学校だより LIVE

1. 25 人間の究極の幸せ

投稿日時: 2020/05/14 野木沢小-サイト管理者

 チョークを作っている会社で、「日本理化学工業」という会社があります。この会社では、多くの知的障害者を雇用しています。その背景には、この会社の理念があります。その理念とは、ある禅寺の住職の言葉です。それは、「人間の究極の幸せ」についてです。

 その住職は、次のようなお話をされたそうです。「人間の幸せは、ものやお金ではありません。人間の究極の幸せは次の四つです。人に愛されること。人にほめられること。人の役に立つこと。そして、人から必要とされること。愛されること以外の三つの幸せは、働くことによって得られます。障害をもつ人たちが働こうとするのは、本当の幸せを求める人間の証(あかし)なのです。」

 世の中には、働きたくても働けない人はいると思います。今回の新型コロナウイルスの影響で、多くの人が職を失う状況にあります。ですから、一概に「働くことで幸せを得る」と言えないところはあります。早く、この状況が改善されることを願ってやみません。

 しかし、それでも、この住職の話した内容には、考えさせられます。と言うのも、学校生活においても、同じようなことが言えるからです。学校では、子どもたちは、それぞれの学級学年において、役割を担います。それは、学級の係活動であったり、当番活動であったりします。学年が上がると、委員会活動やボランティア活動もそうです。それらの活動を通して、自分が役に立つこと、自分が必要とされていること、そして、自分が感謝される存在であることを体験することができます。それは、やはり、人としての幸せを感じることにつながっていると思うのです。

 ある人がこんな話をしていました。「人は、子どもであろうと、大人であろうと、若者であろうと、お年を召されてあろうと、健康であろうと、病気をされてあろうと、障がいをもってあろうと、障がいをもってなかろうと、自分の存在が誰かの喜びにつながっていることを感じた時、人としての最高の喜びを感じることができる。」「不幸のほとんどは、何々してくれない、何々してくれ方が足りないという、自分中心の考え方から来るのである。何々してくれない、何々してくれ方が足りないという考え方でいる限り、その人は人としての最高の喜びを感じないまま、一生を終えていく。」これは、前述の「注文をまちがえる料理店」の話にも通ずる話です。

 子どもたちにとって、学校は、自分の未来に希望を抱き、夢を描くところです。そういう意味で、働くことの意味を考えさせ、今の自分にできることを、実行できるような子どもたちに育てていきたいと思います。