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1. 116 運動会の話「びりのきもち」

投稿日時: 2020/10/05 野木沢小-サイト管理者

 運動会の種目に、徒競走があります。1・2年生が50m、3・4年生が100m、そして、5・6年生が150mを走ります。これは、競争ですから、当然、1位から最後まで順位が付きます。以前、都心部の学校で、子どもに順位をつけない運動会が話題になったことがありました。足の遅い子どもがかわいそうだ、ということから、そのような発想になったようです。

 しかし、私は、運動会で徒競走をしたら、順位がつくのは当然で、むしろ、はっきりと順位を付けた方がいいと思っています。子どもたちの中には、走るのが得意な子どもがいます。そういう子にとって、自分のよさを発揮できる場が徒競走なのです。一方、走るのが苦手な子どももいます。では、走るのが苦手な子どもにとって、徒競走はかわいそうな場なのでしょうか。

 私は、その徒競走にどういう気持ちで取り組むかが大事だと思います。誰にでも、得意なことや苦手なことがあります。走るのが苦手な子でも、(自分は走るのは苦手だが、最後まで頑張って走ろう)という気持ちで臨むことが大事だと思います。苦手だから逃げるのでなく、ちゃんと向き合って、チャレンジすることに意味があるのだと思います。ですから、走るのが苦手な子どもに、「頑張って入賞しなさい」ということを求めたら、それは酷です。結果ではないのですから。また、本人自身が入賞目指して頑張って、結果、入賞できなくて悔しい思いをしたとしたら、それはそれで価値があります。悔しさは本気で取り組んだからこそ、感じるのです。一番いけないのは、中途半端な気持ちでやることです。そして、子どもたちにとっては、これからの人生において、徒競走以上の競争が待っています。つらくても逃げられないという状況が、たくさんあるのです。そういう時に、挫折しても、あきらめず、また立ち上がる力を、子どもたちには持ってほしいと思います。たかが徒競走、されど徒競走です。

 最後に、詩人の阪田寛夫(さかた・ひろお)さんの「びりのきもち」という詩を紹介します。

 びりのきもち    坂田寛夫

 びりのきもちが わかるかな / みんなのせなかや 足のうら
 じぶんの鼻が みえだすと / びりのつらさが ビリビリビリ

 だからきらいだ うんどうかい / まけるのいやだよ くやしいよ
 おもたい足を 追いぬいて / びりのつらさが ビリビリビリ

 例えビリでも、いろんな気持ちを胸に抱えながらも、最後まで頑張る子どもたちに、どうぞ御声援をよろしくお願いします。