学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

51 本物のLIVE!演劇の世界

 26日(金)鑑賞教室がありました。演劇はおもしろいです。限られた空間の中で、限られた人数で、見る人に何かを伝えようと、演出する。演劇を見る方には、それなりの「想像力」が必要です。リアルな世界を好む子どもたちにとっては、演劇の世界は、かなり新鮮かもしれません。

 今回、公演して下さった「劇団風の子」は、全国に活動拠点が5カ所あるそうです。その中で、今回、本校に来て下さったのは、「劇団風の子関西」のみなさんでした。なんと今回、京都から来て下さいました。そんな遠くから、私たちのために来ていただけて、有り難いです。ですから、感謝の気持ちで公演を見ました。

 演目は「風の少年シナド」。どんな演劇だったかは、是非、お子さんに聞いてみてください。自然とは、人間とは、そして、命とは何か、考えさせられるストーリーでした。そして、演出は非常に楽しく、見ていて飽きることなく満喫することができました。テレビでもない、動画でもない、録画して後でもう一回見ることもできない、一回こっきりの生の舞台。まさに、LIVEの演劇の世界を、十分楽しむことができました。

52 ありのままを、受け入れる覚悟

 お忙しい中、授業参観、PTA全体会、学級懇談に参加いただきまして、ありがとうございました。

 いろいろと制約がある中で、今年度初めての授業参観でした。お子さんの授業の様子や担任の先生の指導の様子など、直接ご覧いただき、いかがだったでしょうか。百聞は一見にしかず。直接、学校での様子を見ていただけて、よかったと思っています。子どもたちは、至って元気に、楽しく、落ち着いて、毎日の学校生活を送っています。

 さて、PTA全体会では、私よりいろいろとお話しさせていただきました。学校の教育活動のこと、子どもたちに対する教育のこと、学校と家庭でしっかり連携していきたいことなど、お伝えしたいと思っていたことを、ぎゅうっと詰め込んでお話しさせていただきました。その中で、「子どもをありのままに受け入れる」という話をしました。子どもたちは、日々、いろいろなことをします。中には、やってはいけないことをしてしまうことがあります。そういう時、どうしたらよいのでしょうか。ありのままを受け入れるとは、そうしたよくないと思われる行動をしてしまうことも含めて、まるごと、その子を受け入れることです。では、そうしたよくない、変えたい行動については、どうしたらよいでしょうか。それは当然、そのことについて、話をしなければなりません。ただ、話の中で、どうすればよかったか、考えさせることが必要です。そうでないと、注意されて終わりになってしまうからです。注意されなければいいと思うようになるからです。そして、これが大事なのですが、「あなたなら、できると思うよ。」と、その子の人格を否定せず、逆に、信じていることを伝えることです。

 そんな簡単なことではない、という声も聞こえてきそうですが、「あなたが悪い」と「あなたがしたことは悪い」では、似ているようで、全然違うのです。昔から「罪を憎んで、人を憎まず」と言う言葉もあります。相手は子どもです。まだ、人格形成は途中なんです。だからこそ、やったことの善し悪しは教えますが、教えたからできるとは限らない。それで、「何度言ってもだめだな」と言われるのと、「そのうち、きっとできると信じているよ」と言われるのでは、全然違うのです。行動に問題があるとしても、その子自身に問題があるわけではないのです。「あなたのことは信じられない」と言われ続けるのと、「あなたのことは信じているよ、大丈夫だよ」と言われ続けるのとでは、その後が全然違うのです。そこには、その子をとことん信じ切る覚悟、ありのままを受け入れる覚悟みたいなものが、私たちには必要なのかもしれません。

53 想像して楽しむ

 演劇の楽しさは、演者の演技そのものの楽しさもありますが、想像する楽しさでもあります。演劇は、演劇ならではの演出があります。例えば、先日の鑑賞教室で観劇した舞台でも、命の玉が風に揺られてふわふわと漂うシーンがありました。実際は、役者さんが玉を手に取って、ふわふわ漂っているように動かしています。その時、球を持っている人は、黒子のようなもので、姿は見えていますが、見えていない立場であります。他にも、嵐が暴れ狂っているシーンは、実際の風など吹かず、丸い輪がつながったようなものを、二人で動かしながら嵐を表現しています。そういう演出を理解しているかどうかで、演劇の楽しさは変わります。実際に目に見えているものだけしか理解できないと、あの玉を持っている人はだれ?とか、あの丸い輪は何?となってしまいます。公演が終わってから、劇団の人と話す機会がありまして、演劇の演出について話題になりました。その中で、劇団の方は、演出を考える際、子ども向けの演目だと、「わかりやすさ」をつい求めてしまうそうです。しかし、わかりやすい演出が本当にいいのかというと、そうではないとのことでした。子どもたちにとって、一見理解しがたいような演出だとしても、それが演劇の楽しさ、面白さだとすれば、あえて、それをわかりやすく変えるのは、返って、見る子どもたちを甘く見ていることになる、と言っていました。話を聞いて、それが「本物」の力だと思いました。

 鍵は、想像力。この想像力がやはり必要なものが、「読書」です。絵本は、絵を見て、そこから、物語の世界を想像します。文章の本なら、文章を読んで、そこに描かれていることを、頭の中で映像化して、その本の世界を想像して楽しみます。だから、よく原作のある話が、映画化されると、最初に本を読んでいた人は、映画のキャストが、自分のイメージした人物像と違くて、がっかりすることがあります。本を読んで、自分で想像していた登場人物像があるということです。映像化していないからこそ、自分で自由に想像できるのです。これは楽しい。しかし、最初から映像化されていると、そこに想像する必要性はありません。テレビや動画などは、そこに映し出されているものが全てなので、想像する必要性がないのです。それでは、想像する楽しさも味わえませんし、想像する力も育ちにくい。

 テレビや動画は、映像という力で、私たちを楽しませてくれますし、必要な情報を分かりやすく伝えてくれます。そういう特徴を分かって、有効に利用すればいいのです。ただ、そればかりではなく、テレビや映像では補えない部分を、新聞や本などの文字情報から必要な情報を得たり、読書活動を通して、本の世界を想像して楽しんだりすることは、やはり大事だと思います。

54 休日の外出にはご注意を!

 いよいよ他県への移動も増えてくるようになりました。そこで、保護者の皆様に気をつけていただきたいのが、「休日の過ごし方」についてです。子どもたちはこれまで、かなり限定された人の中で過ごしてきたと思います。実際、学校と家庭の間であれば、これまで同様、感染リスクはかなり低く抑えられると思われます。ですが、それ以外の場所であれば、やはり、感染リスクは高くなります。さらに、そこに、不特定多数の他県から移動してきた人が混ざっていると思われる場所なら、なおさらです。1学期も、のこり一ヶ月となりました。7月は、全ての学年でバスによる校外学習を予定しています。この校外学習も、感染リスクには十分注意して行います。どうか、各御家庭におかれましても、休日の外出においては、これまで同様、マスクの着用や手洗い・消毒等、感染防止に努めてくださいますよう、お願いいたします。

55 行ってきました!修学旅行

 当初、5月29日に予定されていて、その後、9月に変更された修学旅行。しかし、その後、状況の変化に伴い、再度実施を検討して、先週3日、実施することができました。この修学旅行を実施するにあたり、実に多くの方々に御支援、御協力を頂きました。それがなければ、とてもやれなかったと思っています。ですから、今は、修学旅行が実施できて、ほっとしています。さて、実際の修学旅行の様子ですが、ホームページには、子どもたちの様子を写真入りで紹介してありますので、可能でしたら、そちらを是非見ていただければと思います。(「野木沢小学校」で検索すれば見られます。スマホでも見られます。)

 6年生の子どもたちは、この修学旅行に向け、計画的に準備を進めてきました。班を編制し、見学場所や体験場所やコースの計画を立てる話し合いを、何度も持ちました。その中で、メンバーの意見がうまくまとまらず、思うように進まないこともありました。しかし、そういう経験をすることも、この学習の一環でもありました。そのようなことも全て乗り越えて、出かけた会津若松への修学旅行でした。
 最初の見学先でバスを降りてから、子どもたちは、グループで計画したコースに沿って、それぞれスタートしました。順調に、予定どおりに進むグループ。予定どおりにバスが来なくて、あせったグループ。お店に入り、会津名物のソースカツ丼やみそ田楽をおいしくいただくグループ。体験活動で、起き上がり小坊師や赤べこなど、ていねいに絵付けするグループ。中には、手作りパフェの体験をするグループも。それぞれのグループで、何か起きても、自分たちで話し合って問題を解決しながら、活動しました。そして、最後は、予定どおり、全てのグループがゴールの鶴ヶ城に無事たどり着きました。その時の子どもたちは、みな、最高の笑顔でした。
 活動中に、新聞社の取材を受けたグループもありました。質問されたことに、代表児童がしっかりと答え、記者の方も大変感心していました。

 学校に着いてから、私は子どもたちに次のような話をしました。
「今回は、今までと違う修学旅行でした。団体で同じところを回るのでなく、自分たちで行きたいところを決め、自分たちで体験したいことを体験し、自分たちで食べたいものを食べてくる、まさに、自分たちの修学旅行でした。そして、どの班も何が起きても自分たちで話し合って、解決することができました。 私は、今回の修学旅行を、6年生のみなさんのために、是非やりたいと思っていました。ですから、やれてよかったと思っています。しかし、今回、会津に行き、みなさんが会津の町を散策し、体験し、味わい、そして、会津の人とふれ合う様子を見て、私自身、気付くことがありました。

 それは、2班の人たちが体験したパフェ作りのお店の人の話を聞いた時でした。そのお店の人は、「今年、初めての小学生のみなさんでした。だから、来てくれて本当にうれしかったです。」とお話ししていました。会津の町の人たちは、このコロナの影響で、お店もやれない時がありました。だから、今回、みなさんが会津に行ったことで、(ああ、また、以前のように子どもたちが来てくれるかもしれない。)と喜びと希望を持ったに違いありません。そういう意味で、今回、行ってよかったなあと思いました。自分たちがしたことが、だれかの喜びにつながっているとしたら、それは、とてもうれしいことです。みなさんの修学旅行がそういう旅行になり、とてもよかったと思います。
 さて、みなさんの修学旅行は終わりました。また、行きたくてももう行けません。それが、みなさんにとっての小学校生活なのです。今日のような大きな活動のある一日もあれば、特別なことは何もないような平凡な一日もある。しかし、どちらも、みなさんにとってはかけがいのない一日なのです。さあ、来週から、また、みなさんには、野木沢小学校の6年生として、頑張ってもらいます。みなさんに残された小学校生活は、あと151日です。」

 6年生の子どもたちの一人一人のよさと、6年生の子どもたちの持っている力が十分に発揮された、とてもいい修学旅行でした。