学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

61 「あぶらむし」ってご存じですか?

 「あぶらむし」と言っても、実際の生物のアブラムシのことではありません。昔、子どもたちは、家が近いもの同士で、神社の境内などに集まって、遊んでいました。当然、小さい子から大きい子まで一緒になって遊びました。そういう時に、問題になるのは、みんなが同じルールで遊んでいると、小さい子は楽しめないということです。走るのだって、ボールを投げるのだって、小さい子は不利です。もし、鬼ごっこで遊んでいたら、鬼はいっつも、小さい子になってしまいます。また、ドッジボールをしたら、小さい子はすぐに当てられて、ずっと外野に行って、内野に戻ってくることができません。これでは、小さい子はすぐに「つまんない」となってしまいます。
 そういう時に登場するのが、「あぶらむし」というルールです。私の生まれた会津地方では「あぶらむし」ですが、教頭先生に聞いたら、石川町では「みそっかす」と言っていたようです。どういうふうに使うのかというと、みんなで何かして遊ぶ時、必ず、「じゃあ、○○と△△は、あぶらむしね。」と誰かが言って、そのことをみんなで確認します。「あぶらむし」と言われた○○と△△は、大概小さい子で、その子たちはどうなるかというと、特別ルールの対象になるのです。鬼ごっこだったら、鬼にタッチされても、鬼にならなくていいし、ドッジボールだったら、当てられても、外野に行かなくていいのです。これに対して、「ずるい」という声は上がりません。なぜなら、この「あぶらむし」ルールがあるから、小さい子も一緒に混ざって、楽しく遊ぶことができるからです。大事なのは、みんなで楽しく遊ぶことなのです。誰かがつまらない状況にはしないのです。だから、他にも、鬼ごっこをしていて、同じ子ばかり鬼にならないようにしたり、ボールをねらう子も変えたりしたりしていました。そうやって、みんなで楽しくあそんでいたのです。
 体育委員会の子どもたちが、全校鬼ごっこを企画しました。ルールは、鬼にタッチされたらジャンケンをして、負けたら鬼になるという増やし鬼です。なるほど、これなら鬼にタッチされても、生き残れるチャンスがあります。走るのが苦手な子も、すぐに鬼になるとは限りません。さらに、ルールは走り方でも工夫していました。なんと、3年生以上は、膝を伸ばして走らなければなりません。知っているでしょうか、あの萩本欽一さんの「欽ちゃん走り」です。これなら、速く走るのもなかなか抵抗が生まれ、小さい子が大きい子をタッチするチャンスが出てきます。そして、小さい子も捕まらずに逃げることができそうです。なかなか考えられていました。きっと、委員会の話し合いで、全校生が楽しく鬼ごっこをするためにはどうしたらよいか、考えたのだと思います。昔の「あぶらむし」「みそっかす」に共通する考え方だと思いました。

 結果、全校生で楽しく鬼ごっこで遊ぶことができました。そして、全員が捕まったら、最後まで生き残った3人が紹介され、その中に2年生や1年生の子がいたのでした。全員から大きな拍手を送られ、うれしそうでした。
 子どもの数も減少し、近所に子どもがいなくなっている今、このように学校で、学年を超えて、楽しく遊ぶ活動は、貴重だなあと思いました。しかし、時代は変わっても、大きい子が小さい子のことを思い、優しい手を差し伸べることができていることがうれしく、そういうことができる、野木沢小の子どもたちを改めて素敵だなあと思いました。

 

62 夏休み期間中の行動記録について

 いよいよ1学期も残り2週間となりました。2週間と言っても、来週は、23日(木)~26日(日)まで4連休になりますので、実質登校日は8日となります。この8日間で、可能な教育活動にしっかりと取り組むとともに、夏休みの事前指導を行っていきます。

 今年の夏休みは短縮されたとはいえ、子どもたちはとても楽しみにしていると思います。是非、充実した夏休みにしていただきたいと思います。しかし、やはり心配なのは、夏休み中の新型コロナウイルスの感染対策です。これにつきましては、これまで同様、感染防止の基本である、密にならないこと、マスクの着用、手洗いをお願いします。

 さて、夏休み期間中、御家庭によっては、お出かけの計画等もされているかと思います。御家庭での思い出づくりや家族の絆を深める貴重な機会だと思います。ただ、そのお出かけの際は、次に示します、厚生労働省より出されました「新しい生活様式」の中の「移動に関する感染対策」について、気をつけていただきたいと思います。

移動に関する感染対策

 □感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
 □発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモにする。接触確認アプ リの活用も。
 □地域の感染状況に注意する。

 特に、県外への移動や県外から来た人との接触については、感染リスクが高くなる場合もございますので、気をつけて行動していただきたいと思います。

 また、感染対策の二つめには、発症した時のために、誰とどこで会ったか記録することを勧めています。実際、発症したら、保健所による聞き取り調査があり、詳しい行動記録が求められます。そこで、この「移動に関する感染対策」を受けまして、学校としても、夏休み期間中の子どもたちの行動記録について、把握しておきたいと考えております。内容としては、記録用紙に、夏休み期間中に、県外への移動と県外から来た人との接触について該当する場合、記入して頂く予定です。その記録用紙は、個人情報扱いとしますので、内容について職員以外に知らせることはありません。また、提出して頂いた記録用紙を、学校として何かに利用することもありません。あくまで、夏季休業中の児童の他県への移動並びに他県から来た人との接触の有無についての把握です。詳しくは、後日、改めてお願いのプリントを配付しますので、そちらをご覧になり、御理解と御協力をお願いします。

63 「日常を十七音で」 ~5年生の作品~ Part2

今回は、夏休みをイメージさせる3作を紹介します。

  さあ走ろう 夏の太陽 青空と

  海に行き 泳ぎまくるよ わくわくだ

  夏の海 なみにながれて うとうとと

 子どもたちは、夏休みを楽しみにしています。夏休みは何をして過ごそうか。海へ、山へ、夏の太陽の下で、元気いっぱいに過ごしている子どもたちの姿を想像します。
 夏の海というと、私には忘れられない思い出があります。私が小学2年の夏、父親の故郷の山形の海に行きました。そこで、浮き輪のボードに乗って、ゆらゆら波に揺られていたら、知らず知らずに沖の方へ…そこに波が来てザッバーン!なんと足が届かないような深いところで、溺れたのでした。必死にボードに乗ろうとするのですが、パニックで、水は飲むわ、苦しくなるわで、もうだめか…と思ったその時、父親が助けに来て、間一髪、助かったという経験です。みなさん、海では気をつけて下さいね。

65 月面着陸

 今から51年前の1969年7月20日、アポロ11号で打ち上げられたアームストロングが、人類で初めて月に降り立ちました。これは、とてもすごいことではあるのですが、個人的には、月旅行関連で、これとは別にすごいと思っていることが二つあります。
 一つは、その翌年の1970年4月に打ち上げられたアポロ13号の出来事です。そのことは、映画にもなっているので、ご存じの方のいると思います。このアポロ13号は、月面着陸のために打ち上げられましたが、2日後に機械室の酸素タンクの一つが爆発するという事故が発生します。宇宙空間で、機械船の電気と水が不足するという状態になり、ある意味、絶望的な状況になります。しかし、3人のクルーと地上のスタッフは、連絡を取り合いながら、問題を一つ一つ解決していきます。例えば、本来、月面に着陸するための着陸船を、救命ボート代わりに利用することにしました。それは、月面着陸を諦めるということでした。しかし、月面着陸よりも無事に地球に帰還することを第一に考えました。他にも、機械船と着陸船の空気清浄フィルターの形状の違いを、宇宙船の中にあるもので作り替えたり、着陸のために必要な電源を確保するための節電方法を探ったりします。すごいと思うのは、地上の訓練用の機械室を使って、実際にシミュレートをして、最善の方法を探り、その結果を宇宙船に伝えて、危機を乗り切っているところです。こうして、アポロ13号は、無事に地球に帰還しました。この偉業は、「栄光ある失敗」と名付けられました。
 二つは、アポロ11号の月面着陸より、およそ100年前の1865年に、ある作家が、月へロケットを飛ばす話を書いていることです。その人物とは、ジュール・ヴェルヌ。作品は、「月世界旅行」です。人間が乗れるような大きさの大砲を、月に向けて打ち上げ、月周回軌道に乗り、月を観察して、また、地球まで帰ってくる話です。宇宙空間では、無重力状態になったり、月は生き物がいない死の世界であることを確認したりと、今では当然の情報が、至る所にちりばめれています。そして、地球への帰還は、海に砲弾が着水して、アメリカの軍艦に救助されるのですが、その救助した軍艦が「サスケハナ号」。なんと、1853年にペリーを乗せて日本に来た黒船です。意外なところで、つながっています。この作品を書いたジュール・ヴェルヌは、他にも、「80日間世界一周」や「海底2万里」、そして、「十五少年漂流記」なども書いています。どれも、はらはらどきどきの冒険譚です。
 私たち人類は、未来の世界を空想し、その一つ一つを実現させてきました。携帯電話は、そのいい例です。ですから、今はまだ開発中の、完全なオートドライブの自動車も、いずれできるかもしれません。もしかしたら、タイムマシンも…。

64 先生方のおすすめの本

 図書委員会が、先生方に「読書感想文を書くのに、おすすめの本」についてアンケートを取りました。結果は、昼の放送で紹介していたのですが、どんな本がおすすめなのか、LIVEでも紹介します。

 ・おまえ うまそうだな  ・カラフル  ・はれ ときどき ぶた
 ・しゅんかん図鑑  ・かいじゅうたちのいるところ  ・wonder
 ・一瞬の風になれ  ・夢をかなえるゾウ  ・飛ぶ教室
 ・君たちはどう生きるか  ・ヘレンケラー  ・バッテリー
 ・だいじょうぶ だいじょうぶ  ・グスコーブドリの伝記
 ・銀河鉄道の夜  ・虔十公園林 ・はらぺこあおむし ・日本教育小史
 ・犬がくれた「ありがとう」の涙 ・ぼくたちのリアル
 ・ヒロシマ 消えたかぞく  ・泣いた赤おに ・花さき山
 ・野口英世  ・走れメロス  ・蜘蛛の糸  ・ああ無情
 ・ナイチンゲール  ・杉原千畝物語  ・田中正造
 ・佐賀のがばいばあちゃん  ・フランダースの犬  
 ・シャーロットのおくりもの  ・本好きの下克上  ・十五少年漂流記
 ・二分間の冒険  ・マヤの一生 ・きつねのでんわボックス

 さすが、先生方は、いろいろなジャンルの本をおすすめをしています。みなさんも、一度は読んだことがある本があるのではないでしょうか。そんな中、特徴的だったのは、伝記をあげている先生が多かった点です。

 伝記は、一人の人物の生き方を紹介しています。その人物は、偉人と呼ばれる人たちが多いのですが、その一生を知ると、やはり誰もが同じ人間なんだなあということに気づかされます。有名な所では、発明王のエジソン。彼は、学校に入学すると、なんと3ヶ月で退学になっています。彼にとって、学校での興味関心が、他の子どもたちの教育にとって、迷惑になるというものでした。いったい、エジソンは、学校でどんなことをしたのか、それについては、是非、エジソンの伝記を読んでみてください。そんなエジソンが、なぜ発明王にまでなったのか。それを支えたのは、やはり母親の愛情なのです。周りからどんなに好奇の目で見られようと、いつでも息子のことを愛し、支えた母親の存在があったから、彼は、自分の好奇心を持ち続け、自分らしく生きていくことができたのでした。伝記から、そういうことにも気付かされます。

 最後に、伝記で感想文を書いてみようと思ったみなさんへ。伝記で感想文を書く時は、その人物の生い立ちについて、長々と書くことはしません。伝記の人物の生き方と、自分の生き方を比べて、似ているところ、違うところ、真似してみたいところ、そして、自分がこれから生きていくのに参考にしたいところなどをまとめてみます。そして、その人物が、自分の人生において、大事にしていたことは何か考えてみます。それらをまとめたら、きっと、あっという間に、感想文は出来上がるのではないでしょうか。参考までに。

66 体験活動がもたらすこと

 4年生と5年生が、20日にいわきへ出かけました。舟戸海岸で磯遊びをしました。この海岸は、すぐ隣に波立薬師があります。トンネルとトンネルの間にあって、ちょうど入り江のようになっているため、波も穏やかで、干潮時には、岩場に潮だまりができ、磯遊びができるのでした。子どもたちは、夢中になって、海の生き物探しをしていました。子どもたちにとっても、海は魅力的な場所のようでした。かく言う私も、会津生まれのため、子どもの頃は猪苗代湖で湖水浴しかしたことがなく、海は憧れの場所でした。前に話しましたが、小2の時、海で溺れているのですが、それでも、海は大好きでした。ですから、私自身、子どもたちと一緒に、海の生き物探しを楽しみました。2時間あまりの活動でしたが、子どもたちは、いろいろな生き物を見つけました。ウニ、アワビ、ヒトデ、カニ、アメフラシ、小さい魚…。それらを見つける活動を通して、子どもたちは、図鑑などでは分からないことを発見しました。それは、アメフラシの柔らかさやヒトデの堅さ、カニのすばしっこさや岩陰に隠れたカニはなかなか捕まえられないことなど。そういうことは、実際に、体を使って、体験してみないと分からないことでした。また、磯の香りや海水のしょっぱさ、海岸の小石がサンダルに入って痛いことなども、映像で見ても気づけない、実際に自分の五感を通して感じることでした。そういう意味で、やはり、体験活動で学ぶことは大事だと改めて思いました。

 これは、他の学年でも言えることで、6年生は、会津の町を歩くことで、会津の町並みや会津の人の生活に触れ、実際に体験することで、起き上がり小法師や赤べこの絵付けの筆の感触を感じ、実際に食すことで、会津の名物の美味しさを味わうことができました。1年~3年の子どもたちも、実際に容器を振って、バターづくりの難しさや楽しさを感じ、直接、餌をあげてみて、動物たちの餌を食べる口の動きや仕草を観察することができました。これらは、教室の机の上では、絶対に理解できない、体験して初めて理解できることなのです。

 こういう学びは、本物です。そして、実感が伴うので、より理解されます。きっと、子どもたちは、体験を通して気付いたことや分かったことは、ずっと忘れないと思います。そして、そういう五感を通した学びが、子どもたちの感覚を磨き、人間性も豊かにしてくれるのだと思います。

67 「日常を十七音で」 ~5年生の作品~ Part3

 今回が、最後の紹介になります。まずは、日常の風景を題材にした作品です。

  にじのした ソフトボールの 大会だ

  太陽が みなをみまもる 水あそび

  十五夜と 世界のみんな にらめっこ

  マスクして コロナウイルス たたかうぞ

 日常の生活を題材にすると、スポ少のことやプールのこと、お月見のこと、そして、コロナ対策のことが唱われていました。作った子どもたちが、どんな生活をしているかで、作られる句も変わってくるのですね。

 最後は、動物が登場する作品です。

  わたり鳥 家にかえるよ うみこえて

  水たまり カエルの恋が そよ風と

  夜の中 せみのなき声 子守歌

  春の空 すずめたちが ふえを吹く

 子どもたちの目には、動物たちの行動は、どれも擬人化されて見えるので しょうか。おもしろいです。やはり、生き物と子どもたちの関係は、大人に 比べると、より近い存在なのかもしれませんね。
  最後に、子どもたちに真似て、私も一句詠んでみます。

  今日もまた 声だけ聞こえる ホトトギス

68 友だち考~いろんな子どもがいるんです~

 「一年生になったら」という歌があります。まど・みちおさんの作詞なんですね。知りませんでした。まどさんは、他にも、「ぞうさん」「やぎさん ゆうびん」なども作詞されている詩人です。詩の作品にもすてきなものがたくさんあります。さて、本題。「一年生になったら」の一番は、次のような歌詞です。みなさん、よくご存じですね。

  一年生になったら/一年生になったら/ともだち100人できるかな
  100人で食べたいな/富士山の上でおにぎりを
  パックン パックン パックンと

 1年生になる子どもたちの、わくわくした期待感がつまった、とても楽しい気持ちになる歌です。この歌詞がどうこういうわけではないのです。ただ、この歌詞にあるように、友だちがたくさんできることは、それはそれでいいと思うのですが、学校現場において、それが必ずしも必要かというと、そうではないということを言いたいのです。

 いろんな子どもがいます。友だちをどんどん作れる子もいれば、中にはそうではない子もいます。つまり、友だちをたくさんつくることに対して、目に見えないプレッシャーを感じている子もいるということです。子どもたちが、みな、自分から声をかけて、どんどん新しく友だちを作ることはできないと思います。中には、自分から声をかけるのが苦手な子どももいます。そういう子にとっては、「友だち100人」は、絶対無理なこと、自分にはできそうにないことと思っているのではないでしょうか。それなのに、友だちをたくさん作りましょう、と言われたら、もしかしたら、そんな無理なことを目指さなければならない学校に来ること自体、つらいことになる可能性があると思うのです。

 私の経験上、友だちがたくさんいると言う子は、意外とそんなにいないようにも思います。(続く)

69 友だち考~いろんな子どもがいるんです~(続き)

 そして、それでいいとも思います。結論から言うと、友だちはいないよりはいたほうがいい。しかし、たくさんいる必要はない。最低、友だちは一人でいい。友だちと呼べなくても、気が合うような人が一人いれば、それでいいと思っています。学校は集団生活の場です。ですから、集団の中で、実に多くのことを学びます。なぜなら、そこに、不特定多数のいろんな考え方をした友だちがいるからです。自分と違う考え方をする友だちと関わりながら、誰とでも協力できることを学びます。人間だから、気が合う、合わないはあります。しかし、気が合わないから協力しないというのはだめです。そういう人とでも、協力して何か活動することができることは、将来、どんな人がいても、そういう人とうまく付き合いながら、仕事をすることができるということにつながります。社会に出て、仕事に就けば、そういう場面はよくあることだからです。気が合わないから協力できなかったら、仕事を辞めなければなりません。だから、協力できることは大事。しかし、だからと言って、仲良くなる必要はそこにはありません。

 しかし、その一人の友だち、もしくは、気が合う人が一人もいないというのは、学校生活を続けていく上で、少しつらい状況になる可能性はあります。考えてみればわかるかと思います。毎日、学校には行きます。しかし、そこで、誰とも楽しい会話ができない、たわいもないことを、もしくは同じ興味関心があることを話題にして、会話する相手が一人も居ないというのは、正直、寂しいです。一人でも平気という子も中にはいます。しかし、それが本心とは思えません。だから、友だちはたくさんはいらない。最低、一人でいい。友だちと呼べなくても、気が合うような人が一人いればいい。それは、べったりの仲良しである必要もないのです。楽しく会話できる関係の人が一人いればいい。それだけで、学校生活は楽しく過ごせると思います。だから、子どもたちの様子を見て、ひとりぼっちの子どもは居ないか、とても気になります。もし、そういう子がいたとしたら、友だちをあせって作る必要はありません。じっくり時間をかけて、もしくはチャンスを伺いながら、近づいてみればいいのです。不思議なもので、「類は友を呼ぶ」ということわざがあるように、気の合う者や似通った者は、自然と寄り集まって、いつの間にか仲良くなるのですから。

70 合い言葉は「ういて まて」

 日本赤十字福島支部の方を講師にお招きし、全学年で着衣泳を行いました。
 着衣泳とは、服を着て「泳ぐ」ことが目的ではありません。万が一、服を着たまま、水中に入ったら、どうやって、浮いていたらよいかを学習しました。もし、川や海で溺れたら、助けが来るまで浮いていなければなりません。そういう時に体力を失わず、長時間、水に浮いているための方法をいろいろ教わりました。
 この時の合い言葉は「ういて まて」。これは、水難学会が普及を薦めている言葉で、万が一に溺れた時だけでなく、自宅に洪水が押し寄せて来た時も、同様の行動が効果的なのだそうです。そして、東日本大震災の時に、津波が押し寄せた時、この「ういてまて」を実践し、実際に助かったケースがあるそうです。


 今回、教わったことは、とても役に立つことです。しかし、一番は、そういう状況にならないことです。最近の天気でも、集中的に強い雨が降り続くことがあります。そういう時は、川などの水位がみるみる上がってきます。ですから、川の近く等にいるのは危険です。キャンプでテントなどを張る場所も、水が上がってくるような場所にはたてません。海で泳いでいる時、海岸から沖に向かって流れる「離岸流」があります。この流れにはまると、一気に沖の方へ流されることがあるので、注意が必要です。
 消防庁からの注意の中に、「子どもは10cmの深さでもおぼれる」というものがあります。瞬間的に、鼻と口がふさがってしまうことで、十分溺れてしまうということです。浅いからと過信しないように、水辺では十分に気をつけてほしいです。

71 1学期終了、お世話になりました!

 1学期が終わりました。無事…ではなかったですね。4月・5月、いきなりの臨時休校や分散登校。通常登校に戻った6月でしたが、学校は不安いっぱいの日々でした。そんな中、希望の光は、子どもたちの元気いっぱいの姿でした。休み時間、校庭や希望ヶ丘で走り回って遊ぶ姿に、勇気づけられました。授業参観日の全体会でお話ししました、できるだけ、規則正しく、健康な日々を送ることを、みんなで頑張ってきました。幸運なことに、7月には、予定していた修学旅行、海浜活動、そして、校外学習を、全て実施することができました。

 夏休みも短縮になりましたが、先日、ラジオ福島の取材を受けた6年生は、「夏休みが短くなることより、学校に来ていた方が楽しい」と答えました。その言葉が、今の野小っ子を物語っていると思いました。最終的には、72日間の1学期が、65日間(2~5年は62日間)で終了です。遅れていた学習は、順調に挽回してきています。2学期末には、ほぼ予定どおりになるでしょう。

 ただ、心配なのは、夏休みの子どもたちの生活です。19日間の夏休み。事故なく、けがなく、安全に楽しく過ごしてほしいです。そして、リフレッシュして、気分新たに、2学期を迎えてほしいと思います。その中で、是非、ご家族での時間を大切に過ごしてください。旅行やお出かけも気をつけて行って下さい。その時は、これまで同様、コロナ対策をしっかりとお願いします。他県からの親戚等と会う機会もあるかもしれません。どうぞ、よろしくお願いします。

 きっと、あっという間に終わる夏休みだと思います。それでも、休み中の課題は出されます。朝の涼しいうちに、計画的に取り組ませて下さい。2学期が始まれば、また、授業はどんどん進んでいきます。そういう意味で、1学期の復習は、この夏休みに行うことが大事です。
 最後になりますが、保護者の皆様には、1学期、いろいろと御協力いただきまして、ありがとうございました。

事故なく、けがなく、感染なく、楽しい夏休みを!

72 終業式の話

 1学期が終わりました。ちょっと振り返ってみましょう。
 4月、始まってすぐに臨時休校になり、不安いっぱいでスタートした1学期でした。5月、運動会が延期になり、他の行事も予定変更になり、思うようにいかない1学期でした。しかし、6月、今年は、水泳学習を頑張りました。4・5・6年生は鼓笛の練習も頑張りました。7月、6年生は修学旅行、4・5年生は海浜活動、1・2・3年生は見学学習にそれぞれ出かけ、いろいろな体験を通して、多くのことを学ぶことができました。また、1学期には、地域に出かけて、地域の人に、いろいろ教えてもらいながら体験学習もしました。そして、毎日、休み時間は、校庭や希望ヶ丘で走り回って遊びました。いろいろあった1学期でしたが、野木沢小のみなさんは、みな元気に、毎日を過ごしました。みなさん、この1学期、よく頑張りました。みなさんに、100点満点の花丸をあげます。

 さて、突然ですが、ここで、1学期クイズです。問題は、学年ごとに2問ずつ出します。
 まず、1年生の問題です。1年生のみなさんだけ答えて下さい。第1問、1年生のみなさんは、国語で音読劇を楽しみました。それは、おおきな( ① )ですか。第2問、校長先生が絵本の読み聞かせをしましたね。その絵本は、3びきのかわいい( ② )でしたか。1年生のみなさんは、どきどきの小学校生活のスタートでしたが、毎日少しずつ元気に、学校に慣れてきました。給食もたくさん食べられるようになりましたね。先生の話をよく聞いて、よく頑張りました。
 続いて、2年生のみなさんへの問題です。第1問、見学学習の問題です。生クリームを振り続けると( ③ )になりましたか。第2問、紀陸さんの畑に、1年生と植えたのは( ④ )でしたか。2年生のみなさんは、1年生のお兄さん、お姉さんとして、1年生のお世話をがんばりました。また、自分たちでも、よく話し合って、考えて活動することができるようになりました。 3年生への問題です。第1問、国語の「おとや」が出てくる話がありました。( ⑤ )の商売でしたか。第2問、3年生のみなさんが、相樂さんに教えてもらっているのは、( ⑥ )の栽培ですか。3年生のみなさんは、いつも、休み時間には、外を走り回って遊んでました。いつも元気いっぱいでしたね。そして、1年生・2年生のお手本を示そうと、見学学習などでよく頑張りました。
 4年生への問題です。第1問、国語の松井さんが出てくる話は、白い( ⑦ )でしたか。第2問、都道府県名の問題です。1道は北海道、1都は東京都、では、2府は、大阪府と( ⑧ )でしたか。4年生のみなさんは、3年生に負けず、休み時間は全力で遊んでましたね。教室では、いつも、自分の考えをしっかりと持って、交流しながら楽しく学習に取り組んでいました。
 5年生への問題です。第1問、校長先生が読み聞かせをした、絵本のタイトルは、( ⑨ )じまの夏休みでしたか。第2問、海浜活動の時の問題です。大昔、陸上から海へ帰った生き物がいました。それは( ⑩ )でしたか。5年生のみなさんは、高学年として、6年生と協力して、いろいろと頑張りました。いつも、みんな仲良く、楽しそうに活動してました。宿題もよく頑張りました。
 最後に、6年生への問題です。どちらも修学旅行の問題です。第1問、会津ご当地グルメを食べた班が取材をうけました。その食べ物は、会津( ⑪ )焼きそばですか。第2問、飯盛山に、世界的に珍しい二重らせんの木造建造物があります。その名前は、( ⑫ )ですか。6年生のみなさんは、最高学年として大変だったと思います。それでも、自分たちができることに、一生懸命取り組んできました。ご苦労様でした。みなさんが頑張ってくれたおかげで、野木沢小は、無事1学期を終えられます。ありがとうございました。

 みなさん、大正解です。
 さあ、明日から夏休みです。けがなく、事故なく、コロナウイルスにも気をつけて、安全に過ごして下さい。そして、楽しい夏休みにしてくださいね。
 それでは、2学期、また元気に会いましょう。


(1学期クイズの答え)
 ①かぶ ②おおかみ ③バター ④サツマイモ ⑤きつつき ⑥りんご ⑦ぼうし ⑧京都府 ⑨かいじゅう ⑩くじら ⑪カレー ⑫さざえ堂

73 赤べこの話

 以前、コロナ関連の話の中で、赤べこについて触れました。その時も少し書きましたが、赤べこの由来は諸説あります。実は、今年で86歳になる私の母親が、かつて会津のかたりべをしていた時に、この赤べこについて昔語りをしておりました。その話によりますと、大同2年(807年)、(ちなみに、前年、大同元年の806年に磐梯山が噴火しています)、徳一大師といわれる僧侶が、柳津に福満虚空蔵堂を建立する際、重い材料を黙々と運ぶ赤い牛がおり、完成前夜に石になって寺院の守り神になったそうです。そして、その赤べこの供養のために張り子人形が作られ、会津地方に天然痘が流行った際に、赤べこの張り子人形を持っていた子どもたちは、病気にかからなかったと言い伝えられているそうです。赤べこの体には、斑点のようなものがあり、それは、その時の痘を表しているといいます。

 とても愛らしく、首を振る赤べこですが、意外なところで注目を浴びそうです。
 現在、TBSで「私の家政夫ナギサさん」というドラマを放映しています。28歳の独身女性がおじさんの家政夫を雇うことから始まるハートフルラブコメディー。仕事に一生懸命で、バリバリ働くキャリアウーマンの女性メイを、多部未華子さんが演じており、そのメイに雇われるスーパー家政夫ナギサさんを大森南朋さんが演じています。巷の多くの女性から、多くの共感を得ているドラマのようです。昨日、このドラマの第5話が放映されました。その中に、なんと「赤べこ」が登場したのです。今は大人になった娘たちの子ども時代の懐かしい思い出話の中で、赤べこは出てきました。家族旅行の楽しかった思い出の品が赤べこだったようです。きっと会津地方に出かけたのでしょう。突然の赤べこ出現に、驚きました。とても話題になっているドラマですので、もしかしたら、これをきっかけに、赤べこや会津が、また注目されるかもしれません。会津人の一人として、とてもうれしい限りです。

 最後に、かたりべだった母親が、赤べこの首振りについて、こんな話をしていたのを思い出しました。それは、赤べこは、いつもペコペコと、見る人に首を振って、頭を下げている。これは、私たち人間も、いくつになっても、どんな仕事や立場になっても、周りの人に、感謝して頭を下げることを忘れてはいけない、ということを教えてくれている、というものでした。

74 広島原爆の日

 今から、75年前の1945年(昭和20年)8月6日、午前8時15分、広島に原爆が投下されました。これに関連して、今朝の福島民報に興味深い記事が載っていました。
「『広島市に原爆が投下されたのはいつか?』の問いに、十年前、広島市立の小学4年~6年の児童の内、正確に時刻まで答えられたのは、33%、3人に1人という結果だった。思いのほか低い結果に衝撃を受け、広島市は改めて、平和教育の練り直しを進め、5年後、正答率は75.3%に高まった。」という内容でした。記事は続けて、こう述べてます。
「率だけで学びの善しあしは語れない。ただ、忘れてはならない『大切な日』として記憶に刻まれたに違いない。」そして、広島市教委の担当者は次のように語っています。
「学んで終わりではなく、広島や平和について発信できる生徒を育てるのが目標」。
 2011年(平成23年)3月11日、午後2時46分。福島県人として、この日は、忘れてはならない「大切な日」に違いありません。来年の3月で10年を迎えることになります。福島県議会では、この日を「祈念の日」に制定することを検討中です。また、福島県の教育でも、防災教育にも力を入れています。先程の広島市教委担当者の言葉を借りれば、将来、福島の子どもが大人になり、東日本大震災について、そして、その後の福島の復興について、自分の言葉で語れることが大事なのだと思いました。
 最後に、2016年3月11日の福島民報に、「ふくしま新生へ挑戦」と題したメッセージが掲載され、当時、私が勤務していた学校のHPで、その記事について次のように紹介しました。
「その記事には、震災から立ち上がり、福島県民は新たな挑戦をしていることや、その確かな成果が生まれていることが書かれていました。特に、原発事故による影響、その後の風評被害は、なかなか簡単には解決できないことでしたが、それでも、震災から5年を経て、いろいろな面で変化が見られるようになりました。記事にも、コメの全袋検査で基準値を下回ったことや県産野菜等の海外での輸入規制解除、魚介類の試験操業の拡大、そして、福島県産の日本酒の鑑評会における最高ランク評価獲得など、未来に向けた明るい期待が紹介されていました。そして、その後に続く言葉を読んで、ぐっと胸に迫る物を感じました。『福島県産は本物だ。世界で最も厳しいレベルの検査を経て出荷される。安全は折り紙付き、味は極上、品質は一流。世界ブランドとして堂々と売り込み、風評を払拭しよう。』そうなのです。私たち福島県では、うそ、偽りのない、正真正銘、『本物』をつくっているのです。微塵もごまかしなどない。安全で、安心して口にできる、そして、美味しいものなのです。これが『本物のすばらしさ』です。本物には力があります。きっと世界中の人に理解してもらえる、そう信じています。」

75 モヤモヤそうだんクリニック

 NHK出版より「モヤモヤそうだんクリニック」という本が出ています。これは、子どもたちからのいろいろな、モヤモヤっとした相談事に、薬学博士で脳科学者の先生が相談にのってくれているものです。読んでみると、子どもたちは、実にいろいろなモヤモヤがありまして、

 ・頭のよくなる薬はありますか?
 ・記憶力をよくするためには、どうしたらよいですか?
 ・朝、なかなか起きられません。なぜですか?
 ・ゲームがやめられない!どうすればいい?   等など
 

 その中で、「!」と思った質問がありました。

Q:ぼくの「やる気のスイッチ」はどこにあるんでしょう?

 さあ、みなさんは、この質問にどう答えますか?本の先生は、次のように答えています。

A:「やる気のスイッチ」は脳の中にあります。脳をリンゴだとすると、種のような小さい部位で「淡蒼球(たんそうきゅう)」と呼ばれるところです。ここが活発に働くと、やる気がみなぎってきます。でも、この淡蒼球は、自分の意思でオンにすることができません。オンにするためには、脳の別の場所を上手に刺激する必要があります。次にその方法を紹介します。
 運動野を刺激する。ここは、骨や筋肉に運動の命令をする部位です。やる気は出るまで待っているものではなく、行動を起こすことで迎えに行くものです。まず、身体を動かすことを始めれば、だんだん気分が乗ってきて、やる気がムクムク湧いてきます。どうしても、気分が乗らない時は、「テンコブポーズ」が効果的。スクッと立って、目を大きく見開いて、「にっ」と口角を上げ、天に向かって、こぶしを高く突き上げます。これが、「テンコブポーズ」。脳はだまされやすいので、身体を動かすことで、つられて脳もその気になってきます。

 他にも、記憶に関係する「海馬」は、マンネリでは元気にならないので、何か変化をつけてみることや、「報酬系」と呼ばれる、ごほうびで快感を感じる神経回路を刺激するような「ごほうび」を自分で決めてみることなどを紹介しています。

 どうですか?なかなか専門的なことを、分かりやすく、面白く紹介して答えてくれています。

76 モヤモヤそうだんクリニック(その2)

Q:どうしても本を好きになれません。どうしたら好きになれますか?

A:本が好きになれないという人は、「好きだ」と思える本に、まだ出会っていないだけ、という可能性があります。読まずにはいられないほど楽しい本に巡り会えれば、読書に対するイメージは大きく変わるはずです・・・

 

 「なるほど」と思います。自分のことを振り返ってみると、小学生時代、好きだった本は推理物でした。「シャーロック・ホームズ」シリーズも好きでしたが、それよりも夢中で読んでいたのが「こちらマガーク探偵団」シリーズ。

 主人公は、赤毛にそばかすが特徴のちょっとわがままで元気な男の子マガーク。そして、マガークの親友のジョーイ。その二人で作った「マガーク探偵団」が、自分たちの街で起こる、ちょっとした事件を、推理して調査して解決していくという物語。ちょうど小学生で年齢的に近かったこともあり、すごくはまって読んでいました。

77 理科自由研究

 夏休みのある日の朝、玄関のひさしのところに、大きな蜘蛛の巣がはっていました。まさか、そんなところに巣があるとは予想できず、見事につかまってしまいました。それで、その時、ふと思ったのは、前日の帰りはなかった蜘蛛の巣は、一体どのくらいの時間でできあがったのか、ということ。気になったので調べてみると、30分から1時間ぐらいで出来上がるようで、意外と早くできるのだなあと思いました。そして、これって、理科自由研究の題材になりそうだなあとも思いました。
 今年の夏休みの課題に、理科自由研究があります。しかし、今年は県の理科作品展は中止なので、地区の審査のみになります。実は、本校は地区理科研究部の事務局をしています。県の理科作品展がないのは、コロナの影響です。県がないと分かった時、地区としてどうするか検討しました。我が石川地区には、浅川町出身で癌研究の先駆者として世界的に有名な医学者吉田富三博士がおり、浅川町には記念館もあります。毎年、県理科作品展の優秀作品が、吉田富三子ども科学賞を受賞し、また、石川地区の理科作品展の推薦作品は、同特別賞を受賞していました。そういういきさつもあり、また、東日本大震災の時も、同じように県理科作品展が中止になっても、石川地区のみ実施していたという前例にならい、今年も石川地区は実施することにしました。
 夏休み期間も短くなったこともあり、そんなに多くの出品数は期待できないかもしれませんが、それでも、毎年、いろいろな理科研究に挑戦している子どもさんもいます。夏休みもあと二日になりました。どんな作品が出品されるか、楽しみにしたいと思います。

78 第2学期がスタート!

 2学期がスタートしました。朝から元気に校庭で遊ぶ子どもたちの姿が見られ、うれしくなりました。始業式は放送で行いました。

「みなさん、おはようございます。
 みなさんの中には、今日、学校で友だちや先生に会うのが楽しみだった人がいると思います。みなさんの中には、今朝、起きるのが大変だった人もいると思います。みなさんの中には、学校に行くのがちょっといやだなと思った人もいるかもしれません。それでも、みなさん、頑張って起きて、準備をして、そして、休まずに学校に来てくれました。ありがとうございます。みなさんが今日、休まずに学校に来てくれて、とてもうれしいです。
 さて、今日から2学期がスタートします。2学期のスタートにあたり、みなさんにちょっと考えてほしいことがあります。それは、みなさんは、なぜ、学校に来るのか、ということです。みなさんは、なぜ、学校にくるのでしょうか。いかなければならないから、お家の人が行けというから。法律で決まってるから。いろいろ考えられます。
 私は、みなさんが学校に来るのは、次のように考えます。それは、「新しい自分に出会うため」。みなさんは、学校に来て、友だちや先生と一緒に、いろいろなことを学びます。その中で、今まで知らなかったことを知ったり、できなかったことをできるようになったりします。また、友だちや先生とのふれあいの中で、相手の新しいよさに気付いたり、自分との違いに気付いたりすることもあります。そうやって、学んでいくということは、それまでの自分と変わるということです。昨日の自分と今日の自分は違うということです。みなさんは、日々、新しい自分になっていきます。その新しい自分と出会うために、みなさんは学校に来ているのだと思います。だから、自分が、どんな新しい自分に変わることができるのか、わくわくしてほしいと思います。そして、それを楽しみに、これからも毎日、学校に来てほしいと思います。
 2学期は、今日から86日間あります。今の自分が、86日後、どんな自分に変わっているのか、楽しみですね。
 最後になりますが、うれしいニュースを紹介します。野木沢スポーツ少年団のみなさんが、夏休みに行われたソフトボール大会県南予選で、見事、ブロック優勝されました。おめでとうございます。暑い中での戦いだったと思います。よく頑張りましたね。9月に行われる県大会でも頑張ってください。
 それでは、まだまだ暑い日が続きそうです。新型コロナウイルスと熱中症に気をつけて、過ごしていきましよう。」

 保護者の皆様にも、2学期も引き続き、よろしくお願いいたします。

79 体罰等によらない子育て

 厚生労働省より「体罰等によらない子育てを広げよう!」というパンフレットが、今年4月に出ています。この内容は、とても興味深いもので、思わず「はっ」とさせられるものがありました。ちょっと紹介しますと…
 こんなことしていませんか?次の中で、「体罰」はどれでしょうか?
  ①言葉で3回注意したけど、言うことを聞かないので、頬を叩いた
  ②大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた
  ③友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った
  ④他人のものを取ったので、お尻を叩いた
  ⑤宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった
  ⑥掃除をしないので、雑巾を顔に押しつけた
 さて、一見、どれも「しつけ」のように見えるのですが、実は全て「体罰」です。しつけは、子どもの社会性を育み、社会生活をしていく上で必要なことを、しっかりと教え伝えていくことです。しかし、そのために、身体に、何らかの苦痛を引き起こし、または不快感を意図的にもたらす行為(罰)は、どんな軽いものであっても「体罰」に該当し、法律で禁止されています。
 続いて、こんなことしていませんか?
  ⑦冗談のつもりで、「お前なんか生まれてこなければよかった」など、子ど   もの存在を否定するようなことを言った
  ⑧やる気を出させるという口実で、きょうだいを引き合いにしてけなした
 さあ、どうですか。みなさん、心当たりはありませんか。先程の①から⑥の体罰は、いわば「身体的虐待」であります。そして、⑦⑧のようなものは、子どもの心を傷つける暴言であり、子どもの健やかな成長や発達に悪影響を与える可能性がある行為で、子どもの権利を侵害する、「心理的虐待」にあたります。
 虐待は他にも、「性的虐待」と「ネグレクト」があります。ネグレクトは、育児放棄とも言われ、食事や衣服など、子どもの健康や安全への配慮を怠る行為や、子どもに教育を保障する努力をしないことが該当します。新聞でも騒がれた、幼い子どもを家に置いたまま、数日家を留守にした事件、あれも児童虐待(ネグレクト)です。
 2018年のある意識調査によりますと、しつけのために、子どもに体罰することについて、「積極的にすべきである」が1.2%、「必要に応じてすべきである」が16.3%、「他に手段がないと思ったときのみすべきである」が
39.3%と、およそ6割の人が体罰を肯定しているという結果が出ました。
 体罰が子どもに与える影響には、いろいろなものがあります。それについては、また次回に紹介します。

80 体罰等によらない子育て(その2)

 体罰等が子どもに与える影響には、どんなものがあるでしょうか。
 その前に、体罰等が子どもの成長・発達に悪影響を与えると言うことは、科学的に明らかになっています。これは、子どもの将来を思い、仕方ないことと行っているしつけと称した「体罰」が、結果的に子どもの健やかな成長の妨げになっているということです。
 では、具体的にどんな影響があるかというと、体罰を受けていた子どもは、「落ち着いて話を聞けない」「約束を守れない」「一つのことに集中できない」「我慢できない」「感情をうまく表せない」「集団で行動できない」という行動問題のリスクが高まるようです。また、手の平で身体を叩くなどの体罰は、親子関係の悪さ、周りの人を傷つけるといった反社会的な行動、攻撃性の強さなどと関連があるようです。

 そして、体罰は悪影響だけでなく、悪循環も生み出します。子どもが言うことを聞いてくれなくて、イライラして、つい、叩いたり怒鳴ったりしたくなることがあるかもしれません。叩かれたり怒鳴られたりすると、大人への恐怖心などから一時的には言うことを聞くかもしれませんが、根本的な解決にはならず、むしろ、子どもに暴力的な言動のモデルを示すことになります。
 そうなのです。忘れてはいけないことは、我々大人は、いつ、いかなるときも、子どもに対しては、常に、「人間としての生き方を示すモデル」であるということです。これは、非常に責任がある立場です。もし、モデルである大人が、体罰等を行うということは、その子どもにとっては、自分も周りに対して同じように振る舞ってよいということを学ばせていることになるからです。
 そして、さらに心配なことは、子どもが保護者に恐怖心などを抱くと、信頼関係が築きにくくなるため、必要な時に悩みを相談したり、心配事を打ち明けたりすることが難しくなるということです。やはり、子どもにとって、最終的な心の拠り所は、保護者であることは間違いありません。誰にも相談できないようなことがあっても、お家の人には相談できる、そういう関係は築いておくことが大切だと思います。
 それでは、体罰等がよくないと分かっていても、いろいろな状況や理由によって、それが難しいと感じるとき、具体的にどんなことに気をつけて、子どもと関わっていけばよいのか、そのポイントについて、次回、触れていきたいと思います。