学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

96 和久観音山鉱山跡で採石活動

 クラブ活動で、自然・アートクラブの子どもたちが、和久観音山鉱山跡を訪れました。私も行ってみたいと思っていたところだったので、同行させてもらいました。現地では、保存会の方々に案内してもらって、まず、坑道の中を見学させてもらいました。中は、ゆるやかな下り坂で、20m程進めました。中の気温は、ちょっと進んだだけで、すごくヒンヤリとしていました。両側の壁には、手彫りで掘り進んだ跡が見られました。坑道はその先、下に進んでいるようでしたが、そちらは、雨水がたまっていて進めませんでした。そこで、保存会の方から、壁に見られる鉱石の説明を聞きました。次に、外に戻って、近くの露天掘りの場所で鉱石の採集を行いました。子どもたちは、疑問に思ったことを質問したり、見つけた鉱石を見てもらったりしました。私も、小さな長石を見つけました。残念ながら、石英は見つかるのですが、水晶は…見つけられませんでした。この鉱山跡には、10月に6年生が見学に行く予定です。

97 吉田富三博士の偉業

 国立科学博物館が、この度、重要科学技術史資料(未来技術遺産)に「吉田肉腫」を選んだというニュースが新聞に掲載されました。
 「吉田肉腫」とは、1943年に吉田富三博士が作り出した、移植可能ながん細胞のことです。この発見は、その後、国内初の抗がん薬創製に使用されるなど、がんに対する化学療法発展に大きな影響を与えました。また、がんを細胞レベルで研究することが可能なため、現在も各研究機関で活用されているそうです。
 吉田富三博士は、浅川町出身。同じ石川地区出身の素晴らしい偉人です。とても喜ばしい限りです。

 前回、お知らせしましたが、13日(日)吉田富三記念館で、石川地区児童理科作品展が開催されます。各学年の推薦、特選、準特選の作品が展示されています。今年は、巡回展は行われないため、他の学校の作品を見る機会は、この日しかありません。是非、お時間がありましたら、お出で下さい。

98 陸上大会まで、あと1週間

陸上競技の練習は、つらく、苦しい。
みんな、それを分かって、取り組んでいると思う。
前に話したが、つらく、苦しい分だけ、自分の力になっている。
それは、間違いない。
だから、つらく、苦しい練習も、
自分の力がついていると信じて、頑張ってほしい。

陸上競技は、孤独との闘いでもある。
競技中は、みな、たった独り、孤独だ。
競技中は、独りぼっちで、闘わなければならない。
だれも、助けてはくれない。
だから、応援の声が力になる。
独りぼっちで闘う不安な気持ちも、みんなの励ましの声で支えられる。
自分を応援してくれる仲間の存在が、くじけそうになる気持ちを支えてくれる。
仲間が応援してくれるから、もう少し頑張ろうという気持ちになる。
例え、自分の競技が終わっても、独りで頑張る仲間がいたら、みんなで全力で応援して支えてほしいと思う。

一つの競技も、長くて5分。短ければ十数秒で終わる。
たったそれだけのために、何十時間もかけて、練習している。
言い換えれば、何十時間もかけてきた練習の成果を
わずか数分、数十秒で出し切らなければならないということだ。
その時に必要なものが、「集中すること」だ。
世界中のアスリートが、自分の最高のパフォーマンスをするために必要なのは、
「コンセントレーション」「集中すること」だと言っている。
テレビでも、アスリートが試合前に、音楽を聴いたり、独り静かに過ごしている 姿を見たことがあるだろう。
あれは、本番に向け、自分の気持ちを一つに集中させているのだ。
落ち着きなく、べらべらとおしゃべりしているアスリートなど見たことがない。
大切なのは、集中すること。
それこそが、自己ベストを出すための、重要な条件だ。

本番前は、緊張すると思う。
一回こっきりの本番だから、それは当然である。
緊張感はある程度必要なので、緊張することは構わない。
しかし、緊張しすぎると、よくない。
緊張しすぎると、身体に余計な力を入り、結果、力みすぎて、自滅する。
緊張したら、大きく深呼吸し、ジャンプしたり、屈伸したりして、身体を動かし、
力まないように、身体をほぐせば良い。
そして、練習してきたように、本番にのぞめば良い。
「練習は本番のように、本番は練習のように」である。(次回へ)

99 陸上大会まで、あと1週間(続き)

だから、練習する時に、常に、本番を意識して取り組むことだ。
練習だから…という気を抜いた気持ちでは、正直やっても意味がない。
本番と同じような意識で、真剣に取り組む練習だから、意味がある。
例えば、幅跳び。
踏切のタイミングを練習の段階から、いつもベストな踏切で跳ぶ。
練習で、踏切が合ったり、合わなかったりでは、本番でも合わない。
それでは、本番でも全てファールで記録なしになってしまう。
10回跳んで、10回ともファールなしで跳べるレベルまで、練習で求める。
例えば、リレー。
バトンの受け渡しを、練習の段階から、ベストの受け渡しが出来るようにする。
練習で、うまくいったり、いかなかったりでは、本番でも危ない。
そのためには、常に、バトンの受け渡しは、渡す方も受ける方も、全力で走って行わなければ意味がない。
リレーの選手は、当日、予選があり、自分の種目があり、そして、その後、決勝がある。

スタミナがなければ勝負にならないのだ。
他の、100m、800m、1000m、ハードルでも同じである。
本番だけ出来れば良い、ではないのだ。
練習で出来ないことは、本番でも出来ない。
逆に、練習で出来ていれば、本番でも出来る。
練習の段階で、「よし、本番もいける」という手応えを持つくらいまでやる。

だから、練習から常に、本番をイメージして、本番と同じ気持ちで取り組む。
スタートする時は、自分の番を待つ時も、コールされた時のあいさつも、
スタート位置に着く時も、スタートしてゴールするまで、
全て、これが本番、という気持ちで、本番をイメージして取り組む。
当然、本気・全力100%。
そうでないと、自分はどれだけやれるのか、どこが問題なのか、
どこを直したら良いのか、そういうことが分からないから、
意味ある練習にならない。

どうせやるのだから、この陸上大会を、
自分の力がどれだけ伸ばせるのか、
自分は、本気・全力100%で、どれだけやれるのか、
前向きにチャレンジして、自分を変えていくチャンスにしてほしい。

最後に、前回、紹介した「むのたけじ」の言葉を、紹介する。

きのうは去った。あすはまだ来ない。きょうというこの日に、全力を注ぎ込もう。どんなにつまらなく思われる一日であろうと、どんなにつらい一日であろうと、きょうがなければあすはない。

全力をこめてやれば、失敗したって必ず何かを学びとる。一つ一つの仕事に全力をこめたからとて人間はすりへりやしない。力の泉が、かえって深くなる。いい加減にやるなら、はじめから手を出すな。中途半端、これこそは人間を底まで腐らせる。

一度も失敗しないことは、自慢にならない。それは、上手であるだけだ。10回失敗して11回たちあがるなら、事はすでに成就している。 

100 吉田富三博士

 9月13日(日)石川地区児童理科作品展を、浅川町の吉田富三記念館で開催しました。本校からも、多くの御家族にお出で頂きました。ありがとうございました。今回は、1日だけの開催でしたが、その日だけで180名の方々にお出で頂きました。その中には、熱心に展示されている研究物を見入る子どもたちや、その保護者の方々の姿があり、改めて、今年、県理科作品展は中止でしたが、石川地区の児童理科作品展は実施してよかったと思いました。

 さて、私事ですが、実は、恥ずかしながら、私はこれまで、吉田富三博士のことは知りませんでした。今回、初めて記念館にお邪魔して、そこに展示されている資料を見たり、本を読んだりしました。それで思ったことは、この吉田富三博士は、素晴らしい科学者だということです。正直、驚きました。吉田富三博士は、癌の研究に一生捧げた方です。その中で、以前LIVEで紹介した「吉田肉腫」を発見しました。また、博士は医療制度の改革にも取り組んでいます。晩年、「医学の使命」について講演をされた時に、「医事は自然に如かず 静観待機療法が大切」という話をされました。これは、人間には病気になった時に、その病気と戦う自然良能というものがあること、だから医師は、その良能の性質をよく観察して、治療に当たる必要があるというものです。ただ薬だけを与えるという処置はよくない、という考え方です。このように、吉田博士は、医学だけでなく、ものの本質をしっかりと捉え、言葉の力でそのことを伝えることを大切にされていました。

 その一端が、医学の専門家でありながら、国語文化にも貢献していることにも表れています。昭和35年頃、日本の国語政策には、漢字を廃止するという方針がありました。翌年に国語審議委員になった吉田博士は、日本人が思想の原点として漢字を重要視していることを強く訴え、日本語の表記を「漢字仮名交じり」にすべきと提案したのでした。その提案を受けて、その後、正式に、国語の表記は「漢字仮名交じり」に決定したのでした。もし、この決定が別な物になっていたら、今の漢字仮名交じりはないわけです。

 記念館には、他にも興味深い物が展示されていました。それは、吉田博士と同姓同名の「吉田富三」という京都に住んでいた少年が、博士と同じ名前と言うことを知り、博士に手紙を書いたという物でした。手紙の内容は、自分は小児ぜんそくという病気だが、博士と同じ名前なので、病気に負けないで頑張りたいというものでした。驚くことに、住所が分からなかった少年は、「東京大学 吉田富三博士」とだけ記して投函し、その手紙は無事に届いたそうです。この手紙を受け取った博士は、その返事の手紙を書き、自分の似顔絵を写真にした物を、この少年に送っています。その対応が、すごく人間味にあふれていて、心温まります。吉田博士の人柄がわかる出来事だと思いました。

 吉田博士は、生前、文化勲章を受章し、亡くなってから、旭日大綬章も受章されました。また、ノーベル医学賞の候補にも挙がったそうですが、受賞日の前に亡くなられたので、規定により見送られました。博士の偉業は、野口英世博士にも勝るとも劣らない、素晴らしいものだと思いました。

 もし、吉田富三博士について、私のようにあまり知らないようでしたら、一度、吉田富三記念館を訪れてみてはいかがでしょうか。

 吉田富三記念館
  浅川町大字袖山字森下287
  TEL 0247-36-4129
  開館時間 午前9時~午後4時30分(最終入館午後4時)
  入館料 小中学生 無料  大人400円
  月曜休館