「その記事には、震災から立ち上がり、福島県民は新たな挑戦をしていることや、その確かな成果が生まれていることが書かれていました。特に、原発事故による影響、その後の風評被害は、なかなか簡単には解決できないことでしたが、それでも、震災から5年を経て、いろいろな面で変化が見られるようになりました。記事にも、コメの全袋検査で基準値を下回ったことや県産野菜等の海外での輸入規制解除、魚介類の試験操業の拡大、そして、福島県産の日本酒の鑑評会における最高ランク評価獲得など、未来に向けた明るい期待が紹介されていました。そして、その後に続く言葉を読んで、ぐっと胸に迫る物を感じました。『福島県産は本物だ。世界で最も厳しいレベルの検査を経て出荷される。安全は折り紙付き、味は極上、品質は一流。世界ブランドとして堂々と売り込み、風評を払拭しよう。』そうなのです。私たち福島県では、うそ、偽りのない、正真正銘、『本物』をつくっているのです。微塵もごまかしなどない。安全で、安心して口にできる、そして、美味しいものなのです。これが『本物のすばらしさ』です。本物には力があります。きっと世界中の人に理解してもらえる、そう信じています。」

73 赤べこの話

 以前、コロナ関連の話の中で、赤べこについて触れました。その時も少し書きましたが、赤べこの由来は諸説あります。実は、今年で86歳になる私の母親が、かつて会津のかたりべをしていた時に、この赤べこについて昔語りをしておりました。その話によりますと、大同2年(807年)、(ちなみに、前年、大同元年の806年に磐梯山が噴火しています)、徳一大師といわれる僧侶が、柳津に福満虚空蔵堂を建立する際、重い材料を黙々と運ぶ赤い牛がおり、完成前夜に石になって寺院の守り神になったそうです。そして、その赤べこの供養のために張り子人形が作られ、会津地方に天然痘が流行った際に、赤べこの張り子人形を持っていた子どもたちは、病気にかからなかったと言い伝えられているそうです。赤べこの体には、斑点のようなものがあり、それは、その時の痘を表しているといいます。

 とても愛らしく、首を振る赤べこですが、意外なところで注目を浴びそうです。
 現在、TBSで「私の家政夫ナギサさん」というドラマを放映しています。28歳の独身女性がおじさんの家政夫を雇うことから始まるハートフルラブコメディー。仕事に一生懸命で、バリバリ働くキャリアウーマンの女性メイを、多部未華子さんが演じており、そのメイに雇われるスーパー家政夫ナギサさんを大森南朋さんが演じています。巷の多くの女性から、多くの共感を得ているドラマのようです。昨日、このドラマの第5話が放映されました。その中に、なんと「赤べこ」が登場したのです。今は大人になった娘たちの子ども時代の懐かしい思い出話の中で、赤べこは出てきました。家族旅行の楽しかった思い出の品が赤べこだったようです。きっと会津地方に出かけたのでしょう。突然の赤べこ出現に、驚きました。とても話題になっているドラマですので、もしかしたら、これをきっかけに、赤べこや会津が、また注目されるかもしれません。会津人の一人として、とてもうれしい限りです。

 最後に、かたりべだった母親が、赤べこの首振りについて、こんな話をしていたのを思い出しました。それは、赤べこは、いつもペコペコと、見る人に首を振って、頭を下げている。これは、私たち人間も、いくつになっても、どんな仕事や立場になっても、周りの人に、感謝して頭を下げることを忘れてはいけない、ということを教えてくれている、というものでした。

72 終業式の話

 1学期が終わりました。ちょっと振り返ってみましょう。
 4月、始まってすぐに臨時休校になり、不安いっぱいでスタートした1学期でした。5月、運動会が延期になり、他の行事も予定変更になり、思うようにいかない1学期でした。しかし、6月、今年は、水泳学習を頑張りました。4・5・6年生は鼓笛の練習も頑張りました。7月、6年生は修学旅行、4・5年生は海浜活動、1・2・3年生は見学学習にそれぞれ出かけ、いろいろな体験を通して、多くのことを学ぶことができました。また、1学期には、地域に出かけて、地域の人に、いろいろ教えてもらいながら体験学習もしました。そして、毎日、休み時間は、校庭や希望ヶ丘で走り回って遊びました。いろいろあった1学期でしたが、野木沢小のみなさんは、みな元気に、毎日を過ごしました。みなさん、この1学期、よく頑張りました。みなさんに、100点満点の花丸をあげます。

 さて、突然ですが、ここで、1学期クイズです。問題は、学年ごとに2問ずつ出します。
 まず、1年生の問題です。1年生のみなさんだけ答えて下さい。第1問、1年生のみなさんは、国語で音読劇を楽しみました。それは、おおきな( ① )ですか。第2問、校長先生が絵本の読み聞かせをしましたね。その絵本は、3びきのかわいい( ② )でしたか。1年生のみなさんは、どきどきの小学校生活のスタートでしたが、毎日少しずつ元気に、学校に慣れてきました。給食もたくさん食べられるようになりましたね。先生の話をよく聞いて、よく頑張りました。
 続いて、2年生のみなさんへの問題です。第1問、見学学習の問題です。生クリームを振り続けると( ③ )になりましたか。第2問、紀陸さんの畑に、1年生と植えたのは( ④ )でしたか。2年生のみなさんは、1年生のお兄さん、お姉さんとして、1年生のお世話をがんばりました。また、自分たちでも、よく話し合って、考えて活動することができるようになりました。 3年生への問題です。第1問、国語の「おとや」が出てくる話がありました。( ⑤ )の商売でしたか。第2問、3年生のみなさんが、相樂さんに教えてもらっているのは、( ⑥ )の栽培ですか。3年生のみなさんは、いつも、休み時間には、外を走り回って遊んでました。いつも元気いっぱいでしたね。そして、1年生・2年生のお手本を示そうと、見学学習などでよく頑張りました。
 4年生への問題です。第1問、国語の松井さんが出てくる話は、白い( ⑦ )でしたか。第2問、都道府県名の問題です。1道は北海道、1都は東京都、では、2府は、大阪府と( ⑧ )でしたか。4年生のみなさんは、3年生に負けず、休み時間は全力で遊んでましたね。教室では、いつも、自分の考えをしっかりと持って、交流しながら楽しく学習に取り組んでいました。
 5年生への問題です。第1問、校長先生が読み聞かせをした、絵本のタイトルは、( ⑨ )じまの夏休みでしたか。第2問、海浜活動の時の問題です。大昔、陸上から海へ帰った生き物がいました。それは( ⑩ )でしたか。5年生のみなさんは、高学年として、6年生と協力して、いろいろと頑張りました。いつも、みんな仲良く、楽しそうに活動してました。宿題もよく頑張りました。
 最後に、6年生への問題です。どちらも修学旅行の問題です。第1問、会津ご当地グルメを食べた班が取材をうけました。その食べ物は、会津( ⑪ )焼きそばですか。第2問、飯盛山に、世界的に珍しい二重らせんの木造建造物があります。その名前は、( ⑫ )ですか。6年生のみなさんは、最高学年として大変だったと思います。それでも、自分たちができることに、一生懸命取り組んできました。ご苦労様でした。みなさんが頑張ってくれたおかげで、野木沢小は、無事1学期を終えられます。ありがとうございました。

 みなさん、大正解です。
 さあ、明日から夏休みです。けがなく、事故なく、コロナウイルスにも気をつけて、安全に過ごして下さい。そして、楽しい夏休みにしてくださいね。
 それでは、2学期、また元気に会いましょう。


(1学期クイズの答え)
 ①かぶ ②おおかみ ③バター ④サツマイモ ⑤きつつき ⑥りんご ⑦ぼうし ⑧京都府 ⑨かいじゅう ⑩くじら ⑪カレー ⑫さざえ堂

71 1学期終了、お世話になりました!

 1学期が終わりました。無事…ではなかったですね。4月・5月、いきなりの臨時休校や分散登校。通常登校に戻った6月でしたが、学校は不安いっぱいの日々でした。そんな中、希望の光は、子どもたちの元気いっぱいの姿でした。休み時間、校庭や希望ヶ丘で走り回って遊ぶ姿に、勇気づけられました。授業参観日の全体会でお話ししました、できるだけ、規則正しく、健康な日々を送ることを、みんなで頑張ってきました。幸運なことに、7月には、予定していた修学旅行、海浜活動、そして、校外学習を、全て実施することができました。

 夏休みも短縮になりましたが、先日、ラジオ福島の取材を受けた6年生は、「夏休みが短くなることより、学校に来ていた方が楽しい」と答えました。その言葉が、今の野小っ子を物語っていると思いました。最終的には、72日間の1学期が、65日間(2~5年は62日間)で終了です。遅れていた学習は、順調に挽回してきています。2学期末には、ほぼ予定どおりになるでしょう。

 ただ、心配なのは、夏休みの子どもたちの生活です。19日間の夏休み。事故なく、けがなく、安全に楽しく過ごしてほしいです。そして、リフレッシュして、気分新たに、2学期を迎えてほしいと思います。その中で、是非、ご家族での時間を大切に過ごしてください。旅行やお出かけも気をつけて行って下さい。その時は、これまで同様、コロナ対策をしっかりとお願いします。他県からの親戚等と会う機会もあるかもしれません。どうぞ、よろしくお願いします。

 きっと、あっという間に終わる夏休みだと思います。それでも、休み中の課題は出されます。朝の涼しいうちに、計画的に取り組ませて下さい。2学期が始まれば、また、授業はどんどん進んでいきます。そういう意味で、1学期の復習は、この夏休みに行うことが大事です。
 最後になりますが、保護者の皆様には、1学期、いろいろと御協力いただきまして、ありがとうございました。

事故なく、けがなく、感染なく、楽しい夏休みを!

70 合い言葉は「ういて まて」

 日本赤十字福島支部の方を講師にお招きし、全学年で着衣泳を行いました。
 着衣泳とは、服を着て「泳ぐ」ことが目的ではありません。万が一、服を着たまま、水中に入ったら、どうやって、浮いていたらよいかを学習しました。もし、川や海で溺れたら、助けが来るまで浮いていなければなりません。そういう時に体力を失わず、長時間、水に浮いているための方法をいろいろ教わりました。
 この時の合い言葉は「ういて まて」。これは、水難学会が普及を薦めている言葉で、万が一に溺れた時だけでなく、自宅に洪水が押し寄せて来た時も、同様の行動が効果的なのだそうです。そして、東日本大震災の時に、津波が押し寄せた時、この「ういてまて」を実践し、実際に助かったケースがあるそうです。


 今回、教わったことは、とても役に立つことです。しかし、一番は、そういう状況にならないことです。最近の天気でも、集中的に強い雨が降り続くことがあります。そういう時は、川などの水位がみるみる上がってきます。ですから、川の近く等にいるのは危険です。キャンプでテントなどを張る場所も、水が上がってくるような場所にはたてません。海で泳いでいる時、海岸から沖に向かって流れる「離岸流」があります。この流れにはまると、一気に沖の方へ流されることがあるので、注意が必要です。
 消防庁からの注意の中に、「子どもは10cmの深さでもおぼれる」というものがあります。瞬間的に、鼻と口がふさがってしまうことで、十分溺れてしまうということです。浅いからと過信しないように、水辺では十分に気をつけてほしいです。

69 友だち考~いろんな子どもがいるんです~(続き)

 そして、それでいいとも思います。結論から言うと、友だちはいないよりはいたほうがいい。しかし、たくさんいる必要はない。最低、友だちは一人でいい。友だちと呼べなくても、気が合うような人が一人いれば、それでいいと思っています。学校は集団生活の場です。ですから、集団の中で、実に多くのことを学びます。なぜなら、そこに、不特定多数のいろんな考え方をした友だちがいるからです。自分と違う考え方をする友だちと関わりながら、誰とでも協力できることを学びます。人間だから、気が合う、合わないはあります。しかし、気が合わないから協力しないというのはだめです。そういう人とでも、協力して何か活動することができることは、将来、どんな人がいても、そういう人とうまく付き合いながら、仕事をすることができるということにつながります。社会に出て、仕事に就けば、そういう場面はよくあることだからです。気が合わないから協力できなかったら、仕事を辞めなければなりません。だから、協力できることは大事。しかし、だからと言って、仲良くなる必要はそこにはありません。

 しかし、その一人の友だち、もしくは、気が合う人が一人もいないというのは、学校生活を続けていく上で、少しつらい状況になる可能性はあります。考えてみればわかるかと思います。毎日、学校には行きます。しかし、そこで、誰とも楽しい会話ができない、たわいもないことを、もしくは同じ興味関心があることを話題にして、会話する相手が一人も居ないというのは、正直、寂しいです。一人でも平気という子も中にはいます。しかし、それが本心とは思えません。だから、友だちはたくさんはいらない。最低、一人でいい。友だちと呼べなくても、気が合うような人が一人いればいい。それは、べったりの仲良しである必要もないのです。楽しく会話できる関係の人が一人いればいい。それだけで、学校生活は楽しく過ごせると思います。だから、子どもたちの様子を見て、ひとりぼっちの子どもは居ないか、とても気になります。もし、そういう子がいたとしたら、友だちをあせって作る必要はありません。じっくり時間をかけて、もしくはチャンスを伺いながら、近づいてみればいいのです。不思議なもので、「類は友を呼ぶ」ということわざがあるように、気の合う者や似通った者は、自然と寄り集まって、いつの間にか仲良くなるのですから。

68 友だち考~いろんな子どもがいるんです~

 「一年生になったら」という歌があります。まど・みちおさんの作詞なんですね。知りませんでした。まどさんは、他にも、「ぞうさん」「やぎさん ゆうびん」なども作詞されている詩人です。詩の作品にもすてきなものがたくさんあります。さて、本題。「一年生になったら」の一番は、次のような歌詞です。みなさん、よくご存じですね。

  一年生になったら/一年生になったら/ともだち100人できるかな
  100人で食べたいな/富士山の上でおにぎりを
  パックン パックン パックンと

 1年生になる子どもたちの、わくわくした期待感がつまった、とても楽しい気持ちになる歌です。この歌詞がどうこういうわけではないのです。ただ、この歌詞にあるように、友だちがたくさんできることは、それはそれでいいと思うのですが、学校現場において、それが必ずしも必要かというと、そうではないということを言いたいのです。

 いろんな子どもがいます。友だちをどんどん作れる子もいれば、中にはそうではない子もいます。つまり、友だちをたくさんつくることに対して、目に見えないプレッシャーを感じている子もいるということです。子どもたちが、みな、自分から声をかけて、どんどん新しく友だちを作ることはできないと思います。中には、自分から声をかけるのが苦手な子どももいます。そういう子にとっては、「友だち100人」は、絶対無理なこと、自分にはできそうにないことと思っているのではないでしょうか。それなのに、友だちをたくさん作りましょう、と言われたら、もしかしたら、そんな無理なことを目指さなければならない学校に来ること自体、つらいことになる可能性があると思うのです。

 私の経験上、友だちがたくさんいると言う子は、意外とそんなにいないようにも思います。(続く)

67 「日常を十七音で」 ~5年生の作品~ Part3

 今回が、最後の紹介になります。まずは、日常の風景を題材にした作品です。

  にじのした ソフトボールの 大会だ

  太陽が みなをみまもる 水あそび

  十五夜と 世界のみんな にらめっこ

  マスクして コロナウイルス たたかうぞ

 日常の生活を題材にすると、スポ少のことやプールのこと、お月見のこと、そして、コロナ対策のことが唱われていました。作った子どもたちが、どんな生活をしているかで、作られる句も変わってくるのですね。

 最後は、動物が登場する作品です。

  わたり鳥 家にかえるよ うみこえて

  水たまり カエルの恋が そよ風と

  夜の中 せみのなき声 子守歌

  春の空 すずめたちが ふえを吹く

 子どもたちの目には、動物たちの行動は、どれも擬人化されて見えるので しょうか。おもしろいです。やはり、生き物と子どもたちの関係は、大人に 比べると、より近い存在なのかもしれませんね。
  最後に、子どもたちに真似て、私も一句詠んでみます。

  今日もまた 声だけ聞こえる ホトトギス

66 体験活動がもたらすこと

 4年生と5年生が、20日にいわきへ出かけました。舟戸海岸で磯遊びをしました。この海岸は、すぐ隣に波立薬師があります。トンネルとトンネルの間にあって、ちょうど入り江のようになっているため、波も穏やかで、干潮時には、岩場に潮だまりができ、磯遊びができるのでした。子どもたちは、夢中になって、海の生き物探しをしていました。子どもたちにとっても、海は魅力的な場所のようでした。かく言う私も、会津生まれのため、子どもの頃は猪苗代湖で湖水浴しかしたことがなく、海は憧れの場所でした。前に話しましたが、小2の時、海で溺れているのですが、それでも、海は大好きでした。ですから、私自身、子どもたちと一緒に、海の生き物探しを楽しみました。2時間あまりの活動でしたが、子どもたちは、いろいろな生き物を見つけました。ウニ、アワビ、ヒトデ、カニ、アメフラシ、小さい魚…。それらを見つける活動を通して、子どもたちは、図鑑などでは分からないことを発見しました。それは、アメフラシの柔らかさやヒトデの堅さ、カニのすばしっこさや岩陰に隠れたカニはなかなか捕まえられないことなど。そういうことは、実際に、体を使って、体験してみないと分からないことでした。また、磯の香りや海水のしょっぱさ、海岸の小石がサンダルに入って痛いことなども、映像で見ても気づけない、実際に自分の五感を通して感じることでした。そういう意味で、やはり、体験活動で学ぶことは大事だと改めて思いました。

 これは、他の学年でも言えることで、6年生は、会津の町を歩くことで、会津の町並みや会津の人の生活に触れ、実際に体験することで、起き上がり小法師や赤べこの絵付けの筆の感触を感じ、実際に食すことで、会津の名物の美味しさを味わうことができました。1年~3年の子どもたちも、実際に容器を振って、バターづくりの難しさや楽しさを感じ、直接、餌をあげてみて、動物たちの餌を食べる口の動きや仕草を観察することができました。これらは、教室の机の上では、絶対に理解できない、体験して初めて理解できることなのです。

 こういう学びは、本物です。そして、実感が伴うので、より理解されます。きっと、子どもたちは、体験を通して気付いたことや分かったことは、ずっと忘れないと思います。そして、そういう五感を通した学びが、子どもたちの感覚を磨き、人間性も豊かにしてくれるのだと思います。

65 月面着陸

 今から51年前の1969年7月20日、アポロ11号で打ち上げられたアームストロングが、人類で初めて月に降り立ちました。これは、とてもすごいことではあるのですが、個人的には、月旅行関連で、これとは別にすごいと思っていることが二つあります。
 一つは、その翌年の1970年4月に打ち上げられたアポロ13号の出来事です。そのことは、映画にもなっているので、ご存じの方のいると思います。このアポロ13号は、月面着陸のために打ち上げられましたが、2日後に機械室の酸素タンクの一つが爆発するという事故が発生します。宇宙空間で、機械船の電気と水が不足するという状態になり、ある意味、絶望的な状況になります。しかし、3人のクルーと地上のスタッフは、連絡を取り合いながら、問題を一つ一つ解決していきます。例えば、本来、月面に着陸するための着陸船を、救命ボート代わりに利用することにしました。それは、月面着陸を諦めるということでした。しかし、月面着陸よりも無事に地球に帰還することを第一に考えました。他にも、機械船と着陸船の空気清浄フィルターの形状の違いを、宇宙船の中にあるもので作り替えたり、着陸のために必要な電源を確保するための節電方法を探ったりします。すごいと思うのは、地上の訓練用の機械室を使って、実際にシミュレートをして、最善の方法を探り、その結果を宇宙船に伝えて、危機を乗り切っているところです。こうして、アポロ13号は、無事に地球に帰還しました。この偉業は、「栄光ある失敗」と名付けられました。
 二つは、アポロ11号の月面着陸より、およそ100年前の1865年に、ある作家が、月へロケットを飛ばす話を書いていることです。その人物とは、ジュール・ヴェルヌ。作品は、「月世界旅行」です。人間が乗れるような大きさの大砲を、月に向けて打ち上げ、月周回軌道に乗り、月を観察して、また、地球まで帰ってくる話です。宇宙空間では、無重力状態になったり、月は生き物がいない死の世界であることを確認したりと、今では当然の情報が、至る所にちりばめれています。そして、地球への帰還は、海に砲弾が着水して、アメリカの軍艦に救助されるのですが、その救助した軍艦が「サスケハナ号」。なんと、1853年にペリーを乗せて日本に来た黒船です。意外なところで、つながっています。この作品を書いたジュール・ヴェルヌは、他にも、「80日間世界一周」や「海底2万里」、そして、「十五少年漂流記」なども書いています。どれも、はらはらどきどきの冒険譚です。
 私たち人類は、未来の世界を空想し、その一つ一つを実現させてきました。携帯電話は、そのいい例です。ですから、今はまだ開発中の、完全なオートドライブの自動車も、いずれできるかもしれません。もしかしたら、タイムマシンも…。

64 先生方のおすすめの本

 図書委員会が、先生方に「読書感想文を書くのに、おすすめの本」についてアンケートを取りました。結果は、昼の放送で紹介していたのですが、どんな本がおすすめなのか、LIVEでも紹介します。

 ・おまえ うまそうだな  ・カラフル  ・はれ ときどき ぶた
 ・しゅんかん図鑑  ・かいじゅうたちのいるところ  ・wonder
 ・一瞬の風になれ  ・夢をかなえるゾウ  ・飛ぶ教室
 ・君たちはどう生きるか  ・ヘレンケラー  ・バッテリー
 ・だいじょうぶ だいじょうぶ  ・グスコーブドリの伝記
 ・銀河鉄道の夜  ・虔十公園林 ・はらぺこあおむし ・日本教育小史
 ・犬がくれた「ありがとう」の涙 ・ぼくたちのリアル
 ・ヒロシマ 消えたかぞく  ・泣いた赤おに ・花さき山
 ・野口英世  ・走れメロス  ・蜘蛛の糸  ・ああ無情
 ・ナイチンゲール  ・杉原千畝物語  ・田中正造
 ・佐賀のがばいばあちゃん  ・フランダースの犬  
 ・シャーロットのおくりもの  ・本好きの下克上  ・十五少年漂流記
 ・二分間の冒険  ・マヤの一生 ・きつねのでんわボックス

 さすが、先生方は、いろいろなジャンルの本をおすすめをしています。みなさんも、一度は読んだことがある本があるのではないでしょうか。そんな中、特徴的だったのは、伝記をあげている先生が多かった点です。

 伝記は、一人の人物の生き方を紹介しています。その人物は、偉人と呼ばれる人たちが多いのですが、その一生を知ると、やはり誰もが同じ人間なんだなあということに気づかされます。有名な所では、発明王のエジソン。彼は、学校に入学すると、なんと3ヶ月で退学になっています。彼にとって、学校での興味関心が、他の子どもたちの教育にとって、迷惑になるというものでした。いったい、エジソンは、学校でどんなことをしたのか、それについては、是非、エジソンの伝記を読んでみてください。そんなエジソンが、なぜ発明王にまでなったのか。それを支えたのは、やはり母親の愛情なのです。周りからどんなに好奇の目で見られようと、いつでも息子のことを愛し、支えた母親の存在があったから、彼は、自分の好奇心を持ち続け、自分らしく生きていくことができたのでした。伝記から、そういうことにも気付かされます。

 最後に、伝記で感想文を書いてみようと思ったみなさんへ。伝記で感想文を書く時は、その人物の生い立ちについて、長々と書くことはしません。伝記の人物の生き方と、自分の生き方を比べて、似ているところ、違うところ、真似してみたいところ、そして、自分がこれから生きていくのに参考にしたいところなどをまとめてみます。そして、その人物が、自分の人生において、大事にしていたことは何か考えてみます。それらをまとめたら、きっと、あっという間に、感想文は出来上がるのではないでしょうか。参考までに。

63 「日常を十七音で」 ~5年生の作品~ Part2

今回は、夏休みをイメージさせる3作を紹介します。

  さあ走ろう 夏の太陽 青空と

  海に行き 泳ぎまくるよ わくわくだ

  夏の海 なみにながれて うとうとと

 子どもたちは、夏休みを楽しみにしています。夏休みは何をして過ごそうか。海へ、山へ、夏の太陽の下で、元気いっぱいに過ごしている子どもたちの姿を想像します。
 夏の海というと、私には忘れられない思い出があります。私が小学2年の夏、父親の故郷の山形の海に行きました。そこで、浮き輪のボードに乗って、ゆらゆら波に揺られていたら、知らず知らずに沖の方へ…そこに波が来てザッバーン!なんと足が届かないような深いところで、溺れたのでした。必死にボードに乗ろうとするのですが、パニックで、水は飲むわ、苦しくなるわで、もうだめか…と思ったその時、父親が助けに来て、間一髪、助かったという経験です。みなさん、海では気をつけて下さいね。

62 夏休み期間中の行動記録について

 いよいよ1学期も残り2週間となりました。2週間と言っても、来週は、23日(木)~26日(日)まで4連休になりますので、実質登校日は8日となります。この8日間で、可能な教育活動にしっかりと取り組むとともに、夏休みの事前指導を行っていきます。

 今年の夏休みは短縮されたとはいえ、子どもたちはとても楽しみにしていると思います。是非、充実した夏休みにしていただきたいと思います。しかし、やはり心配なのは、夏休み中の新型コロナウイルスの感染対策です。これにつきましては、これまで同様、感染防止の基本である、密にならないこと、マスクの着用、手洗いをお願いします。

 さて、夏休み期間中、御家庭によっては、お出かけの計画等もされているかと思います。御家庭での思い出づくりや家族の絆を深める貴重な機会だと思います。ただ、そのお出かけの際は、次に示します、厚生労働省より出されました「新しい生活様式」の中の「移動に関する感染対策」について、気をつけていただきたいと思います。

移動に関する感染対策

 □感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
 □発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモにする。接触確認アプ リの活用も。
 □地域の感染状況に注意する。

 特に、県外への移動や県外から来た人との接触については、感染リスクが高くなる場合もございますので、気をつけて行動していただきたいと思います。

 また、感染対策の二つめには、発症した時のために、誰とどこで会ったか記録することを勧めています。実際、発症したら、保健所による聞き取り調査があり、詳しい行動記録が求められます。そこで、この「移動に関する感染対策」を受けまして、学校としても、夏休み期間中の子どもたちの行動記録について、把握しておきたいと考えております。内容としては、記録用紙に、夏休み期間中に、県外への移動と県外から来た人との接触について該当する場合、記入して頂く予定です。その記録用紙は、個人情報扱いとしますので、内容について職員以外に知らせることはありません。また、提出して頂いた記録用紙を、学校として何かに利用することもありません。あくまで、夏季休業中の児童の他県への移動並びに他県から来た人との接触の有無についての把握です。詳しくは、後日、改めてお願いのプリントを配付しますので、そちらをご覧になり、御理解と御協力をお願いします。

61 「あぶらむし」ってご存じですか?

 「あぶらむし」と言っても、実際の生物のアブラムシのことではありません。昔、子どもたちは、家が近いもの同士で、神社の境内などに集まって、遊んでいました。当然、小さい子から大きい子まで一緒になって遊びました。そういう時に、問題になるのは、みんなが同じルールで遊んでいると、小さい子は楽しめないということです。走るのだって、ボールを投げるのだって、小さい子は不利です。もし、鬼ごっこで遊んでいたら、鬼はいっつも、小さい子になってしまいます。また、ドッジボールをしたら、小さい子はすぐに当てられて、ずっと外野に行って、内野に戻ってくることができません。これでは、小さい子はすぐに「つまんない」となってしまいます。
 そういう時に登場するのが、「あぶらむし」というルールです。私の生まれた会津地方では「あぶらむし」ですが、教頭先生に聞いたら、石川町では「みそっかす」と言っていたようです。どういうふうに使うのかというと、みんなで何かして遊ぶ時、必ず、「じゃあ、○○と△△は、あぶらむしね。」と誰かが言って、そのことをみんなで確認します。「あぶらむし」と言われた○○と△△は、大概小さい子で、その子たちはどうなるかというと、特別ルールの対象になるのです。鬼ごっこだったら、鬼にタッチされても、鬼にならなくていいし、ドッジボールだったら、当てられても、外野に行かなくていいのです。これに対して、「ずるい」という声は上がりません。なぜなら、この「あぶらむし」ルールがあるから、小さい子も一緒に混ざって、楽しく遊ぶことができるからです。大事なのは、みんなで楽しく遊ぶことなのです。誰かがつまらない状況にはしないのです。だから、他にも、鬼ごっこをしていて、同じ子ばかり鬼にならないようにしたり、ボールをねらう子も変えたりしたりしていました。そうやって、みんなで楽しくあそんでいたのです。
 体育委員会の子どもたちが、全校鬼ごっこを企画しました。ルールは、鬼にタッチされたらジャンケンをして、負けたら鬼になるという増やし鬼です。なるほど、これなら鬼にタッチされても、生き残れるチャンスがあります。走るのが苦手な子も、すぐに鬼になるとは限りません。さらに、ルールは走り方でも工夫していました。なんと、3年生以上は、膝を伸ばして走らなければなりません。知っているでしょうか、あの萩本欽一さんの「欽ちゃん走り」です。これなら、速く走るのもなかなか抵抗が生まれ、小さい子が大きい子をタッチするチャンスが出てきます。そして、小さい子も捕まらずに逃げることができそうです。なかなか考えられていました。きっと、委員会の話し合いで、全校生が楽しく鬼ごっこをするためにはどうしたらよいか、考えたのだと思います。昔の「あぶらむし」「みそっかす」に共通する考え方だと思いました。

 結果、全校生で楽しく鬼ごっこで遊ぶことができました。そして、全員が捕まったら、最後まで生き残った3人が紹介され、その中に2年生や1年生の子がいたのでした。全員から大きな拍手を送られ、うれしそうでした。
 子どもの数も減少し、近所に子どもがいなくなっている今、このように学校で、学年を超えて、楽しく遊ぶ活動は、貴重だなあと思いました。しかし、時代は変わっても、大きい子が小さい子のことを思い、優しい手を差し伸べることができていることがうれしく、そういうことができる、野木沢小の子どもたちを改めて素敵だなあと思いました。

 

60 日常を十七音で

5年生が国語の学習で作った俳句を紹介します。

  夕立の きぼうがおかは みずあびだ

  雨の中 かさがくるくる アサガオだ

 まず、季節柄、雨をテーマにした作品を2つ紹介します。
 一つ目の作品。晴れていれば、駆け回って遊んでいる希望ヶ丘が、雨で遊びに行けない。そんな雨にぬれる様子を見て、水浴びしているようだと感じたのでしょう。希望ヶ丘が、子どもたちにとって身近だからこそ、そう感じたのかもしれません。二つ目の作品。色とりどりに開いた傘が、アサガオのように見えたのですね。くるくるという言葉に、そんな雨の日でも、楽しく過ごしている様子が分かります。

 

  七夕に たんざくかいて ねがいのせ

  たなばたは ゆめも願いも かなえるよ

 続いて、七夕をテーマにした2作。日本古来の風習の中で、この七夕は、比較的行われていると思います。考えてみると、短冊に願いを書いて、七夕様に夢をたくす行為は、ロマンチックですね。まさに「星に願いを」です。ディズニー映画「ピノキオ」の主題歌に、「星に願いを」という曲があります。素敵な曲です。なかなか普段の生活で、星を眺める機会はありません。時には、夜空を見上げ、星のまたたきを見たり、夢や願いを思ったりする心のゆとりを持ちたいと思います。