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1. 81 体罰等によらない子育て(その3)

投稿日時: 2020/08/24 野木沢小-サイト管理者

 子どもとの関わりのポイントの前に、体罰等をしてしまう背景について、考えてみましょう。
 子育ては、私も経験がありますが、思うようにいかないことの連続です。また、相手が子どもであるという点で、独特な感情が起きてしまいがちです。例えば、自分は一生懸命向き合っているのに…、何度言っても全然分かってくれない…、自分も同じように親にされてきた…、大人として子どもになめられてはいけない…、痛みを伴わないと他人の痛みは分からない…、愛情があれば叩いても分かってくれるはずだ…等など。

 では、そんな思うようにいかない子どもと、体罰等によらないで、どう関わっていけばよいのでしょうか。パンフレットには、7つのポイントが紹介されています。

1 子どもの気持ちや考えに耳を傾けましょう
 子どもは、相手に自分の気持ちや考えを受け止めてもらえたと感じると、気持ちが落ち着いてきます。逆に、受け止めてもらえない状況では、何を言われても素直に聞けません。だから、まずは、何がしたいのか、どういう気持ちなのかを理解し、受け止めることが大事です。そうして、気持ちを落ち着かせてから、子どもに問いかけたり、相談しながら、どうしたらよいか一緒に考えるようにします。

2「言うことを聞かない」にもいろいろあります。
 まず、「イヤだ」というのは、子どもの気持ちです。私たち大人でさえ、「イヤだ」と思うことはあります。ただ、我々大人は、「大人」なので、(イヤだ)と思っても、それを口にしないことがあります。しかし、子どもはイヤなら「イヤだ」と口にするのです。「子ども」だから。だから、そうした感情を持つこと自体は、いけないことではありません。ですから、保護者の気をひきたい、子どもなりの考えがある、言われていることを理解していない、体調がわるい等、言うことを聞かない理由は様々なので、特に重要なことでなければ、今はそれ以上やり合わない…という方法もありです。お互いのために。

3 子どもの成長・発達によっても異なることがあります。
 同じ子どもでも、例えば、1年生と6年生では、できること、できないこと、理解すること、理解できないことなど、すごく差があります。同じようにその子の特質にも差があります。だから、例えきょうだい間でも比べることは意味がないのです。

4 子どもの状況に応じて、身の周りの環境を整えてみましょう
 環境を整えることで、あえて叱らなくてもよい環境は作れます。子どもが困った行動をする場合、子ども自身も困っていることがあるからです。子ども自身に自分でできるようにさせたい場合は、子どもが自力でやれるような、そういう環境作りを工夫してみることです。

5 注意の方向を変えたり、子どものやる気に働きかけてみましょう
 子どもによっては、すぐ気持ちを切り替えるのが難しいお子さんもいます。ですから、時間的に可能なら待つことも一案。私は子育て中、この「待つ」ということが、自分にとっては我慢が必要なことでとても難しかったことを覚えています。それが難しい場合は、場面を切り替えたり、場所を変えたりして、注意の方向を変えてみるとよいです。子どもが楽しく取り組めるのが一番なので、子どもの好きなことややる気が増すような方法を工夫してみるとよいです。

6 肯定文でわかりやすく、時には一緒に、お手本に、
 子どもに伝える時は、大声で怒鳴るよりも、「ここでは歩いてね」など、肯定文で何をすべきかを具体的に、また、穏やかに、より近づいて、落ち着いた声で伝えると、子どもには伝わりやすくなります。命令文ではなく、「一緒におもちゃを片付けよう」と共におこなったり、やり方を示したり、一緒にやりながら教えたりするといいでしょう。

7 良いこと、できていることを具体的に褒めましょう
 子どもの良い態度や行動を褒めることは、子どもにとって嬉しいだけでなく、自己肯定感を育むことになります。特に、結果だけでなく、頑張りを認めることや、今できていることに注目して褒めることが大切です。できて当然、と思ってしまうと、なかなか褒められません。しかし、後々のことを考えると、今できたからといって、次もできるとは限らないものです。できた時にほめないと、結果、次にできなかった時、また叱ることにもなります。できたら、ほめる。そして、子ども自身にそのことを強化してあげる。ならぬことはならぬですが、逆に、いいことはいいのです。

 さて、パンフレットを元に、体罰等によらない子育てについて、述べてきました。ここまで書いていて、私自身、「言うは安し、行うは難し」であることを、改めて噛みしめています。しかし、今年の4月に児童福祉法等の改正がされ、体罰が許されないものとして法定化されました。そういう意味で、子育てに関して、我々大人は、これまで違う、新しい見方・考え方で行っていかなければならないのだと思います。そして、子どもを一人の人格者として、尊重し、寛容さをもって接していくことが大事なのだと思います。
 最後になりますが、子育てに関して、全てお家の方が抱えることはありません。相談窓口はいろいろあります。学校もその一つです。何か困ったことがありましたら、いつでも相談してください。一緒に考えていきましょう。