学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

169 3学期もコロナに気をつけた生活を!

 新しい年のスタートに、多いに希望を持って進んでいきたいと思います。しかし、関東圏で緊急事態宣言が出されるなど、新型コロナの状況については、今後も気をつけて行きたいと思います。そこで、以前にも紹介した感染症専門医の忽那先生が、「子どもと新型コロナ 知っておきたい大事なポイント」と題して、次のような話をしていますので、紹介します。
 まず、下のグラフをご覧ください。これは、日本国内の年齢別コロナ感染者数(厚生労働省、11月18日時点)を表したグラフです。(省略)

 ご覧の通り、20代が最も多く、10代未満と10代は少ないことが分かります。全く感染しないわけではないので、油断してはいけませんが、これまでの状況からも、子どもは感染しにくいと言えます。それは、年齢が低いほど感受性(感染者との接触による感染確率)が低く、年齢が高くなると感染しやすい傾向があるからだそうですが、なぜ、そうなのかについては、はっきりとした結論は出ていないそうです。また、新型コロナでは、感染しても症状が出ない無症状性感染者が、大人に比べて子どもの割合が多いそうです。このことから、子どもが感染源となる可能性は、大人と比べると高くないと言えます。そして、特に気をつけてほしいことは、子どもが感染しないように注意するために、大人が感染しないことです。と言うのも、大半の子どもの感染例は、その親から感染しているからです。つまり、子どもたちの間で流行が広がるというよりも、大人が外から家庭内にウイルスを持ち帰り、子どもにも感染させていることが多いということです。学校でも、これまで同様、屋内ではマスクの着用、3密を避ける、こまめに手洗い・うがい、消毒と換気に気をつけていきます。そして、家庭と協力しながら、健康な習慣作りを進めていきたいと思います。3学期もよろしくお願いいたします。

 

168 第3学期スタート

第3学期始業式 校長の話

 新年明けましておめでとうございます。2021年、令和3年になりました。
 昨年は、コロナ禍でいろいろと大変な一年になりました。みなさん、よく頑張りましたね。1月になり、年は明けましたが、コロナウイルスが無くなったわけではなく、状況は変わりません。ですから、これからも、うがい・手洗い、マスク着用、消毒、換気、そして、三蜜を避けることを続けていきます。また、しっかり食事をして、運動して体を鍛え、夜はちゃんと睡眠時間を取って、健康な生活習慣も続けていきます。寒くなってきますので、コロナだけでなく、インフルエンザにも負けない、健康な体づくりを心がけてください。
 さて、今日から、3学期がスタートです。3学期は、50日あります。50日と聞くと、まだまだたくさんあるようですが、実際は、あっという間に過ぎていきます。ですから、大事なのは、目標と日々の努力です。この50日間で、自分はどんなことをできるようにするのか、しっかりと目標を立てること。そして、その目標達成に向けて、自分は毎日どんなことを努力していくのか決め、それを続けること。そうやって、この50日間を過ごしてほしいと思います。
 時間は誰にも止めることはできません。ですから、目標なく、何の努力をしない日々を過ごしても、50日は経ってしまいます。今の自分が、50日後、どのように変わっているか、成長できているかは、この50日間をどのように過ごしたかで決まります。それを決めるのは、自分自身です。お家の人や先生ではありません。自分を変えることができるのは、自分しかいないのです。人は、心持ち次第で、いくらでも変われます。変わること、それが成長です。そして、変わること、それが生きることなのです。

167 第2学期終業式

 第2学期終業式で、子どもたちに次のような話をしました。

「今年の野木沢小学校を表す漢字に、私は「健」を選びました。
みなさんが、コロナに負けず、健康に生活できたことと、何事にも健気に頑張ってきたからです。
今日で2学期が終わるので、2学期のみなさんを表す漢字を考えてみました。
まず、1年生。1年生は、「元」を選びました。1年生のみなさんは、1学期に比べて、この2学期は、とても元気に生活できました。給食もたくさん食べられるようになりました。
次に、2年生。2年生は、「話」を選びました。2年生のみなさんは、授業中、全員がよく発表しました。自分の考えを、しっかりと話すことができました。
次は、3年生。3年生は、「自」を選びました。3年生のみなさんは、自分たちで考えて、自主的にいろいろなことを進めました。自分のことをしっかりできるようにもなってきました。
次は、4年生。4年生は、「調」を選びました。4年生のみなさんは、川やダムやプラネタリウムなど、いろいろなところに出かけて、たくさんの調べて、分かったことを、発表できました。
次は、5年生。5年生は、「交」を選びました。5年生のみなさんは、米作りや障がい者、保育所の子どもたちなど、いろいろな人たちと交流して、たくさん学んできました。
最後は、6年生。6年生は、「創」を選びました。発表会では、全員で創造した、自分たちの発表をしました。また、今年の野木沢小の最高学年として、今年の学校をこれまで創り上げてきました。
さて、明日から冬休み。楽しい休みにしてください。」

166 野小っ子のいいなあと思うところ

 今日で、2学期が終わります。保護者の皆様には、大変お世話になりました。2学期の最後に、野小っ子のここが素敵、と思うところを紹介します。

「休み時間、外で元気に遊ぶ。」
 私は、野木沢小の日課表で昼休み時間が45分あり、たっぷり遊べるところが気に入ってます。その休み時間、そして、登校してきた朝の時間、外で走り回って遊ぶ子どもたちが多いところが、いいなあと思います。やはり、健康な体づくりに、運動は欠かせません。家に帰って外遊びをしない人はその分、学校で思いっきり体を動かして遊んでほしいと、いつも思います。

「休み時間が終わる時刻になると、切り替えて、すぐ戻る。」
 そして、休み時間が終わると、さあっと校庭から校舎に戻ってくるところがいいなあと思います。休み時間と授業や掃除の時間の切り替えができています。楽しく遊んでいても、ちゃんと切り替えができるというのは、強い心を持っている証拠です。

「校長室や職員室、保健室に、朝や帰りにあいさつする。」
 朝や帰りは、校舎の一階の廊下は、あいさつロードに変わります。校長室でできるだけあいさつを受けられるようにしたいと、いつも思っています。ほとんどの人があいさつする中、立ち止まって、顔を見て、お辞儀しながらあいさつする人が何人かいます。そういうあいさつをされると、こちらも気持ちがしゃきっとなります。

「横断歩道で、止まってくれた車にお辞儀をする。」
 先日、横断歩道を一人で渡ろうとしている低学年の女の子がいました。しっかりと手を上げて、車が止まるのを待っていました。そして、車が止まったのを確認してから道路を渡り、その後、ちゃんと止まってくれた車にお辞儀をしていました。誰かに見られているとかいないとかではなく、堂々としたその姿は、とてもかっこよく見えました。そのように、道路を横断できている人がたくさんいるのが、いいなあと思います。

「授業中、お互いの考えを交流で伝え合う。」
 授業中、友達と話し合う機会があります。その時に、自分の考えをちゃんと伝えたり、相手の考えをしっかりと聞いたりできています。そういう聞き合うことが、学び合いの基本です。授業は、いろいろな考えが出れば出るほど、深まります。ちゃんと考えた結果なら、例え、正答でなかったとしても、そこからいろいろなことを学べます。授業はそういう考えを大事にするところです。

「困っている友達に、声をかける。」
 友達が困っていたり、下学年の子が困っていたりした時、それに気付いた人が、ちゃんと声をかけて、助けてくれています。困る場面はいろいろです。そういう時に、声をかけてもらえると、安心します。自分さえ良ければという考えの人は、声はかけられません。相手のことを考えられるから、相手の立場を理解して、声をかけられるのだと思います。そういうことができる、優しい人がたくさんいます。

「先生の言うことを、しっかりと聞く。」
 まずは、先生の話をしっかりと聞ける人は、素直な人です。素直な人は、伸びる人です。一方、話を聞けない人は、素直に人の話を受け止められないので、伸びることができません。そういう意味で、素直で、伸びる人がたくさんいます。

「一生懸命、掃除する。」
 掃除の時間、お話をしないで、黙々と取り組んでいます。遊ばないで、自分のやるべきことを一生懸命やれるところがいいです。お陰で、校舎内はいつもきれいです。掃除中、校舎をきれいにしながら、自分の心もきれいに磨いています。

「休まず、毎日、学校に来る。」
 全体的に、お休みが少ないです。私は、学校に来ないと、学べないことがあると思っています。その一つが、他の人との関わりです。人は独りでは生きていけません。必ず、誰かと関わりながら、生きていきます。世の中には、いろいろな人がいます。全ての人が、自分と相性がいいとは限りません。そうでない人も当然いるし、そういう人とも関わらなければならないことだってあります。そういう時、どうしたらよいか。学校という集団生活では、そういうことも学びます。これは、学校に来ないと学べないことだと思います。野木沢小の子どもたちは、毎日、学校でいろいろなことを学び、日々、賢く、たくましくなっています。

 それでは、事故なく、けがなく、感染なく、楽しい冬休みを!

165 子どもたちの向かう先は…

 4つの国に住む、4人の子どもたちを紹介します。
 ジャクソンくん(11歳、ケニア)
  彼は、片道15kmの道のりを、6歳の妹と小走りで2時間かけて、野生動物に注意しながら進みます。
 カルロスくん(11歳、アルゼンチン)
  彼は、片道18kmの道のりを、馬に乗って6歳の妹と一緒に1時間30分かけて、山や平原を越えて進みます。
 ザヒラさん(12歳、モロッコ)
  彼女は、片道22kmの道のりを、友達3人で4時間かけて、夜明けに出発して進みます。
 サミュエルくん(13歳、インド)
  彼は、片道4kmの道のりを、二人の弟が押す車椅子に乗って、1時間15分かけて、トラブルの連続の中、進みます。

 この4人の子どもたちが、長時間かけ、大変な思いをして向かう先はどこだと思いますか。

 それは、「学校」です。この子どもたちは、「世界の果ての通学路」という映画で紹介されていた子どもたちです。この映画は、2013年にフランスのドキュメンタリー作品として制作されました。その後、日本でも公開されました。今はDVDにもなっています。

 野生のキリンやゾウが生息するサバンナを駆け抜けるケニアのジャクソン。山羊飼いの仕事を終えてから、愛馬で学校へ向かうアルゼンチンのカルロス。女子には教育は不要とする古い慣習が残る村から、寄宿学校に通うモロッコのザヒラ。生まれつき足が不自由で、弟たちに車椅子を押されて登校するインドのサミュエル。通学路は危険だらけで、大人の足でも過酷な道のり。それでも子どもたちは学校へまっしぐらに向かいます。

 どうして、そこまでして、この子どもたちは、学校へ通うのでしょうか。

 別の大陸、違う言葉、宗教、生活環境の中で暮らす4人の子どもたちは、真っ直ぐな瞳でみな同じ思いで、その理由を語ります。それは…

「夢をかなえたいから」

 学校に行くという、当たり前のことの「本当の意味」を考えさせられる映画です。

 4年生の子どもたちが、国語の授業で、自分のおすすめの本の紹介文を書きました。その作品が、本と一緒に図書室に掲示されていました。その中に、先程、紹介した話と似たような題名の本が紹介されていました。本の題名は、「すごいね!みんなの通学路」。その紹介文を書いていたのは、福島功大さんです。功大さんは、次のような紹介文を書いていました。

みんな学校が大好きだから。
   「すごいね!みんなの通学路」
              ローズマリー・マカーニー文 西田佳子訳
世界中には、いろいろな通学路があると分かる絵本です。
色あざやかな写真から、学校に行けることはうれしいことだよとよく分かります。
「学校に行ける」という意味を考えさせられる本です。
                             福島功大

 この本は、写真がたくさん載っていました。その写真には、世界中の子どもたちが、いろいろな通学路で学校に通っている様子が紹介されています。川を渡ったり、船をこいだり、崖を越えたりしながら通う子どもたち。学校に飲み水や机がないので、家からタライに汲んだ水や机を運びながら通う子どももいます。そんな大変な思いをしながら、それでも、子どもたちは楽しそうに学校に通うのです。きっと、学校には、それだけ大変な思いをしてまでも行くだけの何かがあるのでしょう。それが何なのか。功大さんも言っているように、「学校に行ける」ことが当たり前でなく、そこにはどんな意味があるのか、考えさせられました。

164 感染拡大に注意!

 新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大しています。福島県の感染状況も「ステージⅡ」になりました。ステージⅡは、「感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階」です。それを受け、県より「年末年始における注意喚起」が出ました。裏面に掲載してありますので、ご覧の上、十分注意した行動をお願いします。

 さて、ある雑誌に、川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長による「感染症対策の基礎知識」が載っていました。新型コロナウイルス感染症を始め、インフルエンザや食中毒のノロウイルスなど、感染症と呼ばれるものについて、改めて確認しておきたいと思います。以下、中略で紹介します。

感染症対策の基礎知識
1「病原体と感染症の関係」
 微生物のうち、生体にとって病気の原因となるものを病原体と呼びます。ウイルスもその一つです。感染症は、この病原体によって引き起こされる病気です。しかし、病原体が生体に侵入したら、必ず病気になるかというと、そうではありません。何の影響もなく、普通の状態でいる場合もあります。つまり、体内で病原体が見つかること(感染)が、感染症という病気にかかったこと(発病)ではないということです。感染と発病は別物です。新型コロナウイルスの場合でも、ウイルスが体内に侵入して感染しても、発病しない人がいることが分かっています。ただ、本人は痛くもかゆくもなく何事もなく済んでしまうのですが、他の人へうつすことがあることが分かってきました。それでも、新型コロナウイルスにかかった人でさえ、8割の人はうつさないので、感染力は決して強いとはいえません。

2「感染経路」
 感染経路として、飛沫感染や空気感染などがあります。飛沫感染は、会話時のしぶきやくしゃみなど水分に包まれた病原体が飛び出るもので、1m前後が感染範囲とされています。空気感染は、病原体が唾液などよりもっと細かい粒子(エアロゾル)となって遠距離まで感染が及ぶものです。新型コロナウイルスでは、マイクロエアロゾル感染といって、通常の飛沫感染よりもさらに数メートル先までウイルスを含む小粒子が届き、感染源になることが報告されています。これらは空気の流れなどによって速やかに拡散するので、空気の流れのよいところ、つまり広い空間や換気のよいところでは感染のリスクは大きく減少すると考えられます。なお、仮に新型コロナウイルスが空気感染で広がるようなものであれば、インフルエンザなどより多数の感染者があっという間に発生することになるので、空気感染の可能性があったとしても極めてまれ、と考えられています。

3「感染症の予防」
 感染症の予防の基本は、感染源、感染経路、感受性者(その感染症にかかる可能性のある人)対策です。この対策は、個人が行う部分と社会全体で行う部分があります。そのうち、個人で行うのが、感染経路対策と感受性対策です。
 感染経路対策は、マスク着用、手洗い(手指衛生)が重要です。感受性対策は、日常の栄養・休養・鍛錬・生活環境などによって得られる健康の増進が基本です。

4「改めて3密を避ける」
 国内で集団感染が生じた共通の場として、密閉空間、密集空間、密接という状態で、これらが重なっているほどリスクが高まるところから「3密を避けましょう」ということが薦められることになりました。
 今までは「飛沫感染」次いで「接触感染」が主たる感染経路と考えられてきましたが、最近になって「エアロゾル感染」が世界的に重要と認識されてきました。「エアロゾル感染」とは、呼気中などに含まれ、飛沫よりも小さく、空気中に漂う微細な粒子を介する感染のことをいいます。これは部屋の広さではなく、換気の程度が重要とされます。広い屋外を歩いたり、感染対策のとられている店舗での買い物や食事、十分に換気された電車での通勤・通学であれば、「エアロゾル感染」が起こる可能性は非常に低いと考えられており、日本が進めてきた「3密を避ける」ということは妥当な方法であると考えられているところです。改めて3密や大声を上げる環境の回避、接待、会食での飛沫防止、換気の徹底など基本的な感染対策を行うことが強く求められるところです。
 お出かけになる時は、混雑する場所や時間帯はできるだけ避けて、家族単位などの少人数でゆっくりと過ごされることをお勧めします。

 以上の記事を読むと、新型コロナウイルス自体は、そんなに感染力の強いウイルスではないこと、これまで取り組んでいる3密を避け、マスクの着用、手洗い・消毒、そして換気により、かなり感染を防ぐことができることが分かります。全国的に拡大していますが、必要以上に恐れることなく、基本に立ち返り、しっかりと感染予防していきましょう。

年末年始における注意喚起はこちら→年末年始における注意喚起.pdf

163 守・破・離の世界

 各学年で、書き初めの練習が始まっています。1・2年生は硬筆で、3年生以上は毛筆で条幅用紙に書きます。半紙と違って、倍以上長い用紙なので、全体のバランスを取るのがとても難しいです。そのため、条幅用紙を折って、その折り目を手がかりに、お手本の文字を書き写していきます。硬筆も毛筆もお手本の字を書き写すので「書写」と言います。書写は、決して、自分の書きやすい文字を、書きやすいように、好き勝手に書いていいのではないのです。一方、書の道を極めた書道家と呼ばれる人たちがいます。この人たちの作品は、一見、好きなように独創的に書いているように見えますが、やはり、しっかりとした基本が土台にはあります。

 昔から、芸道・芸術の世界は「守・破・離」と言われる三段階があります。まずは師匠から教わった基本の型を徹底的に「守る」段階です。次に、その教えに従って修業を重ね、他の型についても学び、その中から自分に合ったより良いと思われる型を模索し試すことで、これまでの型を「破る」段階。そして、最後は、さらに修業を重ね、今まで身につけた型にこだわらず、今までの型から「離れ」て、新たな型を生み出す段階です。これは、スポーツの世界でも同じで、王選手の一本足打法も、イチロー選手の振り子打法も、野茂選手のトルネード投法も、いきなりあのような型破りな技が生まれたのではなく、少年期に基本を忠実に練習し、何年もかけて基本の型を身につけた上で生まれたものなのです。また、画家のピカソと聞くと、とても不思議で個性的な作品が有名ですが、あのピカソも幼少期から青年期にかけては、写実的な絵を描いていました。その描写はとても子どもが描くレベルではなかったようで、画家だった彼の父は、ピカソが9歳の時に描いた絵を見て、ショックのあまり画家を辞めたというエピソードがあるほどです。どの世界も同じような「守・破・離」があって、そういう意味で、小学生の子どもたちは、あらゆることで「守」の段階なのだと思います。単調に思えるような基本の練習を、まずは繰り返し繰り返し取り組むことが大事だということです。

 話を書道に戻します。最近、面白い文字を書く人を知りました。その人は、原愛梨さんと言います。職業は、書道アーティスト。その人の作品は、見た目は絵です。しかし、よく見ると、その絵は、文字をデザインして描かれているのです。面白い作品だなあと感心しました。経歴を見ると、原さんはまだ27歳と若いのですが、2歳から書道を始め、8歳で文部科学大臣賞を受賞しています。まさに、守・破を過ぎて、今、書道アーティストという離の世界を生きているのだと思いました。

162 ボディイメージ

 1年生や2年生などの低学年の子どもたちによく起きる出来事として、水道やロッカーなどに複数人集まった時に、体がぶつかり合うことです。一見、「粗暴な行動」と捉えられることもありますが、もしかしたら、「ボディイメージがない」からとも言えます。
 ボディイメージとは、自分の体の輪郭がどのくらいの幅やサイズをしているか、また、今、自分の体がどのように傾いているか、どこにどのくらいの力がかかっているか、といった感覚のことです。この感覚は「固有受容覚」「前庭覚」と呼ばれます。これらの感覚は、ボディイメージの発達を促す働きもしています。このボディイメージが発達することで、自分の体をコントロールした動きができるようになります。しかし、このボディイメージが十分発達していないと、先程の例のように、他者との距離感がつかめず、気付いたらぶつかっていたということになります。また、どの程度の力を入れているかわからず、ぶつかった相手が思った以上に痛がるということにもつながっています。これらは、決してわざとぶつかったのではない、というわけです。全ては、ボディイメージが未発達だから起こることなのです。さらに、このボディイメージを把握するために必要な感覚が「触覚」です。そう、皮膚に触れて感じる感覚です。ですから、低学年の子どもたちが、狭いところでぶつかり合いながら、その接触する感覚を通して、各自が、自分のボディイメージを発達させているとも言えます。この触覚は、相手に与える力より、相手から受けた力の方が強く感じますので、結果、ぶつかっているのはお互い様なのに、相手にぶつかられた、という感覚になるわけです。このボディイメージが発達することで、友達とぶつかり合うことも減ってきます。
 そして、実は、このボディイメージは、空間認知力ともつながっていると言います。どのくらいの隙間があれば、自分の体は通り抜けられるかというのもそうですが、目で見た枠の中に、手に持った鉛筆をどのように動かしたら、枠の中に字が収まって書くことができるか、というのも空間認知力だそうです。枠の中に収まっていても、極端に小さい字や偏った字になってしまうのも関係しているようです。
 最後に、このボディイメージの発達を促す遊びがあります。ブランコやジャングルジム、平均台など、ゆれや加速を感じたり、遊具に合わせたいろいろな体の動かし方をしたりするのがいいようです。また、触覚を刺激する粘土や砂遊びなどもよさそうです。要は、体全体を使って、いろいろな動きをすることが大事なのですね。たまには、ゲームではなく、体を使った遊びもしてほしいと思います。

161 今年の漢字

 14日、日本漢字能力検定協会が1995年から毎年行っている「今年の漢字」が発表になりました。2020年を漢字一字で表すなら?と全国から応募された漢字の中で、一番多かった今年の世相を表す漢字は…

 第1位「密」  流行語大賞の「三密」と合わせて、2冠です!
 第2位「禍」  コロナ禍という言い方が一般化しました。
 第3位「病」  新型コロナ関連ですね。

 以下、「新」「変」「家」「滅」「菌」「鬼」「疫」という結果でした。

 ちなみに、私が選ぶ「野木沢小の今年の漢字」は、「健」です。コロナ禍でも、野小っ子たちは、いつも「健康」で元気いっぱいに過ごしてきました。学校、家庭、地域が一体となって、みな「健やか」に成長してきました。野小っ子たちは、いろいろと思うようにいかない中でも、みな「健気」に、一生懸命、学習や運動に取り組んできました。そして、これからも、どんな困難な状況だろうと、希望を持ち、何事にもチャレンジする野小っ子たちの「健闘」を祈ります。

160 しんごろう

 14日(月)の給食に、「しんごろう」が出ました。(野小っ子NEWSで写真付きで紹介してます)この「しんごろう」という料理は、半突きにしたうるち米を竹串に刺して、「じゅうねん味噌」を塗って焼いた田楽の一つで、会津地方の郷土料理です。貧しくて「もち米」を買えなかった新五郎さんがうるち米を潰して串に指し味噌をつけて火で炙ったのが由来で、その名前がついたそうです。
 さて、このしんごろうを作る時の「半突き」とは、半分粒が残る程度に潰すことですが、別名「半殺し」と言います。この怖い言い方が、面白い落語の噺になっていますので、紹介します。(フジパンのHPより)

 むかし、ひとりの侍が旅をしていて、山の中で日が暮れてしまったと。真っ暗な山の中を、あっち行き、こっち行きして、ようやく一軒の山家(やまが)が見つかった。戸を叩(たた)いたら、中から、「戸は開きますで」と、爺(じい)さんの声がした。戸を開けて家の中に入ると、侍は、「今夜一晩だけ泊めていただけまいか」と、頼んだと。囲炉裏端で縄をなっていたお爺さんとお婆さんは、「ええとも、ええとも、なあ婆さんや」「はえ、はえ、困ったときはお互いさま」「婆さんも、ああいっとります。こんなあばら屋で、よかったらば」と、にこにこして招じ入れてくれたと。侍はあったかいお粥(かゆ)をごっつぉになって、次の部屋に休ませてもらったと。
 旅の疲れで、すぐに眠ったが、そこは侍、真夜中ごろ、お爺さんとお婆さんのひそひそ話に、ふと眼をさました。耳を澄ますと、「明日(あす)はひとつ、半殺しがええべか、それども、お手打ちがええべか」「江戸のお侍さんだそうだで、半殺しがええかも知んないな、お爺さん」といっている。さあ、侍はびっくりした。「これは、山賊の家かもしれん。とんだところへ泊ったもんだ」もう眠るどころではない。刀を抱いたまま布団の中でじいっと様子をうかがっておったと。四方八方、油断なく気を配って、すっかり気疲れした頃、朝になったと。「はて、襲(おそ)って来るのは夜(よる)の内(うち)かと思うたが……、さては、油断させておいて、不意をつく気だな。そうはさせるか」侍は刀をいつでも抜けるように身構えて、その時を待っておった。

 すると、隣りの囲炉裏端のあたりで、コトコト音がして、「婆さんや、半殺しはまだか」「もう少しだよ、お爺さん」との声が聞こえて来た。侍は肝(きも)をつぶして、「いよいよ来るか。何の、こっちから踏み込んでやる」と、刀を掴(つか)むやいないや、パッと隣の部屋へ飛び込んだら…。
 お婆さんが、「おや、お侍さん、もう起きたのかね」と、のんびり声をかけた。「ん?」と思って、婆さんの手元を見ると、婆さんはしきりにスリバチで何かをこねている。「はーて、何だかおかしな具合だな」と、まるで狐に化かされたような顔で眼(まなこ)を点にしていると、婆さんは、「何もないけんど、半殺しでも、ごっつぉすんべと思うてな」といって、出来立てのぼた餅をひとつ、手に乗せて見せた。「ははぁ、半殺しというのは、このぼた餅のことか」侍は、少し気が落ち着いて、「お婆さん、では、お手打ちというのは何のことかね」とたずねると、「はぁ、お手打ちかい。そいつは、家で作ったそばきりのこんだ。本殺しといえば餅のこんだよ」江戸の侍は、これを聞くと一度に気が抜けて、ドシーンと腰をおろしてしまったと。どんべすかんこねっけど。

 ぼた餅のことを「半殺し」、手打ちそばのことを「お手打ち」と呼ぶことを知らなかったお侍さんの勘違いでしたが、ちなみに、粒を残さず、全部潰してつくるお餅を「本殺し」の他に「みなごろし」とも呼ぶそうです。なんともぞっとする言い方ですが…どれも美味しいですね。

159 イメージする力

 国際教育到達度評価学会が行っている、国際数学・理科教育動向調査の結果が新聞に載りました。世界の小4と中2を対象に実施した調査で、4年ごとに行われているようです。

 結果は、小中全てにおいて上位5位以内に入り、小4理科で平均得点が下がったものの、他は伸びているということでした。かつて、算数嫌い、理科離れが問題になったことがありましたが、かなり解消されているということだと思いました。ただ、今回の結果で気になったのは、算数・数学と理科の平均点の差です。算数が593点、数学が594点なのに比べ、理科は小学校で562点、中学校で570点と、教科の間でかなり差があることです。問題が載っていないので、一概には言えないのですが、算数・数学的な問題の正答率に比べ、理科的問題の正答率が低いのは何かあるのかと思いました。

 算数・数学と理科は、よく理数系と呼ばれることがあります。理数系と呼ばれると、どこか数字を扱って、理路整然とした考え方をするようなイメージにとらわれますが、決してそれだけではないと思っています。どちらかというと、算数・数学も理科も、すごく想像的で、文学的で、言葉を大切に扱っているように思います。例えば、算数の文章題の問題が苦手な子どもは、その問題の情景をイメージできていないことが原因だったりするからです。文章の内容を理解できるかどうか、大事なのは想像する力です。言葉の表現を具体的にイメージできるかどうかです。同じように、理科の実験でも、どういう条件をそろえて、何を変えて実験するかなどは、その実験自体をイメージできないと理解が深まりません。実験観察の結果を、どういう言葉で表現するかも大事です。物理学なども、自然界の現象から法則を見つけるわけですから、極めて想像的だと思うのです。単に数字を扱っているだけではないわけです。それより、いろいろな事象を言葉を駆使して説明する文章力も必要なわけです。この文章力や想像する力、イメージする力は、読書によって培われます。優れた科学者たちは、みな読書家であったりするのもうなずけます。

 先週、コミュタン福島で、理科自由研究発表会が行われ、県内の子どもたちの発表を見る機会がありました。見学して驚いたのは、小学生でも、いろいろなことに興味を持ち、楽しく研究に取り組んでいる子どもがいることでした。6年生で、蚕の遺伝子研究やバラの花の交配などに取り組んでいる子がいました。短時間では、どんな研究だったのか、大人でも理解が難しいような内容でしたが、本人たちは、とてもわくわくしながら、楽しく研究していることだけは、見ていて伝わりました。この楽しく学ぶという姿勢は、とても大事だと思いました。理科の実験・観察も、とても楽しいものです。その楽しさを味わいながら学ぶことが、結果的に理科に対する興味関心を高め、学習内容の定着を確かなものにしていくのだと思いました。

158 新型コロナウイルス感染症について

 感染症専門医で国際感染症センターに勤務する忽那賢志(くつな さとし)先生が、「新型コロナの症状、経過、重症化のリスクと受診の目安」について、ホームページで記事を掲載されています。この記事をもとに、改めて、気をつけることを確認したいと思います。

新型コロナウイルス感染症の典型的な症状
 新型コロナの潜伏期間(感染する機会から何らかの症状を発症するまでの期間)には1~14日と幅がありますが、多くの人がおよそ4~5日で発症します。新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ています。風邪は、微熱を含む発熱、鼻水、鼻詰まり、ノドの痛み、咳などの症状がみられることが多く、またインフルエンザも風邪と似ていますが、風邪に比べると高熱が出ることが多く、頭痛や全身の関節痛・筋肉痛を伴うことがあります。風邪はインフルエンザに比べるとゆっくりと発症し、微熱、鼻水、ノドの痛み、咳などが数日続き、インフルエンザは比較的急に発症し、高熱と咳、ノドの痛み、鼻水、頭痛、関節痛などが3~5日続きます。しかし、風邪やインフルエンザが新型コロナのように1週間以上続くことは比較的稀です(ただし咳や痰の症状だけが2週間程度残ることはよくあります)。 また、新型コロナでは典型的には、発熱・咳・だるさ・食欲低下・息切れ・痰・筋肉痛・嗅覚障害・味覚障害などの症状の頻度が高いとされます。特に「息切れ」「嗅覚障害・味覚障害」の症状は、風邪やインフルエンザでは稀な症状ですので、新型コロナの可能性を疑うきっかけになります。

新型コロナウイルス感染症の典型的な経過
 新型コロナに特徴的なのは、症状の続く期間の長さです。前述のように新型コロナウイルス感染症は風邪やインフルエンザによく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があります。特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かっています。流行早期の中国での4万人の感染者のデータによると、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約8割の方はそのまま治癒しますが、約2割弱と考えられる重症化する人はそこから徐々に肺炎の症状が悪化して入院に至ります。2割のうち全体の約5%の症例で集中治療が必要になり、約2%の事例で致命的になりうるとされています。

新型コロナが重症化しやすい人は?
 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人の割合や死亡する人の割合は年齢によって異なり、高齢者は高く、若者は低い傾向にあります。重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、6月以降に診断された人の中では、重症化する人の割合は 約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)、死亡する人の割合は 約1.0%(50歳代以下で0.06%、60歳代以上で5.7%)となっています(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)。これは、1月~4月の頃に比べて、軽症や無症状の人にも検査が行われるようになり感染者全体の重症度が下がったこと、そしてデキサメタゾンなどの治療薬による効果が現れていること、などが要因と考えられます。新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある方です。30代くらいまでは亡くなる人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では23%という非常に高い致死率となっています。日本国内のデータからも年齢が上がれば上がるほど致死率が高くなることが改めて数字として示されています。

病院を受診する前に
 自身が新型コロナかなと思ったら、まずはかかりつけ医か地域の医療機関に相談しましょう。

福島県では、かかりつけ医など相談する医療機関に迷う場合や、土日・夜
間などかかりつけ医が休診のときには
  福島県受診・相談センターへ(0120-567-747)24時間OK

 医療機関に受診が必要と判断されたら、マスクを着けて、なるべく公共の交通機関を使わずに病院を受診するようにしましょう。新型コロナは時期や地域によって流行状況が大きく異なります。つまり、発熱や咳のような症状が出現したとしても新型コロナである可能性は、住んでいる地域によって変わってきます。各地域における流行状況は、新規発生患者数・新規発生患者数のうち接触歴不明の患者の割合・PCR検査陽性率を参考にしましょう。新規症例報告数がほとんどなく、検査陽性率も低い地域にお住まいの方は、風邪症状が出たとしても、海外渡航歴や接触歴がなければ新型コロナの可能性は高くないでしょう。時期や地域によって、自身が新型コロナに罹る可能性も変わってきますので、お住まいの地域の流行状況をしっかりと把握しておくことが大事です。風邪やインフルエンザのような症状が出現した場合は、個々人が自身の感染リスクと重症化する可能性を考慮した上で、病院を受診するかどうか判断し、迷う場合にはかかりつけ医や前述の相談センターに電話で相談しましょう。また、病院を受診しない場合も、手洗いや咳エチケットなどの予防対策は必要ですし、周囲の人(特に高齢者や持病のある人)にはうつさないような配慮が必要です。新型コロナを広げないためには、手洗い、屋内でのマスク着用、3密回避など新型コロナに注意した生活を続けることが重要です。

157 夜空を見上げてみませんか?

 先日の早朝、南の空に、偶然、流れ星を見ました。見た目で5cmくらいの長さで、かなり明るく光って流れたので、とてもうれしかったのですが、調べてみたら、今、ちょうど「ふたご座流星群」の出現時期だったようです。

 流星が多く見られる主な流星群は、1年間に11個程ありますが、その中で、特に、毎年ほぼ安定して多くの流星が出現する3大流星群というのがあります。それが、12月28日頃から1月12日頃見られる「しぶんぎ座流星群」。7月17日頃から8月24日頃に見られる「ペルセウス座流星群」。そして、今の時期見られる「ふたご座流星群」です。

 国立天文台のホームページによると、ふたご座流星群は、毎年ほぼ一定して、多くの流星が見られるという点では、年間最大の流星群と言えるそうです。今年は特に条件がよく、15日が新月のため、月明かりの影響が少なく、いつもより多くの流星が見られそうです。流星が最も多く現れそうなのは、13日の夜から14日の明け方にかけてです。日付が14日に変わる頃、空の暗い場所で観察すれば、最大で1時間あたり55個前後の流星が見られるそうなので、期待したいです。また、12日の夜、14日の夜も、最大で1時間あたり20個を超える流星が出現するようなので、天気が良ければチャレンジしたいですね。いずれの夜も流星は、午後8時頃から現れ始め、本格的な出現は午後10時頃からで、夜半を過ぎた頃に数が最も多くなり、明け方まで流星の出現が続くようです。

 流星は、空全体に現れます。いつどこに出現するかは分かりませんので、なるべく空の広い範囲を見渡すようにするといいです。また、目が屋外の暗さに慣れるまで、最低でも15分ほどは観察を続けると良いでしょう。レジャーシートを敷いて地面に寝転ぶなどすると、楽に観察できますが、大変寒い季節ですので、寒さ対策をしっかり行ってください。それから、事故に遭わないように、子どもだけでは見ないように、十分注意して観察をしてください。

156 理科自由研究発表会 at コミュタン福島 講評

12/5(土)コミュタン福島で行われた、理科自由研究発表会 at コミュタン福島 研究発表会 午後の部において、講評を述べる機会がありました。前半は、発表した子どもたちの発表内容について、一人ずつ感想を述べ、後半、全体的に以下のような話をしました。

「さて、突然ですが、問題です。我が福島県の偉大な医学博士と言えば、誰でしょうか?
 きっとみなさん、野口英世博士の名前をあげるでしょう。世界的にも有名です。野口博士は、一度、帰国したことがあります。その時、母校の猪苗代の翁島小学校で講演をしました。その講演の中で、野口博士が板書した事が3つあります。それは、『目的・正直・忍耐』です。この言葉は、今回、発表されたみなさんの研究に取り組む姿勢と共通するかもしれません。目的を持って、研究結果に正直に向き合い、そして、最後まで忍耐強く取り組む。
 それでは、もう一問。同じく福島県の偉大な病理学者で、癌研究の先駆者と言ったら、誰でしょうか?
 実は、私は、この春、石川地区内の小学校に赴任するまで、恥ずかしながら、この人物のことを知りませんでした。
 それは、吉田富三博士です。
 吉田富三博士は、石川地区の浅川町出身です。吉田富三博士が発見した「吉田肉腫」は、移植可能ながん細胞で、今でも、がんの研究に使われています。この「吉田肉腫」は、今年、国立科学博物館の未来技術遺産に登録されました。
 吉田富三博士は、1959年に文化勲章を受章しています。これまで福島県出身者で、文化勲章を受章している人は、5名しかいません。その一人が、吉田富三博士です。

 今回、なぜ、吉田富三博士の話をしたかというと、今日、発表されたみなさんも、私と同じようなことをしたのではないかと思ったからです。

 私が、吉田富三博士の存在を知った時、もっと詳しく知りたいと思いました。そこで、吉田博士について、ネットで調べました。それから、吉田富三記念館に出かけて、そこに展示してある物を見ました。さらに、博士について書いてある本を何冊か読んだりもしました。

 みなさんも、それぞれの研究テーマについて、きっかけは、何でかな?どうしてだろう?こうしたらどうなるかな?という疑問だったと思います。そして、そのことについて、もっと詳しく調べてみたいと思ったと思います。ネットで調べたり、図書館で資料を見たりした人もいると思います。実際に、現場に行って、観察した人もいると思います。自分で、一つ一つ実験をして確かめた人もいるでしょう。

 みなさん、そうやって、最初の疑問を解決するために、いろいろアプローチして、できる限りのことを行い、それらをまとめた結果が、本日の研究発表だったのだと思います。その、できる限りのことを、最後まであきらめずに、根気強く、こつこつと取り組む姿勢こそが、評価されるのです。

 「むのたけじ」というジャーナリストがいました。ジャーナリストは、新聞などの報道機関に記事を提供する人です。このむのたけじさんが、「詞集たいまつ」の中で、次のような言葉を残しています。
「学ぶことをやめれば、人間であることをやめる。生きることは学ぶこと、学ぶことは育つことである。」
 私たち人間は、生まれながらに、学ぶ生き物なのです。知らないことを知りたい、もっと深く学びたい、そういう欲求をもった生き物なのです。その欲求こそが、生きるエネルギーなのではないでしょうか。
 簡単に知れること、すぐ分かること、それにはあまり価値がないのかもしれません。それより、よく考えたり、いろいろ調べたり、根気強く取り組んだりして、やっと分かったこと、知ったことにこそ、価値があるのかもしれません。

 そういう意味で、今日、みなさんが発表した内容の価値は、きっと取り組んだ皆さん自身が、一番感じているのかもしれませんね。

 みなさん、これからも、科学事象に疑問を持ち続けてください。そして、その疑問を解決すべく、柔軟な発想で、自分の素直な気持ちに寄り添い、これからも、自分らしい研究に取り組んでほしいと思います。

 今日は、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。」

155 朝のリズムが鍵です!

 第2回「朝食について見直そう週間運動」アンケート結果は次のとおりでした。

 朝食摂取者(最終日)     99.0%
 朝食に野菜を食べた児童     65.7%
 朝食に汁物をとった児童    72.5%
 昼食以外に誰かと食事した回数
      2回(朝、夕)   97.1%
      1回(朝夕どちらか) 2.9%
      0回         0.0%

 ほぼ全員の児童が、朝食をとり、それも家族の誰かと取っていることが分かりました。アンケートへの御協力、ありがとうございました。

 ちょうど、この時期、学年ごとに食育の授業を行っています。1年生から4年生までは、本校養護教諭が教室に入り、担任の先生と指導しました。5年生と6年生は、本日、石川小学校の栄養教諭の先生に御指導いただきました。

 先日は、2年生が「早ね 早おき 朝ごはん」のテーマで学習しました。その中で、元気に過ごすためには、早寝・早起き・朝ご飯を中心とした生活リズムを整えることが大切だということが分かり、健康な生活を実践することができることがねらいになっていました。

 授業では、まず、アンケートにより、自分たちの生活のしかたを振り返りました。そこでは、規則正しい生活リズムがとれている児童がいる一方、寝る時刻が遅くなってしまったり、朝ご飯が食欲がなく食べられなかったりしている児童がいました。その後、紙芝居で、生活リズムについて考えました。その紙芝居に登場する女の子は、寝るのが遅く、朝自分から起きられず、朝ご飯を食べず、学校では眠くて、運動もだるくてやらない生活をしていました。

 結果、体重も増え、ますます運動嫌いになっていました。この女の子の問題点と今後どうすればよいか、子どもたちが考えました。早く寝ればいい、朝ご飯を食べる、頑張って運動する等、自分たちの生活と照らし合わせながら、改善点を考えました。結果、紙芝居の女の子は、生活リズムがよくなって、中学校ではバレーボール部に入り、それから20年後、ママになってもママさんバレーを続けているというお話で、紙芝居は終わりました。

 この話し合いの中で、とても興味深いことがありました。朝ご飯とうんちの関係について説明があった時、ある子どもから「朝ご飯食べても、うんちをしたら出ちゃうんじゃないの」という疑問でした。なるほど、食べてもうんちで出ちゃったらだめじゃないか、という素朴な疑問でした。養護教諭の先生から、朝、うんちで出るのは、12~14時間前に食べたもので、朝ご飯で食べたものは、その日のエネルギーになることを説明してもらい、みんな納得した様子でした。

 先のアンケート結果から、野木沢小の子どもたちは、朝、しっかりと朝食が取れています。だから、学校に来たら、朝から外を走り回って、元気に遊べるのだと思いました。そして、授業でしっかり頭を使って、エネルギーを消費し、お腹が空いて、給食をもりもり食べ、また、午後、頑張って過ごす。そして、家に帰ったら、宿題をやって、午後9時から10時には就寝し、朝6時頃、お腹が空いて起きてきて、朝ご飯をしっかり食べる…というよい生活リズムが取れているのだと思いました。大事なのは、朝のリズムです!そこを整えることで、他の時間も整っていきます。今後も、よい生活リズムを続けていけるよう、引き続き、よろしくお願いします。

154 教育相談、ありがとうございました

 お忙しい中、御来校いただき、教育相談に御協力いただき、ありがとうございました。普段、なかなか保護者の皆様とお話しする機会が取れないので、とても貴重な時間となりました。その中で、お子様の成長に関して、学校からの情報と御家庭からの情報を共有できたことは、とても有意義でした。また、学校・家庭のそれぞれが、今後どのように携わっていくか、確認することもできたと思います。前にも述べましたように、家庭と学校は、子どもたちの健やかな成長という、共通の目的を持った同士・仲間ですので、そのために、情報を共有し、お互いの関わり方について確認し、しっかりとタッグを組んでいきたいと思っております。今回は、限られた時間の中での話し合いでしたので、もし、もっと御相談したい事がありましたら、気軽に学校まで御連絡いただきたいと思います。

153 吉田富三子ども科学賞授賞式

 浅川町の吉田富三記念館において、今年の子ども科学賞特別賞の授賞式が行われました。例年ですと、県の児童理科作品展の最優秀賞が子ども科学賞を受賞しているのですが、今年は、県の児童理科作品展が中止になったため、地区の推薦作品にのみ、特別賞が贈られました。以下、来賓として述べたあいさつです。

「今年度、石川地区小学校教育研究会理科研究部の部長をしております、野木沢小学校校長、佐藤です。一言、お祝いの言葉を述べさせていただきます。

 この度は、吉田富三子ども科学賞授賞式に際し、特別賞を受賞された皆さん、おめでとうございます。

 今年は、みなさん、ご存じのように、新型コロナウイルスの影響で、県の児童理科作品展は中止となり、それを受け、県内のほとんどの地区も、今年は理科作品展を行わないこととなりました。

 実は、以前にも、今年と同じような時がありました。平成23年、あの東日本大震災があった年です。あの時も、県や各地区の理科作品展が中止になりました。しかし、この石川地区は、震災のあった年も、理科作品展を開催していたのです。私は、驚きました。それは、地区の理科作品展の審査結果で推薦になった作品に、吉田富三子ども科学賞特別賞を授けていただいていたからでした。この吉田富三子ども科学賞が、どんな社会状況だろうと、子どもたちの科学を追究する姿を継続して応援してくれていたわけです。そういうことから、石川地区では、今年も、理科作品展を開催することになりました。

 審査が終わり、この吉田富三記念館をお借りして、一日だけ展示会を開催しました。180名もの方々にお出で頂き、みなさん、熱心に作品をご覧になりました。その様子を見て、今年、石川地区で理科作品展をやって良かったなあと、しみじみ思いました。

 今回、特別賞を受賞された皆さんの取り組みは、プレートになって、この記念館内に半永久的に掲示されます。みなさんが大人になった時、自分の子どもが、このプレートを見て、きっと驚くことでしょう。そして、みなさんを誇りに思うでしょう。そして、みなさんを手本にして、理科研究に興味をもつのではないかと想像します。そういう意味でも、これからも、吉田富三記念館が末永く、この石川地区の科学に興味を持つ子どもたちが育つ場所として、あり続けてほしいと願っています。そして、今後も、石川地区理科作品展を支えて頂ければ有り難いです。

 本日は、誠におめでとうございました。」

福島民報に掲載された写真

152 思うようにいかないことにも意味がある

 27日の全校集会で、次のような話をしました。

「おはようございます。今日のお話は、『人生は、思うようにいかないことが多い。』という話です。

 例えば、学校生活においても、そうだと思うんですが、運動するのが苦手な人にとっては、運動会やマラソン大会があることがそうかもしれませんし、国語や算数が苦手な人にとっては、学力テストがそうかもしれませんし、野菜が苦手な人にとっては、給食があること自体、そうかもしれません。また、これまで友達とうまくいかないことがあった人もいると思います。それから、ほしいものがあっても、なかなか買ってもらえなかったりもすると思います。

 人生は、そういう思うようにいかないことの連続なのだと思います。しかし、『それには意味がある。』んです。だから、思うようにいかないからといって、やらなくていいわけではない。逆に、そういうことも、我慢して、やらなければならないんです。なぜなら、思うようにいかないことが、自分にとって、どういう意味があるかは、やってみなければわからないからです。だから、『何にでもチャレンジ』なんです。とにかく、頑張ってやってみる。やる前から、逃げない。やる前から、文句を言わない。まずは、やってみる。やってみて、その後で、自分にとって、どんな意味があったのか、自分で確かめてほしいのです。

 あきらめたら、何も変わりません。縄跳びの二重跳びだって、練習を頑張って、でも、なかなかできなくて、それでも頑張って練習して、そうして、ある時、できるようになります。できないからやーめた、と言っていたら、一生できないまま。苦手な食べ物だってそう。友達関係だって同じ。言いたいことがあっても、言わなかったら、何も変わらない。

 しかし、がんばってチャレンジしたからといって、思うようにいくかというとそうではない。やはり、思うようにいかないことが続く。それでも、あきらめずに、やり続けること。そういうことを繰り返すことが、生きることです。そうやって、生きていると、ある時、思うようにいくことがあります。だから、うれしいんです。そういう時、生きるって、面白いなあと、思うんです。頑張ってくださいね。」

151 矢口高雄さんを偲んで

 みなさんは、「釣りキチ三平」という漫画をご存じでしょうか。三平少年が、日本や世界の様々な魚釣りに挑戦する釣り漫画です。以前紹介しましたが、釣り好きで漫画好きだった少年時代の私にとっては、バイブル的な存在でした。作品の中には「伝説の魚」「幻の怪魚」なども登場しますが、そのほとんどが実在する魚がモデルになっていたようです。例えば、「O池の滝太郎」というのがありました。これは、山形県鶴岡市の山奥にある大鳥池に生息しているといわれる巨大魚「タキタロウ」がモデルでした。実は、私の父親の故郷が鶴岡市でして、小学生の頃から大鳥池があることも、そこにタキタロウ伝説があることも知っていました。ですから、いつか行ってみたいと思っていたところ、大学時代、たまたま車で鶴岡に行く機会があり、念願の大鳥池に行ったことがあります。大鳥池は、車では行けない山奥にありまして、片道2時間以上歩いていったことを覚えています。苦労してたどり着いた大鳥池は、思ったより大きくて、いかにも巨大魚が潜んでいそうな雰囲気のところで、ここで三平少年が釣りをしたのだと想像しました。漫画では他にも、北海道釧路湿原の幻のイトウや、カナダのキングサーモンなど様々な魚釣りを取り上げていて、劇画タッチの漫画でしたので、描写がリアルで、まさに自分も体験したつもりになって、夢中で読みあさっていました。
 この漫画の作者、矢口高雄さんが先日、81歳で亡くなりました。矢口さんの故郷は、秋田県の横手市の山村で、冬はかなりの豪雪地帯でした。子どもの頃から漫画が好きで、手塚治虫さんの漫画をよく真似して描いていました。高校卒業後、地元の銀行に就職しますが、その頃から漫画を描き始め、30歳で漫画家としてデビュー。34歳の時に「釣りキチ三平」の連載がスタート。実はそのちょっと前に、「幻の怪蛇バチヘビ」という作品を描いています。ご存じの方はいるでしょうか。その昔、ツチノコという未確認生物がブームになりましたが、そのきっかけを作った漫画です。他にも、秋田の狩猟集団「マタギ」を題材にした作品や故郷秋田を題材にした「おらが村」などがあります。
 この「おらが村」の中で、秋田の田舎生活や子ども時代の思い出を描いているのですが、私が印象に残っているシーンがあります。一つは、豪雪地帯の秋田の山奥、冬、雪が降る様子を「上みれば虫ッコ… 中みれば綿ッコ… 下みれば雪ッコ…」と表現しているシーン。もう一つは、都会生活をしている人が田舎に帰ってきて、昔と変わらないその暮らしぶりに「いつまでも変わらないでほしい」と言うのに対して、その村で生活する人が言い返すシーンです。「このワラぶき屋根、いかにも田舎らしくて良いな…とか、この村はいつまでも変わらないで欲しいというのは勝手だが、しかし、そういう考え方は便利な都会で生活する者の、心のおごりではないか。ここで生活する人間の身になってみれば、アルミサッシの窓やステンレスの流し台、タイル張りの浴槽が良いに決まっているし、どんどん村は変わっていい。故郷はいつまでも同じでなくて、どんどん変わって欲しいと思うことはいけないのか。」子どもながら、深く考えさせられたことを思い出します。

150 郷土かるた

 群馬県に「上毛かるた」というものがあります。群馬県の郷土かるたで、作られたのは1947年。このかるたを使って、毎年2月に上毛かるた大会が全県的に行われているそうです。ですから、群馬県の小学生は、冬休みに練習するのが恒例で、その結果、ほぼ全員が上毛かるたの読み札を覚えているそうです。テレビでも、群馬県出身者と分かると、「い」「伊香保温泉 日本の名湯」等と上毛かるたを話題にしているので、後存知の方もいるのではないでしょうか。

 私は昔からこの「上毛かるた」文化をうらやましいと思っていました。かるたを通して、郷土を知り、郷土を愛する心が育つわけですから。そんなことを考えていたら、先日、学校の図書館で「いしかわまち 郷土かるた」なるものを見つけました。なんと我が石川町にも、郷土かるたがあったのですね。調べてみると、2008年に作られたようです。早速、どんな札があるのか、箱を開けてみました。その中で、野木沢に由来しているものは、次の札でした。

「あ」「悪戸古墳 時を越えて 石室の中に」
「そ」「その水は 式部ゆかりの 小和清水」
「の」「野木沢の 式部をしのぶ 光国寺」
「は」「禿山公園 真紅にそめる 山つつじ」
「へ」「ペグマタイト 結晶の大きさ 日本一」
「わ」「和久 沢井 曲木にもあるよ 板碑群」

 この中の禿山は、残念ながら、今は公園でなくなっています。時代と共に、変わってしまったものはしかたありません。それでも、この「いしかわまち 郷土かるた」には、石川町のよき郷土が札になっているわけですから、このかるたを通して、石川町のよさを知り、石川町への郷土愛が育まれることは期待できそうです。
 しかし、かるたという遊びは、絵札を囲むように見合って、読み札が読まれたら、お互いに手を伸ばして絵札を取り合う、接触や密になることは避けられない遊びです。今のコロナ禍では、ちょっと遊びづらいかもしれないなあ、とも思いました。