学校だより LIVE

1. 209 人間として生きていくために

投稿日時: 2021/05/26 野木沢小-サイト管理者

 3年生の男の子が、職員室に、あるものを見せにきてくれました。それは、「卵から孵化したばかりのカマキリの子どもたち」でした。虫かごいっぱいに生まれてきた赤ちゃんカマキリ。すごいなあ、と言ったら、その男の子は「でも、この中で大人になるのは、ちょっとだけだよ」と教えてくれました。

 調べてみると、カマキリの卵は一つの塊の中に、約300個あるそうです。しかし、その中から成虫になれるのは、1~2匹。他の生き物についても調べてみると、海の生き物のマンボウは、一度に3億個の卵を産むそうです。しかし、やはり、その中から大人になるのは、1~2匹。

 原因は、カマキリもマンボウも、卵は自然の中に産みっぱなしのため。だから、生まれた赤ちゃんは、生まれたその時から、自力で生きていかなければならない。餌も自分で探さないといけないし、敵からも自分で逃げなければならない。でも、親は守ってくれないわけです。

 しかし、私たち人間は、違います。生まれたら、お家の人が、ちゃんと世話してくれる。だから、子どもたちは、みんな無事に大きくなれる。でも、いつも、いつまでもお家の人がそばにいるわけではありません。

 そこで、子どもたちは、学校で自分の命を自分で守るためにどうしたらよいかを学びます。交通教室や防犯教室、先日の避難訓練などを通して、車の事故に遭わないためにはどうするか、不審者にはどう気をつけたらよいか、そして、火事の時は、どう逃げるかを学ぶわけです。

 それだけではありません。子どもたちは、いずれは、親から離れて、みんな一人で生きていくのです。その時に必要なのは、周りの人とどういうふうに付き合ったら良いのかということ。これは、自力で生きていくために必要な学びです。世の中には、いろいろな人がいます。そういう自分の周りの人と、どうやって関わるか、どうやって助け合ったり、支え合ったりして、人間として生きていくか、これも学校の集団生活を通して、学ぶのです。

 先週、6年生の子どもたちは、「いしかわコネクション」で、石川小に行って、そこで、沢田小と石川小の6年生と交流しました。100人以上の他の学校の人たちを前にして、緊張したと思います。でも、来年は、その人たちと同じ中学校に入学するわけです。これは、6年生だけの話ではありません。みな、いずれは、他の学校の子どもたちと出会い、関係を築いていくわけです。だからこそ、今、この野木沢小で一緒に生活している中で、お互いのことを理解し合い、どう協力していくか、もし、もめた時は、どう解決しなければならないか、そういうことを学ばなければならないのだと思います。これも、大事な「命を守る」ことであり、「生きる力」なのだと思います。