学校だより LIVE

1. 24 注文をまちがえるレストラン

投稿日時: 2020/05/14 野木沢小-サイト管理者

 みなさんは、宮澤賢治の「注文の多い料理店」というお話はご存じですか。二人の紳士が猟に出て、山奥で道に迷い、突然現れたレストラン「山猫軒」に入ります。そこは、注文が多い料理店で、入口からひとつずつ部屋に入る度に、「くつをぬいでください」「金物をはずしてください」「瓶の中のクリームを塗って下さい」等と書かれています。最初、紳士たちは、一流のレストランのしきたりだと思い、それに従うのですが、実は、このレストランは、お客を料理するための注文を出すレストランだったのです。それに気づいた紳士たちは…という展開のお話です。

 これは、「注文の多い料理店」ですが、最近、似たような名前のレストランのことを知りました。そこは、「注文をまちがえる料理店」。えっ、注文を間違えるなんて、ふざけたお店かと思ったら、そうではないのです。なんと、この店のスタッフは、全員、認知症の方々なのです。だから、注文したことを間違えてしまうことがある。それは、お客さんも分かっていることなので、そのことはとがめられない。これは、認知症の方々を笑い者にしているのでは決してなく、認知症になったことで自信をなくしていた人たちが、働くことで再び生きる喜びを取り戻すことができる場所になっているのでした。


 すてきだなあと思いました。このレストランでは、認知症の人の様々な問題が解消しているわけではなく、しかし間違えても「ま、いいか」と思える寛容さが、温かい雰囲気を作り出している。そういう寛容な雰囲気が、そこにいる人たちを安心させ、笑顔にしていると思いました。寛容さは、優しさでもあるわけです。
 学校でも、同じようなことが考えられます。教室で授業中、問題を解いている時に、誰かが間違えた答えを言った時、それをすかさず、「違います」と指摘したとします。確かに、間違いではあるのですが、しかし、正しいか間違いかだけで授業を進めると、誰も安心して発言できなくなってしまいます。例え、間違いでも、それも一つの考えとして、みんなが寛容に受け止めたら、きっと間違えた発言をしても大丈夫だと安心して、授業に参加できると思います。