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1. 114 インフルエンザと新型コロナ

投稿日時: 2020/10/02 野木沢小-サイト管理者

 新型コロナウイルス感染症が終息を迎えない今、これからさらに心配されることは、インフルエンザの流行です。この新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを比べてみると、いろいろと興味深いことが分かりました。科学雑誌「Newton」に、次のような内容が紹介されていました。

 まず、この二つのウイルスは、非常に似ています。まず、構造が同じで、RNA(リボ核酸)が「エンベロープ」という脂質の膜でおおわれています。このエンベロープをもつウイルスは、アルコールに弱いという特徴があります。
 次に、どちらも「呼吸器感染症」で、飛沫(せきやくしゃみで飛び散る唾など)を介して体外に排出され、飛沫を吸い込んだり、飛沫がついたものに接触したりすることで感染が広がるのも同じ。

 この二つの大きな違いは、インフルエンザより新型コロナのほうが感染拡大を防止するのが難しいということ。インフルエンザは、感染すると数日で症状が出ます。そして、発症後2~3日で排出するウイルスの量がピークになります。つまり、症状が出てから対策をしても、ある程度感染拡大を防げるということです。実際、学校で発熱しても、その時点では、まだ排出するウイルスの量は少しだということです。しかし、新型コロナは感染後、平均5~6日の潜伏期間があり、その間も、排出するウイルスの量は増え続け、発症日の前後が排出量のピークになります。つまり、新型コロナは発症した時には、もうすでに多くのウイルスを出してしまっているわけです。だから、新型コロナは症状が出ていなくても対策が必要なのです。

 それでも、アルコール消毒、手指の消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスなどは、新型コロナウイルスにも、インフルエンザウイルスにも、どちらにも有効だということは確かなことです。

 実は、それを裏付けるようなデータが紹介されていました。北半球と南半球は季節が逆のため、南半球のオーストラリアでは、例年8~9月にインフルエンザの流行のピークが来ていました。今年は新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されていました。しかし、今年はインフルエンザはほとんど流行していないそうです。今のところ、理由は明らかになっていません。

 しかし、仮説としては、次の二つが考えられるようです。一つは、新型コロナの感染対策が、そのままインフルエンザの予防にも有効だったということ。二つは、新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスに「干渉」したことで、インフルエンザの流行がおさえられたということ。この「干渉」とは、複数の種類のウイルスが一つの細胞に感染した場合に、一方が他方の増殖を弱める現象のことだそうです。もし、そうだとしたら、今年はインフルエンザは大流行しないかも…ただ、このことは、しっかりとした研究成果がまだありませんので、安易に油断してはいけません。

 それでも、仮説の一つ目については、これまでのインフルエンザの予防として、手洗い・うがいの徹底、部屋の換気等、新型コロナで行ってきた感染予防対策と同じ事をきちんと続けることで、ある程度防げると思われます。そして、これまでもお話ししてきました、体の抵抗力を高めるための、「栄養」「運動」「休養」のバランスを崩さない生活が大切だと思われます。新型コロナとインフルエンザのどちらにも負けない、健康な生活を送れるよう、御協力お願いします。