学校だより LIVE

1. 299 詩を書こうコンクール

投稿日時: 2022/03/02 野木沢小-サイト管理者

 このコンクールは、浅川町にある吉田富三記念館が行っているコンクールです。吉田富三博士は、癌研究の先駆者で、吉田肉腫を発見された医学博士。その博士の記念館が「詩」のコンクールをやっているのには、理由があります。

 戦後の日本には、漢字廃止論というものがありました。今の日本語を廃止して、フランス語にする考えや、表記をローマ字にする考えなどでした。しかし、当時の日本人の読み書き能力調査では、識字率が97.9%と非常に高く、これらの考えは撤回されました。そして、当時、国語審議会の委員をされていた吉田博士が、「漢字仮名交じり文こそが日本語。漢字があるから微妙な造語力を持つことができる。」と提案し、日本語のあるべき姿を強く訴えました。その結果、日本語表記が、今の漢字仮名交じり文となったのでした。

 実は、吉田博士は、学生の頃、とても優秀だったので、東京の有名中学校(今の高校)を受験した際、福島訛りがひどくて、それが原因で口頭試問に落ちたことがありました。こういう経験から、吉田博士の中には、言葉に対する思い入れがあったのかもしれません。ご自身でも、俳句や短歌、詩などをたくさん作られていました。そこには、日本語の表現を通して、深く考えた吉田博士の思いが、文字となって現れています。私たち日本人は、日本語の表記によって、物事を考え、感じたことや考えたことを、日本語で表現するのだということを、改めて考えさせられます。

 このようないきさつから、この「詩を書こうコンクール」が行われているのだと思います。

 今年、このコンクールに、4名の子どもたちの作品が入賞しました。次に紹介します。

1年 水野好輝さん作「ぼくのすきなもの」

 すきなものは みかんです/すっぱくて/かわがむきやすいからです
 すいかです/あまいからです
 さくらんぼがすきです/なんこもくっついてあるからです
 ぶどうがすきです/うまいからです

 好きな物の理由が、ストレートに伝わってきます。だいたい、好きな物の理由は、あれこれあるのでなく、このように、ずばりなのかもしれませんね。(続く)