学校だより LIVE

野木沢小の教育や校長雑感をLIVEでお届けします

151 矢口高雄さんを偲んで

 みなさんは、「釣りキチ三平」という漫画をご存じでしょうか。三平少年が、日本や世界の様々な魚釣りに挑戦する釣り漫画です。以前紹介しましたが、釣り好きで漫画好きだった少年時代の私にとっては、バイブル的な存在でした。作品の中には「伝説の魚」「幻の怪魚」なども登場しますが、そのほとんどが実在する魚がモデルになっていたようです。例えば、「O池の滝太郎」というのがありました。これは、山形県鶴岡市の山奥にある大鳥池に生息しているといわれる巨大魚「タキタロウ」がモデルでした。実は、私の父親の故郷が鶴岡市でして、小学生の頃から大鳥池があることも、そこにタキタロウ伝説があることも知っていました。ですから、いつか行ってみたいと思っていたところ、大学時代、たまたま車で鶴岡に行く機会があり、念願の大鳥池に行ったことがあります。大鳥池は、車では行けない山奥にありまして、片道2時間以上歩いていったことを覚えています。苦労してたどり着いた大鳥池は、思ったより大きくて、いかにも巨大魚が潜んでいそうな雰囲気のところで、ここで三平少年が釣りをしたのだと想像しました。漫画では他にも、北海道釧路湿原の幻のイトウや、カナダのキングサーモンなど様々な魚釣りを取り上げていて、劇画タッチの漫画でしたので、描写がリアルで、まさに自分も体験したつもりになって、夢中で読みあさっていました。
 この漫画の作者、矢口高雄さんが先日、81歳で亡くなりました。矢口さんの故郷は、秋田県の横手市の山村で、冬はかなりの豪雪地帯でした。子どもの頃から漫画が好きで、手塚治虫さんの漫画をよく真似して描いていました。高校卒業後、地元の銀行に就職しますが、その頃から漫画を描き始め、30歳で漫画家としてデビュー。34歳の時に「釣りキチ三平」の連載がスタート。実はそのちょっと前に、「幻の怪蛇バチヘビ」という作品を描いています。ご存じの方はいるでしょうか。その昔、ツチノコという未確認生物がブームになりましたが、そのきっかけを作った漫画です。他にも、秋田の狩猟集団「マタギ」を題材にした作品や故郷秋田を題材にした「おらが村」などがあります。
 この「おらが村」の中で、秋田の田舎生活や子ども時代の思い出を描いているのですが、私が印象に残っているシーンがあります。一つは、豪雪地帯の秋田の山奥、冬、雪が降る様子を「上みれば虫ッコ… 中みれば綿ッコ… 下みれば雪ッコ…」と表現しているシーン。もう一つは、都会生活をしている人が田舎に帰ってきて、昔と変わらないその暮らしぶりに「いつまでも変わらないでほしい」と言うのに対して、その村で生活する人が言い返すシーンです。「このワラぶき屋根、いかにも田舎らしくて良いな…とか、この村はいつまでも変わらないで欲しいというのは勝手だが、しかし、そういう考え方は便利な都会で生活する者の、心のおごりではないか。ここで生活する人間の身になってみれば、アルミサッシの窓やステンレスの流し台、タイル張りの浴槽が良いに決まっているし、どんどん村は変わっていい。故郷はいつまでも同じでなくて、どんどん変わって欲しいと思うことはいけないのか。」子どもながら、深く考えさせられたことを思い出します。

152 思うようにいかないことにも意味がある

 27日の全校集会で、次のような話をしました。

「おはようございます。今日のお話は、『人生は、思うようにいかないことが多い。』という話です。

 例えば、学校生活においても、そうだと思うんですが、運動するのが苦手な人にとっては、運動会やマラソン大会があることがそうかもしれませんし、国語や算数が苦手な人にとっては、学力テストがそうかもしれませんし、野菜が苦手な人にとっては、給食があること自体、そうかもしれません。また、これまで友達とうまくいかないことがあった人もいると思います。それから、ほしいものがあっても、なかなか買ってもらえなかったりもすると思います。

 人生は、そういう思うようにいかないことの連続なのだと思います。しかし、『それには意味がある。』んです。だから、思うようにいかないからといって、やらなくていいわけではない。逆に、そういうことも、我慢して、やらなければならないんです。なぜなら、思うようにいかないことが、自分にとって、どういう意味があるかは、やってみなければわからないからです。だから、『何にでもチャレンジ』なんです。とにかく、頑張ってやってみる。やる前から、逃げない。やる前から、文句を言わない。まずは、やってみる。やってみて、その後で、自分にとって、どんな意味があったのか、自分で確かめてほしいのです。

 あきらめたら、何も変わりません。縄跳びの二重跳びだって、練習を頑張って、でも、なかなかできなくて、それでも頑張って練習して、そうして、ある時、できるようになります。できないからやーめた、と言っていたら、一生できないまま。苦手な食べ物だってそう。友達関係だって同じ。言いたいことがあっても、言わなかったら、何も変わらない。

 しかし、がんばってチャレンジしたからといって、思うようにいくかというとそうではない。やはり、思うようにいかないことが続く。それでも、あきらめずに、やり続けること。そういうことを繰り返すことが、生きることです。そうやって、生きていると、ある時、思うようにいくことがあります。だから、うれしいんです。そういう時、生きるって、面白いなあと、思うんです。頑張ってくださいね。」

153 吉田富三子ども科学賞授賞式

 浅川町の吉田富三記念館において、今年の子ども科学賞特別賞の授賞式が行われました。例年ですと、県の児童理科作品展の最優秀賞が子ども科学賞を受賞しているのですが、今年は、県の児童理科作品展が中止になったため、地区の推薦作品にのみ、特別賞が贈られました。以下、来賓として述べたあいさつです。

「今年度、石川地区小学校教育研究会理科研究部の部長をしております、野木沢小学校校長、佐藤です。一言、お祝いの言葉を述べさせていただきます。

 この度は、吉田富三子ども科学賞授賞式に際し、特別賞を受賞された皆さん、おめでとうございます。

 今年は、みなさん、ご存じのように、新型コロナウイルスの影響で、県の児童理科作品展は中止となり、それを受け、県内のほとんどの地区も、今年は理科作品展を行わないこととなりました。

 実は、以前にも、今年と同じような時がありました。平成23年、あの東日本大震災があった年です。あの時も、県や各地区の理科作品展が中止になりました。しかし、この石川地区は、震災のあった年も、理科作品展を開催していたのです。私は、驚きました。それは、地区の理科作品展の審査結果で推薦になった作品に、吉田富三子ども科学賞特別賞を授けていただいていたからでした。この吉田富三子ども科学賞が、どんな社会状況だろうと、子どもたちの科学を追究する姿を継続して応援してくれていたわけです。そういうことから、石川地区では、今年も、理科作品展を開催することになりました。

 審査が終わり、この吉田富三記念館をお借りして、一日だけ展示会を開催しました。180名もの方々にお出で頂き、みなさん、熱心に作品をご覧になりました。その様子を見て、今年、石川地区で理科作品展をやって良かったなあと、しみじみ思いました。

 今回、特別賞を受賞された皆さんの取り組みは、プレートになって、この記念館内に半永久的に掲示されます。みなさんが大人になった時、自分の子どもが、このプレートを見て、きっと驚くことでしょう。そして、みなさんを誇りに思うでしょう。そして、みなさんを手本にして、理科研究に興味をもつのではないかと想像します。そういう意味でも、これからも、吉田富三記念館が末永く、この石川地区の科学に興味を持つ子どもたちが育つ場所として、あり続けてほしいと願っています。そして、今後も、石川地区理科作品展を支えて頂ければ有り難いです。

 本日は、誠におめでとうございました。」

福島民報に掲載された写真

154 教育相談、ありがとうございました

 お忙しい中、御来校いただき、教育相談に御協力いただき、ありがとうございました。普段、なかなか保護者の皆様とお話しする機会が取れないので、とても貴重な時間となりました。その中で、お子様の成長に関して、学校からの情報と御家庭からの情報を共有できたことは、とても有意義でした。また、学校・家庭のそれぞれが、今後どのように携わっていくか、確認することもできたと思います。前にも述べましたように、家庭と学校は、子どもたちの健やかな成長という、共通の目的を持った同士・仲間ですので、そのために、情報を共有し、お互いの関わり方について確認し、しっかりとタッグを組んでいきたいと思っております。今回は、限られた時間の中での話し合いでしたので、もし、もっと御相談したい事がありましたら、気軽に学校まで御連絡いただきたいと思います。

155 朝のリズムが鍵です!

 第2回「朝食について見直そう週間運動」アンケート結果は次のとおりでした。

 朝食摂取者(最終日)     99.0%
 朝食に野菜を食べた児童     65.7%
 朝食に汁物をとった児童    72.5%
 昼食以外に誰かと食事した回数
      2回(朝、夕)   97.1%
      1回(朝夕どちらか) 2.9%
      0回         0.0%

 ほぼ全員の児童が、朝食をとり、それも家族の誰かと取っていることが分かりました。アンケートへの御協力、ありがとうございました。

 ちょうど、この時期、学年ごとに食育の授業を行っています。1年生から4年生までは、本校養護教諭が教室に入り、担任の先生と指導しました。5年生と6年生は、本日、石川小学校の栄養教諭の先生に御指導いただきました。

 先日は、2年生が「早ね 早おき 朝ごはん」のテーマで学習しました。その中で、元気に過ごすためには、早寝・早起き・朝ご飯を中心とした生活リズムを整えることが大切だということが分かり、健康な生活を実践することができることがねらいになっていました。

 授業では、まず、アンケートにより、自分たちの生活のしかたを振り返りました。そこでは、規則正しい生活リズムがとれている児童がいる一方、寝る時刻が遅くなってしまったり、朝ご飯が食欲がなく食べられなかったりしている児童がいました。その後、紙芝居で、生活リズムについて考えました。その紙芝居に登場する女の子は、寝るのが遅く、朝自分から起きられず、朝ご飯を食べず、学校では眠くて、運動もだるくてやらない生活をしていました。

 結果、体重も増え、ますます運動嫌いになっていました。この女の子の問題点と今後どうすればよいか、子どもたちが考えました。早く寝ればいい、朝ご飯を食べる、頑張って運動する等、自分たちの生活と照らし合わせながら、改善点を考えました。結果、紙芝居の女の子は、生活リズムがよくなって、中学校ではバレーボール部に入り、それから20年後、ママになってもママさんバレーを続けているというお話で、紙芝居は終わりました。

 この話し合いの中で、とても興味深いことがありました。朝ご飯とうんちの関係について説明があった時、ある子どもから「朝ご飯食べても、うんちをしたら出ちゃうんじゃないの」という疑問でした。なるほど、食べてもうんちで出ちゃったらだめじゃないか、という素朴な疑問でした。養護教諭の先生から、朝、うんちで出るのは、12~14時間前に食べたもので、朝ご飯で食べたものは、その日のエネルギーになることを説明してもらい、みんな納得した様子でした。

 先のアンケート結果から、野木沢小の子どもたちは、朝、しっかりと朝食が取れています。だから、学校に来たら、朝から外を走り回って、元気に遊べるのだと思いました。そして、授業でしっかり頭を使って、エネルギーを消費し、お腹が空いて、給食をもりもり食べ、また、午後、頑張って過ごす。そして、家に帰ったら、宿題をやって、午後9時から10時には就寝し、朝6時頃、お腹が空いて起きてきて、朝ご飯をしっかり食べる…というよい生活リズムが取れているのだと思いました。大事なのは、朝のリズムです!そこを整えることで、他の時間も整っていきます。今後も、よい生活リズムを続けていけるよう、引き続き、よろしくお願いします。