学校だより LIVE

1. 194 卒業式 校長贈ることば

投稿日時: 2021/03/25 野木沢小-サイト管理者

 本日は、御来賓の方々の御臨席を賜り、また、保護者の皆様にも御出席いただきまして、令和2年度卒業証書授与式を挙行できましたこと、心よりうれしく思います。

 保護者の皆様、先程、お子様に卒業証書を授与致しました。お子様の証書を授与される姿を御覧になり、どのような御心境でしょうか。おそらく、6年前、小学校に入学し、その後、いろいろなことを経験し、成長していった日々を思い出され、感慨もひとしおのことと思います。その中で、保護者の皆様が、どんなに御苦労をされたか、お察し致します。しかし、どうぞ御覧ください。その御苦労も、全て吹き飛んでしまうように、お子様は、立派に成長されました。この姿を見れば、全て報われるのではないでしょうか。本日のお子様の御卒業、誠におめでとうございます。

 さて、令和2年度卒業生のみなさん。今、私が、お家の方に話したように、みなさんはこの6年間、いろいろなことで、お家の方々に、お世話になったことと思います。心配をかけたこともあったでしょう。泣かせたこともあったかもしれません。お家の方の言うことをきかず、言い合いになったことも。しかし、それもこれも、全ては、みなさんのため。みなさんを愛しているからです。だから、心配もしたし、余計なことと思われるようなことも言ってきたのです。みなさんは、それを素直に聞き入れましたか。素直に従いましたか。反発して文句を言い返したりしませんでしたか。

 今はどうですか。まさに今、卒業するにあたり、お家の方々が、これまで、どんな思いで、みなさんの成長を支えてきたか、感じられるのではないでしょうか。有り難いですね。みなさんがどんな状況になろうとも、最後の最後まで、いつでも、みなさんの味方になって、みなさんを支えてくれたんです。これは、いくら感謝しても、感謝しきれません。今日、家に帰ったら、その気持ちを、きちんとお家の方々に伝えてくださいね。お願いします。

 さて、改めて、令和2年度の卒業生のみなさん。自分が野木沢小学校を卒業するというのは、どんな気持ちなのでしょうか。いよいよ小学校を卒業するという喜びですか。それとも寂しさでしょうか。6年間という長い小学校生活がやっと終わりを迎えるという達成感ですか。それとも、4月から始まる新しい中学校生活への期待でしょうか、不安でしょうか。

 みなさんが、これまで過ごした6年間は、一人一人いろいろな思い出があることと思います。その思い出は、楽しかった、うれしかった思い出ばかりでないと思います。悲しかったこと、苦しかったこと、つらかったこと、そういう出来事もあったことでしょう。その時々の心の傷は、もう癒えているでしょうか。それとも、まだ、心の底の方で、喘いでいるのでしょうか。

 私たち人間は、弱い生き物です。ですから、知らず知らずに相手を傷つけ、自分を傷つけてしまうことがあります。そうして、傷つけられた心の傷は、目に見えないので、なかなか誰にも気付いてもらえない。

 しかし、どうかそのことを悲しまないでください。心の傷の痛みを知る人は、他の人の心を優しく労り、癒やすことができるからです。だから、もし、今だ心の傷が癒えていないとしても、この卒業を機に、苦しんだ気持ちを引きずらず、そういう気持ちにけりをつけて、ここからは新たな気持ちで歩んでほしいと思います。

 これから、みなさんが歩んでいく道は、決して楽な道ではないと思います。先の見えない不安の中、歩いて行くことにためらいを感じた時は、あの修学旅行を思い出してみてください。

 会津若松への修学旅行は、これまで前例がありませんでした。それでも、みなさんは、資料を集め、見学先を検討し、コースを決め、実行しました。当日、会津若松市内を散策しながら、想定外の出来事も、グループのみんなで解決して行きました。あの修学旅行を成功させることは、決して楽なことではなかったはずです。それでも、みなさんは、勇気を持ってチャレンジし、成し遂げることができました。それどころか、あの修学旅行を、心の底から楽しもうとしていました。そんなみなさんなのですから、これからも、何が起ころうと、しっかり向き合い、笑顔で乗り越えていけるはずです。

 私は願います。みなさんが、自分が主役の自分の人生を、自分らしく歩いていくことを。どういう人生が自分らしいのか、その答えは、簡単には見つからないかもしれません。しかし、人生二度なし。人生は一度きり。一回こっきりしかありません。ならば、その一度きりの人生を、どんなにつらかろうが、どんなに苦しかろうが、投げ出すことなく、生きてください。その中で、みなさんに、生きている喜びや楽しさが少しでも味わえる、そんな経験が訪れることを切に願っています。

 みなさんの人生に幸多かれ。

     令和3年3月23日    石川町立野木沢小学校長 佐藤康二