学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

116 運動会の話「びりのきもち」

 運動会の種目に、徒競走があります。1・2年生が50m、3・4年生が100m、そして、5・6年生が150mを走ります。これは、競争ですから、当然、1位から最後まで順位が付きます。以前、都心部の学校で、子どもに順位をつけない運動会が話題になったことがありました。足の遅い子どもがかわいそうだ、ということから、そのような発想になったようです。

 しかし、私は、運動会で徒競走をしたら、順位がつくのは当然で、むしろ、はっきりと順位を付けた方がいいと思っています。子どもたちの中には、走るのが得意な子どもがいます。そういう子にとって、自分のよさを発揮できる場が徒競走なのです。一方、走るのが苦手な子どももいます。では、走るのが苦手な子どもにとって、徒競走はかわいそうな場なのでしょうか。

 私は、その徒競走にどういう気持ちで取り組むかが大事だと思います。誰にでも、得意なことや苦手なことがあります。走るのが苦手な子でも、(自分は走るのは苦手だが、最後まで頑張って走ろう)という気持ちで臨むことが大事だと思います。苦手だから逃げるのでなく、ちゃんと向き合って、チャレンジすることに意味があるのだと思います。ですから、走るのが苦手な子どもに、「頑張って入賞しなさい」ということを求めたら、それは酷です。結果ではないのですから。また、本人自身が入賞目指して頑張って、結果、入賞できなくて悔しい思いをしたとしたら、それはそれで価値があります。悔しさは本気で取り組んだからこそ、感じるのです。一番いけないのは、中途半端な気持ちでやることです。そして、子どもたちにとっては、これからの人生において、徒競走以上の競争が待っています。つらくても逃げられないという状況が、たくさんあるのです。そういう時に、挫折しても、あきらめず、また立ち上がる力を、子どもたちには持ってほしいと思います。たかが徒競走、されど徒競走です。

 最後に、詩人の阪田寛夫(さかた・ひろお)さんの「びりのきもち」という詩を紹介します。

 びりのきもち    坂田寛夫

 びりのきもちが わかるかな / みんなのせなかや 足のうら
 じぶんの鼻が みえだすと / びりのつらさが ビリビリビリ

 だからきらいだ うんどうかい / まけるのいやだよ くやしいよ
 おもたい足を 追いぬいて / びりのつらさが ビリビリビリ

 例えビリでも、いろんな気持ちを胸に抱えながらも、最後まで頑張る子どもたちに、どうぞ御声援をよろしくお願いします。

117 運動会の話「紅白の戦い」

 日本における「紅白」のルーツは源平合戦とされています。平安時代末期から鎌倉時代初頭にかけての源氏と平氏の戦いです。その時に、源氏が白旗を、平氏が紅旗を掲げて戦いました。平氏の旗のデザインは、紅地の布に金の丸をかいた物を使用しました。これは、天皇の軍隊を意味する「錦の御旗」を見立てたものになっていました。一方、源氏の旗のデザインは、白地の布に赤い丸をかいた物でした。白地に赤丸…どこかで見たことがありませんか?そうです、今の日本の国旗が白地に赤丸。どうやら、源平合戦で負けた平氏は滅亡したので、勝った源氏の旗が、その後、受け継がれていって、現在の日の丸に繋がっているようです。

 野木沢小の紅白の戦いは、昨年度、そのまた一昨年度と、ここ2年間、紅白引き分けになっているようです。偶然にもそういうことが起こるのですね。ちなみに、勝敗は得点で決まります。
 個人種目は、発走の組ごとに2人以上入賞すれば勝ちで、その総数で学年の得点になります。例えば、ある学年の徒競走で5組走ったとします。その入賞結果が、1組目(紅・白・白) 2組目(白・紅・紅) 3組目(紅・白・紅)4組目(白・紅・白) 5組目(紅・紅・白)だったとします。この結果、勝った組の数は紅3、白2と同じなので、紅の勝ちで20点、負けた白に10点が入ります。引き分けだったら、両方に15点入るというわけです。個人種目で得点が入る回数は、各学年の徒競走とチャンス走の計12個あります。
 団体種目でも、結果により個人と同じ点数が入ります。しかし、リレーだけは、勝ち30点、負け15点、引き分け20点が入ります。団体種目は、リレー(男・女)の他に、低・中・高で1種目ずつ、応援合戦、綱引き(今年は3回)の合計で9個あります。例年より得点が入る回数が多い分、点数も大きく動きそうです。

 さあ、今年こそ、2年越しの紅白対決に決着がつくでしょうか?乞うご期待です。

118 運動会の話「チャンス走」

 どの学校でも運動会の個人種目は、徒競走とチャンス走があるようです。本校もあります。徒競走は、前号でも書きましたが、単純に走力の強い子が勝つというものです。しかし、それでは、走力の弱い子が入賞するのは、なかなか難しいです。そこで、走力に関係なく、誰もが入賞する可能性があるのがチャンス走です。
 ですから、チャンス走では、どんなチャンスがあるかがポイントです。今年の1・2年生のチャンス走は「何がでるかな?」。スタートしたら、紅白玉の入った箱の中から、自分で二つ選んで中央の線に並びます。全員が並んだところで、私(校長)が旗を2本揚げます。その旗の色と同じ組合せの玉を持っていたら、そのままゴールに進みます。違っていたら、戻って同じ玉を取り直してゴールします。この競技のチャンスポイントは、何色の玉を取るかです。組合せは、①紅玉・白玉 ②紅玉・紅玉 ③白玉・白玉の3通りです。当然、私は子どもたちの方を見ないで、旗を揚げますので、私が選びそうな組合せを推理して当てられたらラッキーです。しかし、私もいろいろ考えますので、出ていない組合せをそのまま選んだりはしないかもしれません。もしかしたら、全部同じ組合せなんてことも…わかりません。
 3・4年生のチャンス走は「2020年 流行語大賞?」です。スタートしたら、カードを取って、そこに書かれている4つのコーナーに進んで、そこでそれぞれ決められた内容のお題をクリアしてゴールします。お題には、今年を象徴するものが書かれていて、例えば「野木沢直木」「季節の刃」等です。お題をクリアするのはどれも変わらないとすれば、やはり、一番のチャンスは「ラッキー」カードをひくことでしょうか。それでも、「ラッキー」カードは何もしないでゴールなので、もしかしたら、自分がやってみたいお題のカードを引くことが、一番のラッキーかもしれません。
 最後に5・6年生のチャンス走は「どうぞ ごいっしょに!」。恒例の借り物競走です。このレースではカードを2回引きます。ですから、「誰と一緒のカード」を引くか、そして、2回目の「何のお題のカード」を引くかが、チャンスのポイントになります。ラッキーカードは「幸福の輪」で、リングバトンを二人で持ってゴールです。6年生にとっては、小学校最後のチャンス走ですから、もし、これまで入賞経験が一度もないお子さんにとっては、それこそ本当に最後の入賞チャンスとなるわけです。いずれにせよ、最後は運かもしれません。自分の強運を信じて、頑張ってほしいです。

119 運動会の話「団体種目」

 本校運動会の団体種目は、1・2年生、3・4年生、5・6年生、男女リレー、全校種目、応援合戦、そして鼓笛です。

 1・2年生の種目は、「ダンシング紅白玉入れ」。玉入れとダンスが合体した画期的な種目です。玉入れして、踊って、また玉入れして、踊って…を何回も繰り返します。ある意味、最後は体力がある方が勝ちです。

 3・4年生の種目は、「野小タイフーン」。例年ですと、4人程でもつタイフーンの棒ですが、今年は二人で持ちます。人数が少ない分、どうすばやく動けるか、回転する時の外側の子がどう速く回転するかが鍵になります。

 5・6年生の種目は、「キャッチ・ザ・ドリームボール」。新種目です。校庭の真ん中にシーソーの台が置かれています。二人組でボールを運び、一人がそのボールをシーソーの台にセットし、台の反対側を踏んでボールを発射させます。空中に上がったボールを、もう一人が背負い駕籠でキャッチできればOK。ワンバウンドでのキャッチもOK。しかし、うまくキャッチできなければ、もう一度トライ。今度は、駕籠を前に持ち直します。うまくキャッチできるまでチャレンジします。うまく一回目でキャッチできるかが鍵です。

 全校種目は、「Hippappe!(ひっぱっぺ)」です。昨年度までのパワーアップ方式でなく、今年は、低中高それぞれのガチンコ綱引き。綱を持つ位置は、間を空けて持ちます。2回ずつ計6回の勝負です。低中高それぞれ判定し、その後、全体で総合判定します。応援合戦は、開会式後の最初の種目。団長の音頭で、力強く応援します。紅白リレーでは、各学年代表のリレー選手によるかっこいい走りが見られると思います。そして、鼓笛は、4年生から6年生が行います。曲を演奏しながらの隊形移動も見物です。

 団体種目では、紅白それぞれのチームワークのよさや、最後まで仲間を応援する姿など、ご覧いただけると思います。応援よろしくお願いします。

120 運動会の話「全体練習」

 これまで、3回の全体練習を行ってきました。予定では、8日(木)に最後の全体練習を行います。全体練習では、主に全体で確認したい動きを中心に練習してきました。毎時間、担当の先生から指導があり、確認してきました。
 運動会は、これまでの体育科の授業を中心に取り組んできたことを、発表する場であるとも考えられます。子どもたちは教わったことを教わったようにしかできません。ですから、全体で確認して、全体でできるようにするというのが、この全体練習の大きな目的です。逆を言うと、指導しなければならないことは、この全体練習の場で確認したいわけです。そこで、私からも、「開会式と閉会式の姿勢」について指導しました。

 開会式と閉会式の姿勢は2種類しかありません。「休め」と「気をつけ」です。この二つは基本の動きですが、子どもたちは、意外と出来ていません。「休め」は肩幅に足を開いて、後ろで腕を組みます。これは出来ています。問題は、「気をつけ」の姿勢です。
 足を閉じる。この時、かかとは付けて、つま先を少し開くと、長時間経っていても、ふらふらしません。次に、背筋を伸ばします。頭の先から背中の骨を、上から糸でつられているように、まっすぐに伸ばします。そして、両手は体の脇に付ける。その時、指は開かず、まっすぐに伸ばします。その姿勢で、ふらふらせずに動きを止める。これが「気をつけ」の姿勢です。
 指導されると、子どもたちは、実にきれいに「気をつけ」の姿勢がとれています。素晴らしいです。問題は、その姿勢を、とり続けることが難しい点です。だんだん指先が曲り、体の脇に付けていた両腕が、いつの間にか体の前や後ろで組んでしまいます。両方つけていた足も、少しずつ開いてきます。なぜ、そうなるのでしょうか。それは、正しい「気をつけ」の姿勢をとり続けることが、疲れるからです。足を開いたり、腕を組んだりする姿勢は楽なのです。だから、体が自然と楽な姿勢になってしまうのです。
 それでも中には、ずっと、きれいな「気をつけ」の姿勢をとり続ける子どもはいます。私は、感心します。心と体は表裏一体ですから、そのきれいな「気をつけ」の姿勢から、その子のまっすぐな気持ちを感じます。力を込めて伸ばした指先から、つらくても耐える強い心を感じます。そして、正しいことを貫こうとするひたむきな心を感じます。そういう姿は、きっと誰が見ても美しいのだと思います。
 是非、当日の開会式や閉会式では、自分のお子さんの姿勢にも注目してみて下さい。そして、頑張って気をつけの姿勢をとり続けていたら、そのことはうんと褒めてほしいと思います。