学校だより LIVE

1. 159 イメージする力

投稿日時: 2020/12/09 野木沢小-サイト管理者

 国際教育到達度評価学会が行っている、国際数学・理科教育動向調査の結果が新聞に載りました。世界の小4と中2を対象に実施した調査で、4年ごとに行われているようです。

 結果は、小中全てにおいて上位5位以内に入り、小4理科で平均得点が下がったものの、他は伸びているということでした。かつて、算数嫌い、理科離れが問題になったことがありましたが、かなり解消されているということだと思いました。ただ、今回の結果で気になったのは、算数・数学と理科の平均点の差です。算数が593点、数学が594点なのに比べ、理科は小学校で562点、中学校で570点と、教科の間でかなり差があることです。問題が載っていないので、一概には言えないのですが、算数・数学的な問題の正答率に比べ、理科的問題の正答率が低いのは何かあるのかと思いました。

 算数・数学と理科は、よく理数系と呼ばれることがあります。理数系と呼ばれると、どこか数字を扱って、理路整然とした考え方をするようなイメージにとらわれますが、決してそれだけではないと思っています。どちらかというと、算数・数学も理科も、すごく想像的で、文学的で、言葉を大切に扱っているように思います。例えば、算数の文章題の問題が苦手な子どもは、その問題の情景をイメージできていないことが原因だったりするからです。文章の内容を理解できるかどうか、大事なのは想像する力です。言葉の表現を具体的にイメージできるかどうかです。同じように、理科の実験でも、どういう条件をそろえて、何を変えて実験するかなどは、その実験自体をイメージできないと理解が深まりません。実験観察の結果を、どういう言葉で表現するかも大事です。物理学なども、自然界の現象から法則を見つけるわけですから、極めて想像的だと思うのです。単に数字を扱っているだけではないわけです。それより、いろいろな事象を言葉を駆使して説明する文章力も必要なわけです。この文章力や想像する力、イメージする力は、読書によって培われます。優れた科学者たちは、みな読書家であったりするのもうなずけます。

 先週、コミュタン福島で、理科自由研究発表会が行われ、県内の子どもたちの発表を見る機会がありました。見学して驚いたのは、小学生でも、いろいろなことに興味を持ち、楽しく研究に取り組んでいる子どもがいることでした。6年生で、蚕の遺伝子研究やバラの花の交配などに取り組んでいる子がいました。短時間では、どんな研究だったのか、大人でも理解が難しいような内容でしたが、本人たちは、とてもわくわくしながら、楽しく研究していることだけは、見ていて伝わりました。この楽しく学ぶという姿勢は、とても大事だと思いました。理科の実験・観察も、とても楽しいものです。その楽しさを味わいながら学ぶことが、結果的に理科に対する興味関心を高め、学習内容の定着を確かなものにしていくのだと思いました。