学校だより LIVE

1. 296 本を読む子にするために

投稿日時: 2022/02/22 野木沢小-サイト管理者

 私の一人娘が、初めて発した言葉は、「ばあー」でした。当時、妻の母に家に来てもらっていたため、「ばあちゃん」という言葉をよく耳にしていたのでしょう。最初の言葉が「ばあー」だったことに、妻はちょっとショックを受けていましたが、仕方ありません。みなさんのお子さんが、最初に発した言葉は、何だったでしょうか。
 そもそも、子どもは、どのように言葉を発達させていくのでしょうか。心理学博士の榎本博明(えのもとひろあき)氏の著書によると、子どもは「あ、あ、あ、」という言葉から、1歳くらいになると、「ブーブ」「まんま」「わんわん」など意味のある1語文を口にするようになるそうです。それを聞いた親と「まんま、おいしいね」「わんわん、いるね。」等のやりとりをすることで、2歳頃には2語文を口にするようになります。この頃から、語彙数は爆発的に増えていきます。と同時に、指差ししながら、しきりに疑問をぶつけてきます。「トリさん、何食べるの?」「トリさん、なんで飛ばないの?」等、こういうやりとりを通して、どんどん言葉を覚えていきます。1歳半頃には50語程度だった語彙数は、2歳で200~300語、3歳で1000語程度に増加します。簡単な日常会話には不自由しない程度のコミュニケーション能力を獲得するわけです。そうして、小学校入学時には、数千から1万語、獲得します。語彙数が増加すると共に、2歳を過ぎる頃から、2語文から多語文へ発達していきます。

 このように、子どもの言語能力の発達には、親をはじめとした周囲の大人の働きかけが大きく作用します。まったく言葉を持たないところからスタートしているわけですから、身近な大人が発する言葉を吸収するのが基本です。言語性知能に関しては、家庭環境の影響がおよそ60%と非常に大きくなっています。脳科学の分野でも、親子で過ごす時間やその過ごし方が、子どもの言語能力の発達に関わっていることが分かっています。特に、親子での様々な会話が、言語能力や脳の発達を促すことが確認されています。

 幼少期、まだ学校に入学する前は、やはり、子どもは、家庭内で過ごす時間が長いことから、親子の関わり方が大事だということだと思います。そして、読書についても、家庭環境において、子どもの身近に蔵書がどれだけ、どんな内容の物があるかは大事だと言われます。子どもが親子の会話から語彙を増やし、さらに、本を読むことで語彙を増やすことができます。ただ、ここで重要なのは、子どもが本を読みたいと思うかどうかは、親の態度次第だそうです。日常生活において、親が本を熱心に読んでいる姿がモデルになり、子どもも本を読むようになるというわけです。読み聞かせなども効果はあります。休日に、一緒に本屋や図書館などに行くことは、本に興味関心を持つようになり、読書を楽しむきっかけにもつながります。

 読書は、前のLIVEで書いたように、「学習言語」を身に付けるために必要です。学習内容を理解するためにも、子どもたちには、本を読む子どもになってほしいと思います。そして、本を読む習慣を身に付けてほしいです。家庭で過ごす時間の中に、読書する時間ができたらいいなあと思っています。お子さんがあまり本を読まない様子でしたら、ちょっと親子で本に親しむ機会を作ってみてはいかがでしょうか。石川町の図書館は、火曜閉館で、他の日は午前10時から午後6時まで開いています。休日の過ごし方の一つとして、ちょっと図書館に行って、お互いに面白そうな本を探して読んでみてはいかがでしょうか。