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1. 195 愛別離苦

投稿日時: 2021/03/26 野木沢小-サイト管理者

 四字熟語に「四苦八苦する」というと言葉があります。意味は、状況がとても辛い、切羽詰まった様子を表します。実は、この「四苦八苦」という言葉は、もともと仏教の教えです。本来、四苦八苦とは、人が生きる上で避けては通れない「八つの苦」を表しています。
 まず、四苦とは「生老病死」の苦のことです。

「生苦」・・・人は生まれる場所、条件を選べません。
「老苦」・・・人は必ず歳を取り、老います。
「病苦」・・・そして病気にもなります。
「死苦」・・・やがて寿命がくれば、みな死に至ります。

この四つが人間の根源的な苦しみであると、教えています。そして八苦とは、この四苦にさらに次の四つを追加して八苦となります。

「愛別離苦(あいべつりく)」・・・大切な人や大好きな人であっても、いつかは離れなければならない苦しみ。
「怨憎会苦(おんぞうえく)」・・・逆に大嫌いな人、顔も見たくない人でも出会ってしまう苦しみ。
「求不得苦(ぐふとっく)」・・・求めるモノゴトが手に入らない苦しみ。
「五蘊盛苦(ごうんじょうく)」・・・自分の心や、自分の身体すら思い通りにならない苦しみ。

 今回の離任式は、まさに「愛別離苦」です。今まで、大変お世話になった先生方と、まだ別れがたく、まだ一緒にいたいのに、お別れしなければならない苦しみ。考え方によっては、卒業式だって、「愛別離苦」と言えるでしょう。しかし、私たち人間は、この仏教の「四苦八苦」の教えの通り、みないずれ、いつかは、誰とも、別れなければならない運命にあります。別れを知らないまま、一生を終えることはできないのです。それは、変えることができません。だからこそ、出会った運命に感謝し、一緒に過ごせる日々を大切にして、そして、お別れの時に、出会ってくれたこと、一緒に過ごせたことに、感謝しなければならないのだと思います。そして、きちんとお別れすることで、一つの区切りをつけ、また、新たな出会いに向かうのだと思います。今回、お別れする方々も、また私たちと同じように、この別れを一つの区切りとして、4月から、新しい場所で、新しい出会いを迎え、また、そこで新たな生活をスタートさせるのです。
 「愛別離苦」。この苦しみを乗り越える度に、私たち人間は、また、一つ成長できるのだと思います。
 昨年度は、3月に感染症拡大防止のために、臨時休校措置をとり、また、集団での接触を避けるため、離任式等をやれなかった学校がたくさんありました。きちんとお別れする機会がなかったわけです。私自身、前任校は離任式が行えず、お世話になった子どもたちときちんとお別れすることができませんでした。そのことは、本当に残念でなりませんでした。そういう意味で、今年度は、離任式を行って、きちんとお別れすることができたことはよかったと思っています。