学校だより LIVE

1. 18 ウイルスと共存

投稿日時: 2020/04/28 野木沢小-サイト管理者

 私の故郷、会津の郷土玩具に「赤べこ」があります。きっとみなさんも一度は見たことがあると思います。あの赤べこをよく見ると、体の周りに、黒と白の丸い模様がついています。諸説ありますが、その中に、あれは、天然痘という病気にかかった時にできる「あばた」の痕だと言われているものがあります。平安時代頃、日本では天然痘が大流行しました。当時はワクチン治療がなく、多くの人が亡くなりました。そんな中、赤べこの人形を持っている子どもは、天然痘にかかりにくいといううわさが広がりました。赤べこの体の色の「赤」は、魔除けを意味していたからです。だから、子どもの身代わりの意味もあったのでしょう。

 さて、ある日の朝日小学生新聞に、ちょっと興味深い記事が載りました。それは、「私たち人間は、昔から感染症、ウイルスと長い付き合いをしている」というものでした。

・古代エジプト時代から、先程紹介した「天然痘」が流行しました。
・14世紀のヨーロッパでは「ペスト」が流行し、世界で1億人が死亡し、「黒死病」とも言われました。
・1918年には、アメリカとヨーロッパで「スペインかぜ(新型インフルエンザ)」の流行が始まり、世界で2千万から5千万人が亡くなりました。
・2002年、中国香港を中心に、「SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)」が流行し、世界で8千人以上が感染し、約800人が亡くなりました。
・そして、今、「新型コロナウイルス」が世界で大流行しています。24日現在で、世界で感染者が270万人以上、亡くなった人も19万人以上になっています。

 感染症に詳しい長崎大学の山本教授は、こう話しています。「このように大昔から人に感染する病気はありました。そして、人が集落を作り、多くの人が一緒に生活をするようになり、病気は広がるようになりました。また、人間が開発などで、むやみに自然の中に入っていったことで、新しい病気のウイルスと出会うようになりました。ウイルスも人間も、自然の一部という意味では一緒です。今回の、新型コロナウイルスがどういう形でおさえられていくか分かりませんが、今後も、新しい感染症は発見され、流行はこれからも続くことが考えられます。」そして、最後にこう言っています。「最終的にはウイルスと共存していくべきでしょう」

 地球を一つの大きな生命体と考える「ガイア理論」という考えがあります。それは、地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げているという考えです。ウイルスと人間も、同じ地球上の自然の一部として相互に関係しながら生きていることになります。そういう意味で、最後はどちらかの絶滅ではなく、共存という考えになるのでしょう。

 今回の新型コロナウイルスのワクチンの開発は待たれますが、それまでは、やはり、各自の免疫力を下げないこと、そして、爆発的な流行にならないように行動を注意することです。