学校だより LIVE

1. 158 新型コロナウイルス感染症について

投稿日時: 2020/12/09 野木沢小-サイト管理者

 感染症専門医で国際感染症センターに勤務する忽那賢志(くつな さとし)先生が、「新型コロナの症状、経過、重症化のリスクと受診の目安」について、ホームページで記事を掲載されています。この記事をもとに、改めて、気をつけることを確認したいと思います。

新型コロナウイルス感染症の典型的な症状
 新型コロナの潜伏期間(感染する機会から何らかの症状を発症するまでの期間)には1~14日と幅がありますが、多くの人がおよそ4~5日で発症します。新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ています。風邪は、微熱を含む発熱、鼻水、鼻詰まり、ノドの痛み、咳などの症状がみられることが多く、またインフルエンザも風邪と似ていますが、風邪に比べると高熱が出ることが多く、頭痛や全身の関節痛・筋肉痛を伴うことがあります。風邪はインフルエンザに比べるとゆっくりと発症し、微熱、鼻水、ノドの痛み、咳などが数日続き、インフルエンザは比較的急に発症し、高熱と咳、ノドの痛み、鼻水、頭痛、関節痛などが3~5日続きます。しかし、風邪やインフルエンザが新型コロナのように1週間以上続くことは比較的稀です(ただし咳や痰の症状だけが2週間程度残ることはよくあります)。 また、新型コロナでは典型的には、発熱・咳・だるさ・食欲低下・息切れ・痰・筋肉痛・嗅覚障害・味覚障害などの症状の頻度が高いとされます。特に「息切れ」「嗅覚障害・味覚障害」の症状は、風邪やインフルエンザでは稀な症状ですので、新型コロナの可能性を疑うきっかけになります。

新型コロナウイルス感染症の典型的な経過
 新型コロナに特徴的なのは、症状の続く期間の長さです。前述のように新型コロナウイルス感染症は風邪やインフルエンザによく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があります。特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かっています。流行早期の中国での4万人の感染者のデータによると、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約8割の方はそのまま治癒しますが、約2割弱と考えられる重症化する人はそこから徐々に肺炎の症状が悪化して入院に至ります。2割のうち全体の約5%の症例で集中治療が必要になり、約2%の事例で致命的になりうるとされています。

新型コロナが重症化しやすい人は?
 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人の割合や死亡する人の割合は年齢によって異なり、高齢者は高く、若者は低い傾向にあります。重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、6月以降に診断された人の中では、重症化する人の割合は 約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)、死亡する人の割合は 約1.0%(50歳代以下で0.06%、60歳代以上で5.7%)となっています(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)。これは、1月~4月の頃に比べて、軽症や無症状の人にも検査が行われるようになり感染者全体の重症度が下がったこと、そしてデキサメタゾンなどの治療薬による効果が現れていること、などが要因と考えられます。新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある方です。30代くらいまでは亡くなる人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では23%という非常に高い致死率となっています。日本国内のデータからも年齢が上がれば上がるほど致死率が高くなることが改めて数字として示されています。

病院を受診する前に
 自身が新型コロナかなと思ったら、まずはかかりつけ医か地域の医療機関に相談しましょう。

福島県では、かかりつけ医など相談する医療機関に迷う場合や、土日・夜
間などかかりつけ医が休診のときには
  福島県受診・相談センターへ(0120-567-747)24時間OK

 医療機関に受診が必要と判断されたら、マスクを着けて、なるべく公共の交通機関を使わずに病院を受診するようにしましょう。新型コロナは時期や地域によって流行状況が大きく異なります。つまり、発熱や咳のような症状が出現したとしても新型コロナである可能性は、住んでいる地域によって変わってきます。各地域における流行状況は、新規発生患者数・新規発生患者数のうち接触歴不明の患者の割合・PCR検査陽性率を参考にしましょう。新規症例報告数がほとんどなく、検査陽性率も低い地域にお住まいの方は、風邪症状が出たとしても、海外渡航歴や接触歴がなければ新型コロナの可能性は高くないでしょう。時期や地域によって、自身が新型コロナに罹る可能性も変わってきますので、お住まいの地域の流行状況をしっかりと把握しておくことが大事です。風邪やインフルエンザのような症状が出現した場合は、個々人が自身の感染リスクと重症化する可能性を考慮した上で、病院を受診するかどうか判断し、迷う場合にはかかりつけ医や前述の相談センターに電話で相談しましょう。また、病院を受診しない場合も、手洗いや咳エチケットなどの予防対策は必要ですし、周囲の人(特に高齢者や持病のある人)にはうつさないような配慮が必要です。新型コロナを広げないためには、手洗い、屋内でのマスク着用、3密回避など新型コロナに注意した生活を続けることが重要です。