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1. 293 オンラインゲームについて考える④(続き)

投稿日時: 2022/02/18 野木沢小-サイト管理者

 実は、ここには、読書と学力の関係も大きく影響していると思われます。次の表を見て下さい。

貸出冊数 国語の平均正答率 算数の平均正答率
71~25冊(平均36冊) 71.3% 64.8%
23~12冊(平均16冊) 68.6% 59.0%
11~2冊(平均6.5冊) 61.3% 52.1%

 これは、同じ子どもたちの本の貸出冊数と正答率の関係を表した物です。国語も算数も、貸出冊数が多い子どもの方が、正答率は高い傾向が見られます。今回は貸出冊数で比較しています。高学年の子どもの中には、ページ数が多い本を読んでいるので、貸出冊数が多くない子どもでもよく読書をしていることはあります。ですから、全体としてこういう傾向があると思って見て下さい。

 読書と学力の関係については、いろいろと理由がありますが、その中でも、特に大きな理由として、読書をする子どもは、読書することで、思考に必要な「学習言語」を身に付けているからだと言われています。先生の話を聞いて理解したり、文章を読んで、その意味を理解したりする言語力は、人と会話する時の生活言語の「日常会話力」ではなく、「学習言語力」です。

 この「学習言語」は、本を読むことで身に付けることができます。逆に言うと、本を読まないと、身に付けることができないと言われています。読書することで、語彙力や読解力が発達するのは当然ですが、それだけでなく、思考力や想像力を高めます。そして、多様な考え方に触れることで、他者理解もできるようになり、他の人との共感性も高まります。さらには、読むという行為に必要な根気強さも培います。そして、「学習言語」を身に付けることで、授業を受けていて、先生や友達の話していることを理解し、自分の考えを論理的に組み立て、課題解決できるようになります。その結果、学力も向上します。

 ゲームに多くの時間を費やしている子どもは、本を読む時間も少なく、さらには、読解力が乏しいため、読書そのものが苦痛でしかなく、なかなか読書活動に前向きに取り組めない傾向が見られます。しかし、学習に必要な「学習言語」を身に付けるためには、読書が欠かせませんので、なんとか、読書習慣を形成する必要があります。ただ、「本を読みなさい」では、読書習慣は形成されません。そこには、家庭環境が大きく関わってきます。家庭において、読書する環境が身近にあれば、子どもは自然と本を読むようになります。この読書をする環境を作るためには、まず、身近に本があること、そして、本を読む大人がいることです。つまり、お家の方が、本を読んでいる姿を見て、子どもも本を読むのです。これについては、改めて述べたいと思います。