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1. 218 宿泊学習を終えて

投稿日時: 2021/06/25 野木沢小-サイト管理者

「ぼくは、山登りに行って、足が痛くて大変でした。でも、5年生の人に励ましてもらって、とても助かりました。ぼくも来年、そういう5年生になりたいです。」

 これは、今回、宿泊学習に参加した4年生の人が、学校に帰ってきたときの帰校式で、感想発表で話したものです。今年の宿泊学習の全てが、この発表の中に込められていました。

 昨年度は、宿泊を伴う活動は出来ず、いわきの舟戸海岸で磯遊びを行い、石炭化石館ほるるの見学を行いました。しかし、今年は、那須甲子青少年自然の家も感染症対策を取りながら活動することが可能となり、十分気をつけながら、宿泊を伴う学習を行うことが出来ました。

 1日目は、まず、茶臼岳の登山を行いました。往復約4時間の登山でした。登山口に着いたときは、ちょっと霧雨も降っていて心配したのですが、その後、天候も回復し、参加者全員、山頂までたどり着くことができました。途中、休憩を挟みながら登りましたが、なかなかたどり着かないコースが延々と続くことに、子どもたちからはかなり参っている様子が見られました。それでも、お互いに励まし合い、支え合いながら、やっと山頂に着くと、みな、笑顔になり、ここまで自分の力で登りきった満足感や達成感を味わいました。

 自然の家に入所してからは、決められた時間で夕食を食べたり、お風呂に入ったりしました。他団体と混ざり合うこともほとんどなく、生活できました。夕食後は、外でキャンプファイヤーを行い、フォークダンスやゲームをして、みんなで楽しい時間を過ごしました。この時も、夜空には月や星が見られ、とても静かな森の中で、燃え上がる炎は、とても神々しい感じでした。その夜は、日中の登山とキャンプファイヤーの疲れからか、ほとんどの子どもたちが、消灯後、静かに寝息を立てていました。

 2日目は、朝食後、野外炊飯を行いました。メニューはカレーライスで、グループごとに、かまどでご飯を炊き、カレーを作りました。野菜や肉を上手に切ったり、かまどの火を起こしたり、みんなで分担して行いました。羽釜でご飯も炊きました。底に出来たお焦げも、香ばしくいただき、みな無事に、美味しいカレーを作ることが出来ました。片付けでは、食器やなべなど、ピカピカに洗って、きれいに片付けて、所員の方から、合格をいただきました。

 振り返ってみると、あっという間の2日間でした。しかし、この2日間で体験して学んだことは、たくさんあります。参加した子どもたちにとって、一生の思い出に残る、とても充実した宿泊学習でした。

 今回、いろいろと体験してきましたが、その中でも、とてもよかったと思ったのが、登山です。子どもたちは、登っている途中、つらそうにしている人がいると、みんなで声を掛け合い、荷物を持ってあげたり、手を引いてあげたりしていました。そうやって、全員が、山頂にたどり着きました。

 山登りは、山頂がゴールです。そのゴールを目指して、一歩ずつ登っていきます。この一歩は、ほんの少ししか前に進みません。それでも、一歩一歩登っていきます。そうやって、一歩ずつ進むことで、間違いなく、ゴールは近付きます。疲れたら休めばいい。そして、また、歩き始めればいい。そうする内に、ゴールは目の前になります。ゴールが見えてくると、また、頑張る力が湧いてきます。そうして、ついに、ゴールに到着するのです。山頂から、振り返ってみると、スタート地点がものすごく下に見えて、改めて、自分は、ここまで登ってきたんだなあと実感します。山頂に着いたとき、ここまで歩いてきたのは、紛れもなく自分の足です。周りの人から励まされ、支えてもらっても、歩き通したのは、自分の足なのです。それが事実です。

 山登りは、人生に例えられます。つらくて苦しい道のりも、一歩ずつ地道に歩んでいくことが大事です。急げば、転んだり、足をくじいたりして、大怪我をするかもしれません。ですから、慌てず、急がず、確実に一歩ずつ。そうやって、一歩ずつ努力していくことで、いつしか、目標にたどり着くのです。誰もが、あきらめずに、努力し続ければ、必ず、目標達成できるのです。そういうことを、登山は教えてくれます。

 今回、見事に山頂までたどり着いた4年生、5年生の子どもたちは、今後、どんなつらく苦しいことがあっても、きっと乗り越えていけるはずです。あの茶臼岳の山頂で万歳した自分を忘れずに、これからも、自分の目標に向かって、努力し続けてほしいと思います。