学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

31 アムンゼン隊に学ぶ(その1)

 5/26日付福島民友に、興味深い記事が載っていました。それは、今からおよそ100年前の20世紀初めの南極点到達を目指した争いについてです。当時、まだ、人類は誰も南極点に到達していませんでした。ですから、誰が初めに到達するか、世界は注目していました。その中で、ノルウェーのアムンゼン隊とスコット隊が競っていました。そして、1911年12月14日、南極点に一番乗りをしたのはアムンゼン隊でした。アムンゼン隊に遅れること34日後の、1912年1月17日にスコット隊は到達しました。問題はここからです。一番乗りしたアムンゼン隊は、その後無事帰国を果たしましたが、スコット隊は、その帰途全員死亡したのでした。

 どうして、そのような対照的な結果になったのか。両隊を比べて一番の違いは、組織の在り方でした。アムンゼン隊は、各隊員が自ら考え行動する参画精神と、チームで問題解決に当たる事を重視していました。一方、スコット隊では、隊員は隊長の命令に従順に、そして忠実に行動することが求められました。
 その結果、アムンゼン隊は、極限の地で起こる予期せぬ事態を想定して事前の訓練も万全、本番での対応もチームワークが発揮されました。これに対して、指示待ちのスコット隊員にはチームワークも創意工夫も期待できず、最終的に雪上車の修理ができず、人間がそりを引く過酷な作業を強いられ、さらに事前のチェック不足が燃料の欠乏を招き、凍傷の体を温める事ができず、肉体的な打撃を受け、結果、隊員は一人、二人と死に、最後は全員死亡という悲劇になったのでした。

 この記事を読んだ時、我が野木沢小の先生方は、アムンゼン隊だと思いました。4月からスタートした学校生活の中で、取り巻く環境が次々と変化し、その状況に対応する日々が続いています。その中で、先生方一人一人が、自分のやるべき事、そして、お互いに協力して取り組むべき事を判断し、仕事に当たってきました。指示待ちの人はいません。逆に、自分に今、何ができるか考えて、行動しています。その一例が、あの「野小っ子チャンネル」作成です。これまでやったことのない、新たな取り組みに対して、前向きにそして創造的にチャレンジする力が、野木沢小の先生方にはあります。とても、素晴らしいことです。新型コロナウイルスによる影響は、これからも続きます。しかし、その中で、今、できることを全職員で探りながら、少しでも子どもたちの学校生活が充実するよう、進んでいきたいと思います。(次回に続く)

32 アムンゼン隊に学ぶ(続き)

 そして、学校でも、子どもたちをアムンゼン隊のように育てていきたいと思います。子どもたちに身につけさせたい力は、「生きる力」。問題に直面した時に、自分で判断し、決断し、行動できる力。一人でできない事は、他の人に助けてもらいながら、どんな人とも協力して活動できる力。そういう力を身につけさせるために、日々の学習があり、学校生活があります。そのためには、自分で考えさせるという機会が必要です。一から十まで、全て先生が指示し、言われた事しかしないようでは無理です。どうしたらよいか、どうしたいか、自分で考えて行動する。考えて行動すれば、例えそれがうまくいかなくても、そこから大事な事を学べます。そして、それは次に生かせます。しかし、自分で考えないで、言われたからやったことは、うまくいかないと、失敗したという事実しか残らず、結果、そこから学ぶ事はできません。
 
 大事なのは、うまくできたか、できなかったかではないのです。自分で考えてやったか、どうかです。子どもの成長に、焦る必要はありません。まずは、私たち大人がどんと構えて、子ども自身に自分で考えて、思うようにやらせてみることです。是非、御家庭でも、子ども自身に考えさせてやらせてみる機会をとってみてほしいと思います。

33 「ウイルスの次にやってくるもの」

 これは、日本赤十字社が作成したオリジナルアニメーションのタイトルです。3分ほどのそのアニメーションでは、新型コロナウイルス感染の次に、我々に襲いかかってくる“そいつ”について紹介しています。さて、“そいつ”とは何者だと思いますか。

 そいつは、暗いニュースや間違った情報が大好きで、それらをたくさん食べて、どんどん育ち、そして、私たちにこうささやきます。
 先の見えない状況を「もうみんな助からない」と。
 誰にもまだ分からないことを「誰かが隠しているのだ」と。
そいつは、人から人へ広まっていきます。
 「あの人が病気になったのは、誰のせい?」
  「ウイルスが広まったのは、あいつのせいだ!」
 「世界がこうなったのは、あいつのせいだ!」
そいつは、まわりに攻撃を始めます。そして、そいつは脅かします。
 「もしも感染したら、どうする?」
 「あんなふうに言われたら、どうする?」
みんな、熱があっても、隠すようになる。具合が悪くても、元気なふりをするようになる。もう誰が感染しているか分からない。ウイルスはどんどん広がっていく。鏡を見ると、そこに、もう、あなたは、いない…。

 そいつの名前は、…「恐怖」。ウイルスの次にやってくるもの。もしかしたら、ウイルスよりも恐ろしいもの。

 アニメーションでは、この後、「私たちが恐怖に飲み込まれる前にできること」について、紹介しています。実際、コロナウイルスに感染した人やその家族に対して、差別や偏見があることが報道されています。人がそういう行動を取るのは、「恐怖」の心だからです。人間の持つ防衛本能がそうさせているのです。私たちが本来持っている防衛本能が、無意識に自分にとって害のあるもの、危険なもの、命の危機を招くものを排除しようとするのです。しかし、過剰な反応は時に、人権問題にまで関わります。

 緊急事態宣言が解除になり、少しずつ前のような生活に戻ろうとしています。しかし、新型コロナウイルスの感染リスクがなくなったわけではありません。また、いつ、感染者が急増して、再び、緊急事態宣言が出されるなんてこともあり得ます。そうなった時、私たちは、恐怖に対して、きちんと対応できる事が求められます。

 このアニメーションは、最後にこう言ってます。
「恐怖は誰の心の中にもいる。だから、励まし合おう。応援し合おう。人は、団結すれば、恐怖よりも強く、賢い。恐怖に振り回されずに、正しく知り、正しく恐れて、今日、わたしたちにできることを、それぞれの場所で」

35 あいさつに想う

 野木沢小学校の校舎は3階建てで、1年から3年の教室が2階、4年以上が3階にあります。朝、登校してきた子どもたちは、昇降口横の階段は上がらずに、そのまま一階の廊下をまっすぐ進み、校長室と職員室の前を通り、その時、中にいる先生方に向かって、「おはようございます。」とあいさつしてから、東側の階段を上がって教室に行きます。帰りは逆のルートで、やはり同じように職員室と校長室、保健室の先生方に「さようなら。」とあいさつをして昇降口へ向かいます。

 校長室にいると、全校生のあいさつを受ける形になっています。まだ、そんなにお互いの事をわかっていない関係ですが、子どもたちは、そんな私にも毎日あいさつをしてくれます。律儀で健気な子どもたちだなあと、愛おしく思えます。そして、校長室で子どもたちにあいさつを返したり、その様子を見ていたりしていると、なかなかいいあいさつをしている子どもたちに気付きます。廊下を歩きながら、あいさつをしていく子どもたちの中には、校長室の扉の前で立ち止まって、あいさつをしていく子どもがいます。あいさつせずに通り過ぎたと思ったら、思い出したように戻ってきて、顔を出してあいさつしていく子どももいます。あいさつは一人一人違っていて様々です。ちがってていいんです。あいさつはこうでなければならない、なんてありません。あいさつにもその子らしさが出るのだと思います。

 朝、「おはようございます。」とあいさつする子どもをみていると、あいさつと一緒に(今日も元気に学校に来ました!)と報告してくれているように感じます。また、帰りに「さようならー。」とあいさつする子どもは、(今日一日、頑張りましたー)と言っているように感じます。

34 漢字の書き順、大丈夫ですか?

 最近、テレビ番組にクイズ番組が多いように感じます。それも、小学校で習う内容を扱っているものをかなり見かけます。大人が小学校で習った内容の問題を解く。できて当然かと思うと、意外とそうでないんですね。その辺りが、番組制作側のねらいでもあるのでしょう。忘れてしまっていたり、間違えて覚えていたり…。実は、見ていると、自分でも「あれっ、なんだっけ?」という問題があります。特に、漢字の書き順を問う問題。自分ではこうだろうと思っていた書き順が、実は違っていた!ということがあるのです。やはり、最初にどう覚えたかということです。

 これに関して、私には忘れられない思い出があります。それは、高校1年生、現代文の授業中の出来事です。ノートを書いている私に、机間指導で回ってきた先生が声をかけてきました。「おい、佐藤。今の字、もう1回書いてみろ。」そう言われた私は、指摘された漢字をもう一度ノートに書きました。すると、それを見た先生が一言、「佐藤、その字の書き順、違ってるぞ。」と言ったのです。「えっ?」私が驚いていると、先生は、正しい書き順を教えてくれました。それを見て、私は「えっ、そうなんですか。」と二度驚いたのでした。さて、私が書き順を間違えて覚えていた漢字は何だと思いますか。

 それは、「必」です。私はそれまでこの字を、心を書いて、最後に左払いを書いていたのです。しかし、正しくは、真ん中の点から書き始めます。次に左払い。次に右の曲げからの跳ね、そして左の点、右の点の順です。この字は小学4年で習う字ですから、9歳から16歳までの7年間、ずっと間違えた書き順で書いていた事になります。そして、実際に書いて比べてみると分かるのですが、書き順が変わると、字形も異なります。そこが正しい書き順で書くポイントなんです。つまり、正しい書き順で書く事は、正しい字形で書く事につながっているのです。だから、勝手に自分の書きやすい書き順で書いてはいけないのです。

 最後に、間違いやすい書き順の漢字をいくつか紹介します。みなさんは、正しく書けますか?
1年 右 左 土 九 年
2年 米 母 何 馬 長
3年 区 式 乗 様 世 皮 発
4年 希 成 臣 兆 飛 必
5年 非 版 比 布 武
6年 我 革 劇 座 冊 衆 垂 収

書き順の答えはこちらです。→書き順(答え).pdf