学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

299 詩を書こうコンクール

 このコンクールは、浅川町にある吉田富三記念館が行っているコンクールです。吉田富三博士は、癌研究の先駆者で、吉田肉腫を発見された医学博士。その博士の記念館が「詩」のコンクールをやっているのには、理由があります。

 戦後の日本には、漢字廃止論というものがありました。今の日本語を廃止して、フランス語にする考えや、表記をローマ字にする考えなどでした。しかし、当時の日本人の読み書き能力調査では、識字率が97.9%と非常に高く、これらの考えは撤回されました。そして、当時、国語審議会の委員をされていた吉田博士が、「漢字仮名交じり文こそが日本語。漢字があるから微妙な造語力を持つことができる。」と提案し、日本語のあるべき姿を強く訴えました。その結果、日本語表記が、今の漢字仮名交じり文となったのでした。

 実は、吉田博士は、学生の頃、とても優秀だったので、東京の有名中学校(今の高校)を受験した際、福島訛りがひどくて、それが原因で口頭試問に落ちたことがありました。こういう経験から、吉田博士の中には、言葉に対する思い入れがあったのかもしれません。ご自身でも、俳句や短歌、詩などをたくさん作られていました。そこには、日本語の表現を通して、深く考えた吉田博士の思いが、文字となって現れています。私たち日本人は、日本語の表記によって、物事を考え、感じたことや考えたことを、日本語で表現するのだということを、改めて考えさせられます。

 このようないきさつから、この「詩を書こうコンクール」が行われているのだと思います。

 今年、このコンクールに、4名の子どもたちの作品が入賞しました。次に紹介します。

1年 水野好輝さん作「ぼくのすきなもの」

 すきなものは みかんです/すっぱくて/かわがむきやすいからです
 すいかです/あまいからです
 さくらんぼがすきです/なんこもくっついてあるからです
 ぶどうがすきです/うまいからです

 好きな物の理由が、ストレートに伝わってきます。だいたい、好きな物の理由は、あれこれあるのでなく、このように、ずばりなのかもしれませんね。(続く)

298 「本を読まない高校生」に思う(続き)

 今思うと、当時、読んでいた本は、きっと今は読めないように思います。個人的に思うのですが、長編の本を読み切るには、それなりに時間も必要ですが、それ以上に、それなりのエネルギーがいるように思います。学生の頃、時間もありましたし、エネルギーもあったように思います。だから、あれだけ様々なジャンルの本を読みあさることができたのではないかと思います。それができるのが、高校時代だから、当時の先生方も「今のうち読んでおけ」と示してくれたように思います。きっと、その背景には、「今しか読めないぞ」という思いもあったのかもしれません。

 たしかに、当時は、今のようなネットもスマホもゲームも動画配信もありませんでした。だから読めたのかもしれません。しかし、今でも、高校生にお勧めの本を、たくさんの学校が示しています。ある中高一貫校のサイトでは、こんなコメントがついて、100冊の本を紹介していました。

「中学・高校生活の6年間をどのように過ごしたか、ということはみなさんの 人生に大きな意味を与えるでしょう。さまざまな分野の読書体験を通してみ なさんが豊かな人間性を育むことを期待しています。」

 本を読むことで、私たちは、現実では体験できないような、いろいろな体験をすることができます。前述の私は、「野火」を読んで、戦争体験をしました。「あすなろ物語」を読んで、思春期の成長を体験しました。「吉里吉里人」を読んで、独立騒動を体験しました。そして、トムやハックと一緒に、冒険をしました。実際は、一回こっきりの自分の人生ですが、読書体験を通して、自分の人生を豊かにすることができます。そして、読書を通して、いろいろな生き方にも触れ、いろいろな価値観にも触れるから、自分のものの見方や考え方に幅を持つこともできます。さらに、実社会における他者理解にもつながります。きっと、自分一人だけのものの見方や考え方では、限られてしまうのかもしれません。

 読書することは、学習言語の獲得や語彙、表現などを身に付けるという学びの面と、多様な生き方、考え方に触れ、自分自身のものの見方、考え方を膨らませるという育ちの面があるのだと思います。それは、高校生だけのものではなく、小中学生にとっても大きな意義があり、むしろ、幼少期からの読書体験が大事なのかもしれません。気がついたら、身の回りに本を読む環境があり、小さい時から本を読む楽しさを味わっていれば、きっと、その後もずっと、自分の人生の中に読書活動が根付き、自分の生き方にも大きく関わっていくのだと思います。これは、決して今からでも遅くはありません。まずは、何か一冊、お子さんと一緒に読んでみませんか。

297 「本を読まない高校生」に思う

 2/22付福島民報に次のような記事が載りました。

 県高校司書研修会の2021年度高校生読書調査の結果、県内の高校生のうち、1ヶ月に1冊も本を読まない生徒の割合が、男子が61.2%、女子は55.3%だった。
 本を読まない理由の1番は、「勉強、部活動、アルバイトなどで忙しい」(男子45%、女子58%)。理由の2番は、「ネットやテレビ、ゲームの方が楽しい」(男子43%、女子38%)。
 男女とも半数以上が一冊も本を読んでいない傾向が、過去十年間続いている。

 この記事を読んでいて、あることを思い出しました。それは、私が高校時代、学校図書の担当の先生から、「高校生が読むべき100冊」なるプリントが配付されたことです。そのプリントには、高校時代に読んでおくべき「おすすめの本」が100冊、リストアップされていました。当時の私は、なぜか、その内容に刺激を受け、そこに紹介されている本を次々に読んでいきました。リストの中には、今では、絶対手にしないような、いわゆる名作と呼ばれる本もたくさん載っていました。100冊は読破できなかったのですが、当時の私の心の中に、深く刻まれた本が何冊かありました。
 例えば、大岡昇平の「野火」。太平洋戦争での戦地が舞台で、想像を絶する戦地の実態を目の当たりにし強い衝撃を受けた作品です。井上靖の「あすなろ物語」。登場人物の少年に自分を重ねて読んでいました。作中に出てくる「克己」という言葉も、ここで初めて知りました。夏目漱石の「坊ちゃん」。物語に出てくる登場人物が魅力的で、特に、数学教師の山嵐が、私と同郷の会津出身であったことが、とてもうれしかった作品です。
 このリストには、海外の作家の作品も含まれていました。O・ヘンリーの短編集。有名な「賢者の贈り物」の他にも、「運命の道」という不思議な読後感になる作品がありました。マーク・トウェインの「ハックルベリー・フィンの冒険」。これは、あのトム・ソーヤの冒険の続編的作品で、トムの親友のハックが主人公の物語です。はらはらどきどきの展開に、とても興味を持って読んでいたことを思い出します。
 それから、このリストとは別に、好きだった日本史の先生が、「高校生のうちに、読んでおけ。」と紹介してくれた本がありました。それが、井上ひさしの「吉里吉里人」でした。東北のある村が、日本政府から独立して「吉里吉里国」を名乗り、たまたまそこに居合わせた主人公が、その騒動に巻き込まれていくという物語です。話の中で、医療、福祉、介護、スポーツ、文化芸術、教育など、いろいろな問題に触れていて、なおかつ、話の展開がとってもスピーディーなので、本自体はすごく分厚くて長編なのですが、意外と一気に読んでしまいました。この作品がきっかけで、その後、日本各地でミニ独立国ブームが起きました。(例えば、二本松の岳温泉では、「ニコニコ共和国」が独立しました。今年夏、16年ぶりに復活するそうです。)(続く)

296 本を読む子にするために

 私の一人娘が、初めて発した言葉は、「ばあー」でした。当時、妻の母に家に来てもらっていたため、「ばあちゃん」という言葉をよく耳にしていたのでしょう。最初の言葉が「ばあー」だったことに、妻はちょっとショックを受けていましたが、仕方ありません。みなさんのお子さんが、最初に発した言葉は、何だったでしょうか。
 そもそも、子どもは、どのように言葉を発達させていくのでしょうか。心理学博士の榎本博明(えのもとひろあき)氏の著書によると、子どもは「あ、あ、あ、」という言葉から、1歳くらいになると、「ブーブ」「まんま」「わんわん」など意味のある1語文を口にするようになるそうです。それを聞いた親と「まんま、おいしいね」「わんわん、いるね。」等のやりとりをすることで、2歳頃には2語文を口にするようになります。この頃から、語彙数は爆発的に増えていきます。と同時に、指差ししながら、しきりに疑問をぶつけてきます。「トリさん、何食べるの?」「トリさん、なんで飛ばないの?」等、こういうやりとりを通して、どんどん言葉を覚えていきます。1歳半頃には50語程度だった語彙数は、2歳で200~300語、3歳で1000語程度に増加します。簡単な日常会話には不自由しない程度のコミュニケーション能力を獲得するわけです。そうして、小学校入学時には、数千から1万語、獲得します。語彙数が増加すると共に、2歳を過ぎる頃から、2語文から多語文へ発達していきます。

 このように、子どもの言語能力の発達には、親をはじめとした周囲の大人の働きかけが大きく作用します。まったく言葉を持たないところからスタートしているわけですから、身近な大人が発する言葉を吸収するのが基本です。言語性知能に関しては、家庭環境の影響がおよそ60%と非常に大きくなっています。脳科学の分野でも、親子で過ごす時間やその過ごし方が、子どもの言語能力の発達に関わっていることが分かっています。特に、親子での様々な会話が、言語能力や脳の発達を促すことが確認されています。

 幼少期、まだ学校に入学する前は、やはり、子どもは、家庭内で過ごす時間が長いことから、親子の関わり方が大事だということだと思います。そして、読書についても、家庭環境において、子どもの身近に蔵書がどれだけ、どんな内容の物があるかは大事だと言われます。子どもが親子の会話から語彙を増やし、さらに、本を読むことで語彙を増やすことができます。ただ、ここで重要なのは、子どもが本を読みたいと思うかどうかは、親の態度次第だそうです。日常生活において、親が本を熱心に読んでいる姿がモデルになり、子どもも本を読むようになるというわけです。読み聞かせなども効果はあります。休日に、一緒に本屋や図書館などに行くことは、本に興味関心を持つようになり、読書を楽しむきっかけにもつながります。

 読書は、前のLIVEで書いたように、「学習言語」を身に付けるために必要です。学習内容を理解するためにも、子どもたちには、本を読む子どもになってほしいと思います。そして、本を読む習慣を身に付けてほしいです。家庭で過ごす時間の中に、読書する時間ができたらいいなあと思っています。お子さんがあまり本を読まない様子でしたら、ちょっと親子で本に親しむ機会を作ってみてはいかがでしょうか。石川町の図書館は、火曜閉館で、他の日は午前10時から午後6時まで開いています。休日の過ごし方の一つとして、ちょっと図書館に行って、お互いに面白そうな本を探して読んでみてはいかがでしょうか。

295 オンラインゲームについて考える⑤(続き)

 ここで、子どものマネジメントに、まずは、お家の方が関わってほしいです。と言うのも、子ども自身では、余程強い意志でもない限り、自分を厳しく律することは難しいからです。そこには、お家の方の思いが強く反映されるべきだと、私は思います。アンケートの中にもありましたが、親としてここは譲れない、という思いは、しっかりとお子さんに伝えるべきだと思います。私は、私たち大人は、子どもたちに、生きていくということは、自分の思うようにはいかないことがたくさんあるということを、しっかりと教えていかなければならないと思っています。自分がやりたいことが、何でもかなうわけではない。自分がやりたくても、できないことはある。どんなにやりたくても、我慢しなければならないことはある。どんなに泣いて叫ぼうが、だめなことはだめだと、伝えていかなければならないのではないでしょうか。親として、教師として、子どもの健やかな成長のために、ここは譲れない、認めるわけにはいかない、そういう線引きは、必要だと思っています。ご家庭での子育てには、保護者のみなさんのそれぞれの思いがあるでしょうが、同じ子どもの育ちに関わる者として、私たちは、時に、厳しい態度を取らなければならないことはあると、思っています。

 そして、今回のアンケートにありましたが、「そのゲームに混ざれないことで、仲間はずれになるのではないか」という心配については、ごもっともだと思います。しかし、学校は、いかなる理由であっても、「いじめは許さない」という指導です。もし、仮に、そのようなことがありましたら、すぐに学校までご連絡いただきたいと思います。

 話を戻しますが、家庭での過ごし方を、お家の方のご協力の下、しっかりとマネジメントして過ごせるようにしていきたいです。そこには、何を、どのくらい、どうやって過ごすかという計画が必要です。そのためには、何かをする時に、例えば、宿題に取り組む時に、何時から何時までやる、という見通しを持つことです。同じように、ゲームは、好きなことをやる時間は、テレビを見る時間は、等など、やる前に、終わる時間を決めるとよいです。そう言えば、昔、ある家庭では、平日、子どものテレビの時間は1時間と決められていて、子どもたちは何を見るか、兄弟で相談するという話を聞いたことがあります。兄弟で見たい番組が違う時は、話し合って、前は誰々が見られなかったから、今回は見ていいよ、等と話し合うそうです。きっと、このお家の子どもたちは、他の子どもたちの家は、好きな番組を好きなだけ見られるので、いいなあと思っていたかもしれません。しかし、そこは、「うちはうち、よそはよそ」でいいのです。そこに、親として、我が子のためにそうするという確固たる信念があれば、子どもは納得して、我慢できるのだと思います。そこに、他の家庭と比べて、同じようなことができないのは、かわいそうだということはないのです。我が家には我が家の子どもの愛し方があるということだと思います。

294 オンラインゲームについて考える⑤

 今回で、このシリーズは終了になります。

 お家の方にご協力いただき、オンラインゲームの実態調査を行いました。その結果、半分を超える子どもたちが、全学年において、オンラインゲームをしているということが分かりました。やっている時間も、平日は1時間から2時間程度、休日は2時間以上ということがわかりました。また、学力調査との相関関係をみると、オンラインゲームをたくさんやっている子どもほど、正答率が低いことが分かりました。そして、同じようにたくさんやっている子どもは、あまり本を読んでいない傾向があることも分かりました。

 ここで、最後に考えたいことは、これです。

平日・休日の家庭での過ごし方について

 福島県教育委員会が「家庭学習スタンダード」というものを示しています。これは、家庭学習を充実させるためのものですが、その中で、特に大事にしているのが、

 「自己マネジメント力」です。

 マネジメントとは、目標に向かって管理するという意味ですから、この自己マネジメントとは、家庭での過ごし方を、目標に向かって、自分で管理するということになります。前のLIVEで触れましたが、家で過ごす5時間を、何のために、どのように過ごすかということです。子どもたちの中には、習い事なども含め、毎日、目標に向かってやるべき事をきちんと決めて、努力している子が多くいると思います。その一方で、半数近くの子どもたちは、ゲームに多くの時間を費やして過ごしているわけです。だらだらと時間も決めずに遊ぶことは、マネジメントできていない状態です。そうではなく、限られた時間を、もう少し、自分でマネジメントして、自分のために有意義な過ごし方を考えていきましょう、というわけです。個人的には、平日の2時間ゲームは、やり過ぎだと思っていますし、休日も3~4時間はやり過ぎです。ゲームは楽しいので、気がつくと、あっという間に時間が経ってしまいます。ましてや、オンラインで他の人と一緒に遊んでいたらなおさらです。しかし、そこを、時間を決めて遊べるようになってほしいのです。オンラインで遊ぶなら、その仲間の中で、時間を決めるか、遊ぶ前に、自分はどれくらいで終わるのか、それを決めて遊んでほしいと思います。(続く)

293 オンラインゲームについて考える④(続き)

 実は、ここには、読書と学力の関係も大きく影響していると思われます。次の表を見て下さい。

貸出冊数 国語の平均正答率 算数の平均正答率
71~25冊(平均36冊) 71.3% 64.8%
23~12冊(平均16冊) 68.6% 59.0%
11~2冊(平均6.5冊) 61.3% 52.1%

 これは、同じ子どもたちの本の貸出冊数と正答率の関係を表した物です。国語も算数も、貸出冊数が多い子どもの方が、正答率は高い傾向が見られます。今回は貸出冊数で比較しています。高学年の子どもの中には、ページ数が多い本を読んでいるので、貸出冊数が多くない子どもでもよく読書をしていることはあります。ですから、全体としてこういう傾向があると思って見て下さい。

 読書と学力の関係については、いろいろと理由がありますが、その中でも、特に大きな理由として、読書をする子どもは、読書することで、思考に必要な「学習言語」を身に付けているからだと言われています。先生の話を聞いて理解したり、文章を読んで、その意味を理解したりする言語力は、人と会話する時の生活言語の「日常会話力」ではなく、「学習言語力」です。

 この「学習言語」は、本を読むことで身に付けることができます。逆に言うと、本を読まないと、身に付けることができないと言われています。読書することで、語彙力や読解力が発達するのは当然ですが、それだけでなく、思考力や想像力を高めます。そして、多様な考え方に触れることで、他者理解もできるようになり、他の人との共感性も高まります。さらには、読むという行為に必要な根気強さも培います。そして、「学習言語」を身に付けることで、授業を受けていて、先生や友達の話していることを理解し、自分の考えを論理的に組み立て、課題解決できるようになります。その結果、学力も向上します。

 ゲームに多くの時間を費やしている子どもは、本を読む時間も少なく、さらには、読解力が乏しいため、読書そのものが苦痛でしかなく、なかなか読書活動に前向きに取り組めない傾向が見られます。しかし、学習に必要な「学習言語」を身に付けるためには、読書が欠かせませんので、なんとか、読書習慣を形成する必要があります。ただ、「本を読みなさい」では、読書習慣は形成されません。そこには、家庭環境が大きく関わってきます。家庭において、読書する環境が身近にあれば、子どもは自然と本を読むようになります。この読書をする環境を作るためには、まず、身近に本があること、そして、本を読む大人がいることです。つまり、お家の方が、本を読んでいる姿を見て、子どもも本を読むのです。これについては、改めて述べたいと思います。

292 オンラインゲームについて考える④

ゲームと学力の関係について

 今回、オンラインゲームをしている子どもたちと、していない子どもたちの、学力調査の正答率との相関関係を調べてみました。

  国語の平均正答率 算数の平均正答率
オンラインゲームをしない 68.1% 60.6%
オンラインゲームをする 64.0% 54.2%

 オンラインゲームをしない子どもたちは、オンラインゲームをする子どもたちに比べて、4~6ポイント、正答率が高い結果でした。これは、あくまで平均ですので、誰もがそうだというわけではありません。オンラインゲームをしていても、正答率が高い子どもはおりますし、その逆の子どもも当然います。それぞれの該当児童の全体の傾向として、そういう傾向が見られるということです。

 しかし、そこには、やはり大きな関係があると思います。その一つは、前述した宿題の取り組み方です。学校で学んだ内容を定着させる目的の宿題ですが、とりあえずやればいいような取り組み方では、なんの力にもなりません。

 また、次のような相関関係も見られました。

本の貸出冊数 オンラインゲームをする オンラインゲームをしない
71冊~25冊 42.9% 57.1%
24冊~12冊 60.0% 40.0%
11冊~ 6冊 53.3% 46.7%
 5冊~ 1冊 61.5% 38.5%

 オンラインゲームをしている子どもたちと、していない子どもたちの、学校図書館で借りた本の冊数の関係です。ご覧のように、たくさん本を借りている子どもは、していない割合が高く、逆にあまり借りていない子どもは、している割合が高くなりました。(続く)

291 ちょっとブレイク

 コンピュータゲームについて、いろいろと思うことを書いていますが、この私がコンピュータゲームをやってこなかったのかというとそうではありません。むしろ、学生の頃からいろいろなコンピュータゲームを楽しんできた方です。
 いわゆる「パーソナルコンピュータ(パソコン)」が出回り始めたのが、私が大学生の頃でした。当時のパソコンゲームは、まだBASIC言語というもので作られていて、自分でプログラムを入力して簡単にゲームを作ることもできました。そして、その頃のパソコンの記憶媒体は、なんとカセットテープでした。ですから、今では信じられないくらいシンプルなゲームが多く、2D(平面的な物)のゲームが主流で、アーケードゲームなどから移植された物も多く、例えば、「ゼビウス」などのシューティングゲーム等よく遊びました。
 教員になった頃、ノートパソコンが売り出され、ゲームもかなりグラフィックがきれいで、処理速度も速い物が出回りました。その頃、ロールプレイゲーム(RPG)もかなり面白い物があり、日本で「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」が作られる前に、海外のRPGで「ウルティマ」というものがありました。これは、その後、「ウルティマ・オンライン」となり、オンラインゲームの先駆けとなりました。
 このように、学生の時から、コンピュータゲームで楽しんで来たので、その面白さはよく分かります。オンラインゲームもやったことがあるので、その奥深さも分かります。その経験の上で、これは、課題だなあと感じていることを、述べています。

290 オンラインゲームについて考える③

オンラインゲームの遊び方について

 一般的な個人で楽しむゲームなら、自分の都合で始めたり終わらせたりすることはできます。しかし、オンラインゲームは、他の人とつながって楽しむので、場合によっては、自分の都合で終われないようなことも起こります。

 実際、フォートナイトでは、1人で戦うだけでなく、2人や3人、4人で一緒に戦うモードもあるので、そのメンバーでつながって一緒に遊んでいる限り、そこから自分の都合でやめることは、かなり難しいと言えます。その一緒に遊んでいるメンバーの中で、事前に「○○で終わる」という約束でもしていれば別ですが、どうでしょう。

 さらには、事前に、オンラインで遊ぶ約束をしていたら、急な予定が入っても、変更できない場合も起こりそうです。また、一緒に遊ぶ人数が決まっているとしたら、そのことを決めた仲間以外の人が、その中に入りにくい状況も生まれます。

 オンラインゲームをする時間やメンバーを、自分の都合でコントロールできない辺りに、オンラインゲームのやり過ぎやトラブルが起きる原因が隠れているように思います。