赤十字NEWSの9月号に、大変興味深い記事が掲載されていましたので、ご紹介します。
まず、次の問題にお答えください。
Q:職場や学校、外出先で非常ベルが鳴っているのを聞いた時、あなたはどうしますか?
A:①点検だと思って何もしなかった。
②みんなが避難していないので、大丈夫だと思った。
③煙が出ていないし、大丈夫だと思った。
④安全な場所に避難した。
これは、簡単にできる「正常性バイアス」と「同調性バイアス」の診断方法です。バイアスとは、先入観や偏見を意味します。
正常性バイアスとは、一言で言うと、「これくらいなら大丈夫」という考え方です。
この正常性バイアスは、異常なことが起こった時に、「大したことじゃない」と落ち着こうとする心の安定機能です。日常生活では、不安や心配を減らす役割があります。しかし、上の質問の回答①は、「非常ベル」=「点検」という先入観から、自分にとって危険な状況と認識できない正常性バイアスが働いています。また、回答③は「非常ベル」=「火事」=「煙が見える」という固定観念から、火事以外の危険の可能性を認識できない正常性バイアスが働いています。このように、緊急事態では逃げ遅れなど、危険に巻き込まれる原因になります。
同調性バイアスとは、一言で言うと、「みんなと一緒だから大丈夫」という考え方です。
この同調性バイアスは、集団の中にいるとついつい他人と同じ行動をとってしまう心理で、日常生活では協調性につながります。しかし、回答②は、非常ベルが鳴っているにもかかわらず、周囲の人の行動に合わせる同調性バイアスが働いています。災害時には、周囲の人の様子をうかがっているうちに避難が遅れる原因にもなります。その反対に、周囲に率先して避難する人がいれば、より多くの人を避難に導くことも可能です。
最初の質問で、バイアスがないのは、④のみです。
正常性バイアスと同調性バイアス、災害時に働くこの2つの心理を知っておくことが、逃げ遅れを防ぎます。
日本赤十字社では、「ACTION!防災・減災」特設サイトを開設しており、上記の記事も含め、防災力を高める内容が盛りだくさんです。是非、アクセスしてみてください。