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1. 252 小体連陸上大会を終えて

投稿日時: 2021/10/08 野木沢小-サイト管理者

 6年生の子どもたちが、小体連陸上大会に参加しました。6年生の子どもたちは、みな、一生懸命に競技しました。

 みなさんは、競技に出場した子どもたちが、どんな気持ちで大会に出場したか、想像がつくでしょうか。保護者のみなさんの中には、ご自身も小学生の時、陸上大会に出場した経験がおありの方も多いのではないかと思います。その時のことを覚えておいででしょうか。みなさんは、どんな気持ちで、陸上大会に参加していましたか。

 私は、陸上大会に出場している子どもたちは、「孤独との戦い」ではないかと想像しています。いつもの練習は、そばに友達もいる、先生もいる。そして、分からない時は、すぐに周りにいる友達や先生に聞ける。そういう安心感の中で練習しています。しかし、陸上大会では、周りは、他の学校の子どもばかり。係の先生も知らない先生。だから、分からないことがあっても、すぐに聞ける人がいない。何をどうしたらいいのか、困っていても、助けてくれる人がいないと感じる。実際は、周りの係の先生に聞けば、ちゃんと教えてくれるし、助けてくれるのですが、知らない先生に声をかけるのは、容易ではないのです。そういう孤独の中、必死に戦っていたのではないかと思います。

 そういう意味で、この経験は、子どもたちを、大きく成長させるのだと思っています。誰も頼れる人がいない。だからこそ、最後は、自分を頼るしかない。周りの状況から、自分で判断し、自分で決断し、実行する。そして、責任は自分で取る。今まで教えてもらったこと、練習してきたことを思い出し、自分を信じる。そういう経験をすることができるのが、陸上大会ではないかと思うのです。だから、この大会を通して、子どもたちは、大きく成長できるのだと思います。

 今回の大会には、6年生の子どもたちは、自己ベストを目指して臨みました。選手壮行会でも、みな、そのように目標を述べていました。毎日の練習でも、常に、今の自分を超えることを目標に、チャレンジしてきました。そして、大会前日は、各自が、自分の自己ベスト記録を書き出し、それを更新することを目標にしました。この陸上大会は、他の学校の子どもと競い合う大会ですが、競い合って勝つことが最終目標ではありません。勝ちにこだわることや、入賞することを目標にしていけないわけではないのです。ただ、勝つとか入賞するとか、そういうのは結果であって、他の選手との関係で決まることです。自分がどんなに努力しても、勝てないことはあります。入賞できないこともあります。その場合、その人がしてきた努力は無駄なのでしょうか。本大会の大会長が開会式のあいさつで、次のようなお話をされていました。

 「『結果が全てだ』という言葉がありますが、私はそうは思いません。この大会に向けて、コロナ禍で、十分な練習ができなかった人も多いと思います。それでも、お家の人に支えてもらい、友達と競い合い、励まし合って、先生方から教えていただきながら、自分の力を高めてきた、これまでの日々の努力は、決して無駄なことではなかったと思います。そうやって、自分を高めてきたことは、これからのみなさんの力になるはずです。」

 私も、同感です。今回の大会で、おしくも自己ベストを出せなかった人はいます。その人は、努力が足りなかったのでしょうか。その人がやってきた、これまでの努力は、無駄なことだったのでしょうか。そんなことはありません。6年生の子どもたちは、本当にこれまで、一生懸命練習に取り組んできました。その中で、今以上に自分の力を伸ばすよう、こつこつと努力を続けてきました。それは、一緒に練習に取り組んでいた4年生、5年生の陸上クラブの子どもたちが知っています。毎日、指導にあたって来られた先生方が知っています。そして、何より、頑張ってきた自分自身が、一番よく分かっているはずです。だから、6年生の子どもたちには、これまで諦めずに最後まで頑張って取り組んできた自分自身を、大いにほめてほしいと思います。そして、お家の方々からも、たっぷりとねぎらいの言葉をかけてほしいと思います。お願いします。

 6年生全員が、孤独と戦い、それでも、前に進んで行こうと、勇気を出して、一歩踏み出した陸上大会が終わりました。今の自分を超えようと、チャレンジした大会が終わりました。6年生のみなさん、本当にお疲れ様でした。また一つ、6年生のみなさんにとっては、小学校の思い出が出来、そして、大きな出来事が終わりました。しかし、6年生のみなさんの小学校生活は、減っては行きますが、まだまだ続きます。ここで、大事なのは、次へのチャレンジです。新たな目標に向かって、さらに努力する姿を、下級生たちに見せてください。それが、最高学年であるみなさんの大きな役目です。